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自己回帰(AR)モデルとは?概要・メリット・進め方|RNNとの違いや事例をわかりやすく解説!

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データ分析には、さまざまな技術が活用されており、自己回帰(AR)モデルもそのデータ分析に用いる手法の1つです。

自己回帰(AR)モデルを活用することによって、時間の経過に伴う統計データを予測することができるため、多くの分野で活用できます。

今回は、自己回帰(AR)モデルの概要やメリット、進め方・RNNとの違いなどについてわかりやすく解説します。

自己回帰(AR)モデルとは?

自己回帰(AR)モデルとは、時系列データの分析に用いられる分析手法の1つで、主に過去のデータと現在のデータに基づいて予測をすることが可能です。

過去のデータを使用して将来のデータ予想をすることによって、時間の経過に伴うデータをモデル化することができます。

以上の仕組みを活用して、金融や経済、工学などのさまざまな分野で活用されており、今後も多くの分野での活用が期待されています。

時系列分析とは?

時系列分析とは、時間の変化に伴って変化していくデータを分析することです。

そしてこの時間の変化に伴って変化していくデータのことを時系列データといいます。

例えば、企業の毎月の営業売上や株価変動、人口統計や天気予報などのデータは全て時系列データに分類されます。

そのため、以上のような時系列データは、時系列分析によって分析されます。

この時系列分析を用いることによって、将来予測や異常検知、モデルの効果推定・評価などが可能です。

定常性とは?

定常性とは、時系列データの性質の1つのことです。

主に、期待値や自己共分散が一定の性質を持った時系列データのことです。

この定常性は、時系列分析において重要な前提条件の1つでもあります。

「自己共分散とは」

自己共分散(じこきょうぶんさん、英: autocovariance)とは、統計学における確率過程での、自分自身の時間をずらしたバージョンとの共分散である。

引用:Wikipedia

進め方

自己回帰モデルを含む時系列分析は主に以下7つの手順で進めていきます。

  1. 基礎集計
  2. 前処理
  3. トレンド分析
  4. 系列の変換
  5. 周期性の分析
  6. 特徴抽出
  7. モデリング

ここでは、この7つの手順について解説します。

基礎集計

まず最初に、基礎集計を行います。

基礎集計では、主にデータの可視化やデータの基礎統計量の算出や欠損の確認をして、データの最小値・最大値・平均値・分散・相関係数などの値を算出します。

そしてその算出した値からグラフ化し、データの傾向や予測などの情報を集計します。

前処理

前処理では、時系列分析を行うために主に以下のデータの処理を行います。

  • 質的変数
  • 欠損
  • 外れ値
  • スケールが異なるデータ
  • データ間隔のリサンプル
  • タイムゾーンの変換

以上のデータの処理を行うことで、時系列分析をスムーズに行えるようになります。

トレンド分析

前処理が終われば、続いてトレンド分析を行います。

トレンド分析では、短期的に何度も変動を繰り返す時系列データの大まかなトレンドを分析して把握するための作業を行います。

主に、データの値の平均を求めて、特異点やノイズを無くして重要性の低いデータを省くことで、スムーズな曲線グラフを作成します。

以上のプロセスを「移動平均」といい、主に「単純移動平均」と「指数平滑移動平均」の2種類があります。

この2種類の移動平均は、時系列データによって適切に使い分けることが大切です。

系列の変換

系列の変換とは、元の時系列データを他の系列に変換することです。

時系列データは、非定常性や比例関係が成り立たない非線形性などの問題が存在している場合があるため、それらの問題を解決させるために用いられます。

以上の問題を解決させるために元の時系列データを他の系列に変換していきます。

周期性の分析

時系列データには、主に以下4つの要素が存在しています。

  • トレンド
  • 季節性
  • 周期性
  • 不規則性

そして、以上4つの要素の中でも、周期性の分析が重要です。

周期性とは、とても長い期間で繰り返される変動パターンのことで、この変動は経済や市場に大きく影響を与えます。

その周期性を分析して、高速フーリエ変換や自己相関関係、偏自己相関関係などの算出を行います。

特徴抽出

時系列データは、上記で解説したような要素が絡み合っている場合があるため、この特徴抽出によって、それぞれの要素を分離していきます。

それぞれの要素を分離していくことによって、時系列分析に必要な特徴のみを抽出していくことが可能です。

モデリング

モデリングとは、時系列データから時系列モデルを構築することです。

時系列モデルの構築には、主に以下3つのアプローチ方法があります。

  • 自己回帰系モデルから入る
  • 状態空間モデルから入る
  • 機械学習に移行する

以上3つのアプローチ方法は、解釈性や難易度、コストなどの観点から評価して、選択するようにしましょう。

自己回帰(AR)モデルのメリット

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自己回帰(AR)モデルは、さまざまな分野で活用されており、今後もより多くの分野での活用がされていくことでしょう。

ここでは、自己回帰(AR)モデルのメリットについて解説します。

実装しやすい

自己回帰(AR)モデルは、シンプルで実装がしやすいというメリットがあります。

主に、複数のパラメータを指定するだけで時系列データを動作するモデルを構築できるので、初めて時系列データの分析を行う場合でも比較的気軽に実装可能です。

そのため、自己回帰(AR)モデルに興味のある方は、1度挑戦してみることをおすすめします。

汎用性がある

自己回帰(AR)モデルは、汎用性が高いこともメリットの1つです。

主に、金融データや天気予報、経済データなどの時系列データをモデル化できる柔軟性や複数のパラメータを指定するだけで実装できることなどが挙げられます。

以上のような特徴があるため、自己回帰(AR)モデルは汎用性が高く効率的に時系列データのモデル化が実現可能です。

そのため、さまざまな分野で活用されています。

予測能力が高い

自己回帰(AR)モデルは、時系列データの予測に優れています。

さらに、他のモデルと組み合わせて実装することで、長期的な予測を行うことが可能です。

そのため、短期的に予測する天気予報から長期的な予測が必要な株価予測まで幅広く対応できます。

自己回帰(AR)モデルのデメリット

自己回帰(AR)モデルには、さまざまなメリットがありますが、その反対にいくつかデメリットも存在しています。

ここでは、自己回帰(AR)モデルのデメリットについて解説します。

過去データに依存する

自己回帰(AR)モデルは、過去のデータに依存する場合があります。

このことで時系列データの予測精度が低下してしまい、十分に効果を発揮させられなくなってしまいます。

自己回帰(AR)モデルは、過去のモデルのデータに基づいて予測を行うため、以上のような問題が発生してしまいます。

複雑な依存関係は難しい

自己回帰(AR)モデルは、過去のデータと現在のデータをもとに将来の予測を行う手法です。

そのため、複雑なデータや依存関係がある場合は、十分に予測を行うことが難しくなってしまうため、ビジネスやシステムで活用する場合も予測精度が低くなってしまいます。

以上の問題も、自己回帰(AR)モデルが解決させていく必要があります。

自己回帰(AR)モデルとRNNとの違い

RNNとは、「Recurrent Neural Networks(リカレントニューラルネットワーク)」という言葉の略称で、ニューラルネットワークの1つです。

主に、AIの機械学習やデュープラーニングで用いられている自然言語処理や時系列予測などで高いパフォーマンスを発揮します。

さらに。自己回帰(AR)モデルと同様に株価予測などの時系列データの予測も行えます。

ただ、RNNとはニューラルネットワークの1つであり、自己回帰(AR)モデルは時系列データの分析に用いられる手法という点が違います。

自己回帰(AR)モデルの事例

自己回帰(AR)モデルは、金融や経済などの分野で活用されています。

そして、その中でも最も代表的な事例が株価予測です。

ここでは、自己回帰(AR)モデルの事例(株価予測)について解説します。

自己回帰(AR)モデルによる株価予測

自己回帰(AR)モデルは、株価予測で活用して分析することが多いです。

株価は時系列データの1つであり、経済指標やニュース、有事やイベントなどの多くの要因の影響を受けて変化していきます。

そのため、自己回帰(AR)モデルを活用することで、これまで株価の変動データを分析して将来的な株価の変動データを予測することが可能です。

自己回帰(AR)モデルを活用して株価を予測することで、さまざまな要因を踏まえた上での意思決定が行えるようになるため、より効果的な株式投資が実現します。

そのため、今後も自己回帰(AR)モデルは株価予測で活用されていくことでしょう。

まとめ

自己回帰(AR)モデルは、さまざまなメリットがあり、多くの分野で活用されている手法の1つです。

そのため、今後も自己回帰(AR)モデルを活用したデータ分析を取り入れていく業界は多くなっていくことでしょう。

ただ、現時点ではいくつかのデメリットも存在しているため、今後も進化に期待です。

自己回帰(AR)モデルについて興味がある方は、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。

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