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日本でのAI(人工知能)の導入状況とは?導入の必要性やAI戦略における規制・法整備についても解説

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世界的な生成AIの規模は現状ではおよそ1兆円ほどとされていますが、2030年には14兆円ほどになると言われ、AIはかなり一般的なものになると思われます。こういう状況下において、日本ではどのようにAIが導入されているのか、注目している方も多いはずです。

今回は日本におけるAI導入に着目し、日本におけるAI導入の状況や必要性、導入促進の理由などをご紹介していきます。

日本におけるAI導入の状況は?

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日本におけるAI導入はどのような状況となっているのか、基本的な情報をご紹介します。

先進国の中でも低いAI導入率

総務省の情報通信白書では、各国のAI導入状況に関するページがあります。2018年の民間のコンサルグループの調査では、中国の9割近い企業が何かしらの形でAIを活用していることが明らかとなり、日本はわずか4割ほど、既にAIが業務を担うケースで見ても、わずか1割ほどであることがわかっています。

特にヘルスケアの産業においてAIの活用が進んでおらず、中国のヘルスケア産業と比較しても実に60%ほどの差がある状況です。

大企業中心の導入状況

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総務省の情報通信白書では、規模別、業種別の活用状況も紹介されています。大企業ですらAI導入率は2割弱と少ないですが、その他の企業はわずか5%程度とほとんどの企業がAIを活用し切れていない状況と言えます。

一方、IoTの活用状況も大企業ですら30%ほどと低い状況です。2018年のデータであり、一定の年数が経過したことである程度の増加こそあれど、おおむね日本の企業全体で導入が遅れている可能性があると言えます。

日本におけるAI導入の必要性

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ここからは日本におけるAI導入の必要性についてご紹介します。

経済成長に欠かせない

AIを導入することで、業務効率化が促進されていき、人手不足で悩む産業を中心に大きな経済効果がもたらされやすいと言われています。AIの活用は日本の経済成長には欠かせない存在となることはもはや間違いありません。

それほどまでに今の日本企業には多くの無駄が存在していると言えます。いかに無駄を省いて効率よく仕事を行っていけるかが経済成長をする上で重要となります。

2025年の崖問題の解決

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皆さんは2025年の崖という言葉を聞いたことはありますか?2025年の崖は経済産業省がレポートの中で紹介した言葉で、企業が現時点で導入しているシステムを変えていかない限り、年間で12兆円もの損失が発生するかもしれないという問題です。この12兆円の損失が2025年以降に生じる可能性があるため、2025年の壁と称されています。

2025年の崖を解消するには今使われている古いシステムを一掃していく必要があり、DXの推進などが必要です。AIを活用した業務効率化などを図っていくことで、2025年の崖を解消できると言われています。

2040年問題解決のため

2025年の崖の解消をしたところで、まだまだ問題は山積みです。もう1つ存在するのが2040年問題です。2040年問題は団塊の世代が父親母親の、いわゆる団塊ジュニア世代が後期高齢者になっていくことで生じる問題を指します。

2040年になると、現状進行している少子化や高齢化がより大変な状態となり、社会保障などのバランスが崩れていくと言われています。このバランスを保つには今の状況では厳しく、様々な部分で効率化を図っていくことが必須と言えるでしょう。そのためにAIの導入が必要とされています。

日本におけるAI導入を促進すべき理由

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日本ではなぜAI導入が必要なのか、促進すべき理由について解説します。

生産性を高める

人口減少、少子高齢化など日本の生産性は右肩下がりになっていく可能性が高く、外国人の受け入れなどで急場をしのがなくてはならないと言われています。しかし、外国人の受け入れには抵抗感が見られ、それ以外の方法で生産性を高める必要があるでしょう。

ここでポイントになるのがAIです。AIであればすぐにでも安定した仕事ぶりを見せ、人員の調整よりも手軽に対応することができます。しかも、どんな状況であれ安定的に稼働し続けることも生産性の向上につながる要素と言えます。

働き方改革の必要性

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日本ではサービス残業の問題など、何かと長時間労働が問題視されてきました。一方で人員不足で物理的に働かざるを得ないケースも多く、なかなか一筋縄ではいかない現状もあります。そんな中で救世主となり得るのがAIです。

AIを導入することで業務効率化が図れるため、効率よく仕事に取り組める分、労働時間を少なくすることができるようになります。今まで費やしてきた時間を減らせれば、生産性の高い仕事などに振り分けられるのもポイントです。

適材適所の働き

AIにはAIならではの適した働き方があるように、人間にも同じことが言えます。AIのように同じような作業を繰り返し、コンスタントに行えるのが理想的ですが、人間にはバイオリズムがあるので、なかなか難しいでしょう。

一方で人間はクリエイティブな仕事が得意であり、AIにはマネできないものを生み出すことがあります。このようにそれぞれに適材適所の働き方があると言えるでしょう。

日本におけるAI導入を促進する際の注意点

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ここからは日本でAI導入を促進していく中にあって注意すべき点についてまとめました。

AI人材の問題

AIを導入していく中で必要となるのがAI人材です。しかしながら、AI人材は日本で慢性的に不足しており、AIの研究を行う研究者の数も少ないのが実情となっています。

慢性的に不足している状態で、今からAI人材を確保しようにも時間がかかるでしょう。その間もAIの導入に向けた動きは強まっているため、対応を進める必要がありますが、コスト面で高くつく可能性も考えられます。

雇用の維持の問題

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AIの登場により、AIにできることはAIが行うようになるのは企業側からみればメリットは大きいでしょう。しかし、これまで人間がしてきた仕事がAIに取って代わる状況は人間からするといいことばかりではありません。

今までしてきた仕事がAIに奪われ、職を失う人も多く出てくるからです。やりたい仕事がなくなり、尊厳を失うようなケースも出てくるでしょう。あまりにもドライに活用することはプラスも大きいですが、マイナスもそれ以上にあると言えます。

セキュリティの問題

AIを導入し、本格運用をしていく中でどうしても避けられないのがセキュリティの問題です。何かしらの漏洩が起きれば大変な事態を招くほか、予期せぬ動きを見せて問題を起こす可能性があります。その際の責任の所在が面倒なことになるため、事前の想定が問われます。

日本におけるAIの規制や法整備

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日本においてAIに関する規制もしくは法整備は今のところしっかりと決められているとは言えない状況です。例えば、EUのようにAIに関するルール作りが決められ、着々とAIの規制に向けた動きが進行しているケースがあります。

特にEUの場合はEUでのルールが日本企業にも適用されるため、EUでビジネスを行う以上、日本企業も例外ではなくなります。つまり、AIに対する規制や法整備に対する危機感を持たないと、様々な形でダメージを負う可能性があるのです。

しかも、日本の場合はAIに対する規制を積極的に行おうとはせず、まだ研究段階にあります。具体的な規制内容がまだ明らかになっておらず、議論は進んでいません。本来であれば法規制を行い、AIの悪用を未然に防ぐ、AI関連の責任の所在を明らかにするなどの対策が求められます。しかしながら、現状だとその状態にはありません。

日本におけるAI導入は今後も進むのか

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少なくとも日本におけるAI導入は間違いなく進みます。AIの利便性が非常に高く、もはやAIの活用をしなければ一定の利益を出せない状態になっていくでしょう。そのため、なりふり構わずAIを導入する企業も出てくるはずです。

だからこそ、重要視されるのがAIに対する倫理やリスクについてです。AIを活用するには大量のデータが必要であり、時にプライバシーにかかわる事態に直結することがあります。このあたりのルールが整備されていない中で導入していくのはリスクでしかありません。

このルールをいつまでに整備するかが重要ですが、少なくとも2025年の崖の解消までに間に合うとは考えにくく、何かしらの重大事案が起きるまではなかなか議論が進まない可能性もあります。

AI人材の活用を含め、日本でAI導入を進めていくには乗り越えるべきハードルが多いのが実情です。また労働者側の反発もあります。そして、無計画に導入して痛い目を見るケースもあるでしょう。今後も導入は進むでしょうが、うまくいくケース、そうでないケースがはっきりと分かれる可能性は十分に考えられます。

まとめ

今後AIを導入していく際には、自分の会社が抱える課題をいかに把握できるかにかかっています。その上でベストな活用ができるかどうか、その方法を探っていくことが重要であり、より計画的に導入できるかがポイントになるでしょう。

日本での人工知能の導入状況は諸外国に比べると低く、中国とは大きく水をあけられています。日本は少なくとも中国に追いつくぐらいまでに導入が進むことが大事です。そのためには人材の確保や政府の政策など必要なことがたくさんあります。早急にその対策を立てることが求められます。

さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。

⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。

そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。

ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!

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