XAI(説明可能なAI)とは?概要や導入のメリット・デメリット、活用事例についてわかりやすく解説
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現在、さまざまな分野に活用されているAIのモデルの中には、複雑な構造で理解が難しいものが数多くあります。
そんなAIの複雑な構造やプロセスを誰でも理解できるようにするための技術の1つにXAIというものがあります。
今回は、XAI(説明可能なAI)の概要や導入のメリット・デメリット、活用事例についてわかりやすく解説します。
XAI(説明可能なAI)とは?
XAIとは、「Explainable AI」という言葉の略称で、AIが導き出した答えを説明できる能力が高いAIのことです。
AIを普及させていく中で、ブラックボックス化というAIが導き出した結果が説明できない状態になってしまう問題があります。
そのため、このブラックボックス化を解決させるための技術の開発が進んでおり、XAIもその技術の1つです。
XAIによって、AIやデータサイエンスなどの知識を持っていない人でも、理解できるようにできます。
XAIが注目されている理由
AIは現在世界中で普及しており、今後も多くの分野で活用が進んでいくことが期待されていますが、現時点ではAIは完璧ではないので、誤作動や誤った判断をしてしまう場合があります。
そして、AIが誤作動や誤った判断をしてしまった場合に、しっかりとその原因を救命して分析する必要がありますが、原因不明では改善が不可能です。
以上の問題をブラックボックス化といい、AIを導入する上で抱えている大きな課題の1つです。
XAIはこのブラックボックス化を解決させることが期待されているので、AIのニーズが高まる現代社会でとても注目されています。
XAIの手法
XAIには、主に以下2つの手法があります。
- 大域的な説明(Global Explanation)
- 局所的な説明(Local Explanation)
ここでは、以上2つの手法について解説します。
大域的な説明(Global Explanation)
大域的な説明(Global Explanation)とは、複雑になっているAIの構造を人間が理解できるように説明するための方法のことです。
AIで構築したモデルの構造やデータの傾向やパターンを解釈したい場合に用いられることが多い手法であり、ツリー構造でデータを分析する決定木や線形モデルで近似的に表現します。
また、モデルがどの特徴量を重視しているのか理解することが可能です。
局所的な説明(Local Explanation)
局所的な説明(Local Explanation)とは、特定のデータの予測の根拠を説明する方法のことです。
大域的な説明のようにモデルの構造は説明することができなくても、データの予測を根拠をりしたい場合に用いることができます。
そのため、各データの予測結果の判断理由を理解することを目的とした手法でもあります。
XAIを導入するメリット
XAIは、AIに関する知識を持たない方にも理解させることができたり、AIの誤りを解決させることができます。
そんなXAIを導入することによる具体的なメリットについて気になる方も多いです。
ここでは、XAIを導入するメリットについて解説します。
AIのプロセスを検証できる
XAIは、AIのプロセスを検証することができます。
AIが与えられたデータのどの特徴量を重視して出力された結果まで導き出したのかというプロセスを検証して、改善のための材料として活用できます。
実際に、AIによる医療診断でAIがどのようなプロセスでその診断をしたのかを検証できるので、誤診を防ぐことが可能です。
また、AIには説明責任が重要視されているので、AIのプロセスを検証できることはとても大きなメリットになります。
適切に改善できる
XAIは、AIのプロセスを検証できるので、AIのアルゴリズムを適切に改善することができます。
活用されているAIの中には、どのような家庭でその結果になったのか分析できないブラックボックス化したAIが存在します。
ブラックボックス化してしまうと、原因を突き止めて改善させることができないので、効果的に活用できません。
しかし、XAIではしっかりと原因を突き止めて適切に改善させることが可能です。
ユーザーからの信頼を得られる
XAIは、AIユーザーからの信頼を得られるというメリットもあります。
AIのプロセスを説明できない状態では、ユーザーから不信感を抱かれてしまいますが、しっかりと説明することができればユーザーは納得して信頼してくれるようになります。
さらに、XAIはAIに関する知識を持たない方にも理解できるような技術なので、効果的にユーザーを獲得することが可能です。
XAIを導入するデメリット
XAIを導入することで多くのメリットを得られますが、反対にデメリットもいくつか存在します。
そのため、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。
ここでは、XAを導入するデメリットについて解説します。
導入コストが高い
XAIは、導入コストが高いというデメリットがあります。
そのため、中小企業や小規模事業者などではXAIを気軽に導入して活用することは困難であり、導入することができても研究・開発を十分に行うことがほぼ不可能です。
さらに、XAIに使用する手法も計算コストが高いものが多いので、モデルを追加学習させる必要があり気軽に導入できません。
モデルの修正まで対応できない
XAIは、AIのプロセスを検証して誤りの原因を突き止めることができますが、その原因を改善する方法までは示してくれません。
そのため、その後の修正作業は全て自力で進める必要があり、改善するために多くの知識や労力が必要です。
さらに、モデルやデータの修正を行う場合は、AIに再学習させたり別のアプローチ方法を取る必要があります。
AIの結果が完璧ではない
AIは、完璧な技術ではないので、AIの結果が完璧だとは限りません。
時には、誤りをしてしまうこともあるので、しっかりとAIの導き出した結果が完璧ではないことを考慮した上で解釈する必要があります。
AIの出した結果が全て正しいという前提で、XAIの結果を解釈してしまうと説明を誤ってしまうリスクが高いです。
そのため、以上のことを理解した上で、XAIの導入を検討することをおすすめします。
XAIの活用方法
XAIは、さまざまな分野で活用方法が考案されており、導入することで高い効果が得られると期待されています。
ここでは、XAIの活用方法について解説します。
医療
医療では、患者に対して診断内容とその治療法などを説明する必要があるので、AIによる診察を行う場合、しっかりと診断した根拠を説明できなければいけません。
XAIでは、画像診断などの正確性だけでなくしっかりとその診断をした理由までしっかりと説明できることが期待されています。
そのため、医療業界のAI導入を支援することができる存在として、活用が注目されている状態です。
金融
金融では、借入や資金融資の審査や資産運用についてAIによる判断を活用できます。
従来のAIでは、審査結果や資産運用方法をAIが導き出した場合でも、その結果を説明できずに顧客に納得してもらえない可能性があります。
しかし、XAIではしっかりとその結果に至った理由を説明することができるので、顧客に納得してもらうことができ、業務効率化や資産管理の最適化を実現させられます。
そのため、今後金融業界では、XAIの導入が進められていくことが予想されます。
コンサルティング
日立コンサルティングは、XAIを活用することで、重要な意思決定の可視化や高度化を支援するコンサルティングサービスを提供しています。
XAIは、コンサルティング業務にも活用することができます。
XAIを活用することで、企業の重要な意思決定やデータ分析、顧客管理などを最適化して効果的な支援が可能です。
さらに、施策や立案した戦略を決定した理由を明確に説明することができれば、企業も高い信頼の元コンサルティングを依頼してくるようになります。
そのため、説明責任の求められるコンサルティング業界では、XAIの導入がとても高い注目を集めています。
XAIの学習方法
XAIをこれから学習しようと考えている方の中には、どのようにして学習すべきか悩んでいる方も少なくありません。
ここでは、XAIの効果的な学習方法について解説します。
書籍で学習する
XAIに関する知識を学習できる書籍が出版されているので、書籍でXAIを学習できます。
主に、代表的なXAIの手法やXAIの概要についてわかりやすく解説している内容になっているので、これからXAIについて理解を深めていきたい方には効果的です。
さらに、書籍であればどこでも気軽に学習を進めることができるので、隙間時間を有効的に使うことができます。
気になる方は、書店や通販サイトなどで購入してみることをおすすめします。
インターネットを使って学習する
WebサイトやYouTubeなどのインターネット上にも、XAIに関する情報は大量に公開されています。
さらに、書籍で学習する方法と違い全て無料で収集することのできる情報なので、費用を抑えて学習したい方には、とても効果的です。
また、YouTubeなどの動画サイトでは初心者でも理解しやすいようなパワーポイントなどで動的な説明で解説しているものも少なくありません。
これからXAIについて学習を始める方は、まずはインターネットを使って学習してみることもおすすめします。
まとめ
XAIは、これまで説明することができずにブラックボックス化していたAIを誰でも理解できるようにしてくれます。
AIが普及している現代社会ではとても重宝されている技術であり、今後も研究・開発が進んでいくことが期待されています。
ただ、現状では多くの課題がある状態なので、気軽に導入していくことが難しいので、XAIの今後の動向に注目が高まります。
さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。
⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。
そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。
ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!