Word2Vecとは?自然言語処理の必須知識|仕組みや種類、活用事例までわかりやすく徹底解説!
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現在、多くのサービスで活用されているAI技術の中の1つに自然言語処理という技術があります。
そして自然言語処理の技術向上に欠かせない存在に「Word2vec」というものがあります。
Word2Vecは、AI技術がビジネスや日常生活で普及している要因の1つなので、高い注目を集めています。
今回は、Word2Vecについてや自然言語処理の必須知識、仕組みや種類、活用事例までわかりやすく解説します。
Word2Vecとは?
Word2Vecとは、文章・テキストに含まれる単語を数値ベクトル化して、コンピュータに単語を理解させるための手法です。
コンピュータは、人間と違い言語をそのまま理解することができないので、人工言語という数式を並べたもので表現する必要があります。
このベクトル化によって、これまで困難だった単語同士の関連性やニュアンスまで正確に理解することができ、より精度の高い自然言語処理を実現させることが可能です。
Word2Vecは、2013年にGoogleで開発されてから、現在まで機械学習や自然言語処理の開発・研究で幅広く活用されています。
自然言語処理とは?
自然言語処理とは、人間の言語・言葉(テキストデータ)をAIが分析・認識するための技術です。
人間が普段扱っている言語には、曖昧な部分がとても多く存在しているので、そのままAIが認識することは困難になります。
そのため、AIが分析・認識できるように人間の言葉を人工言語というプログラム言語や数式に変換してAIに分析させます。
AIは、この自然言語処理の技術によって人間の言葉を理解して、機械翻訳やチャットボットなどのサービスへ応用させることが可能です。
そして、Word2Vecは自然言語処理の技術を向上させるために、とても重要な技術の1つです。
Word2Vecの仕組み
Word2Vecは、以下2つのニューラルネットワークで構成されています。
- Skip-Gram
- CBOW(Continuous Bag-of-Words)
この2つのニューラルネットワークによって、Word2Vecでは高い精度での自然言語処理を可能にしています。
ここでは、Word2Vecにある以上2つのニューラルネットワークの仕組みについて解説します。
Skip-Gram
Skip-Gramとは、対象の単語からその周囲の単語をいくつも予測して出力する仕組みを持っているニューラルネットワークです。
例えば、「りんご」という単語がきた場合に、「を食べる」「を収穫する」などの周辺に来る可能性のある単語を予測できます。
この仕組みによって、言葉の関連性や文法などを理解して精度の高い言語の分析を行うことが可能です。
CBOW(Continuous Bag-of-Words)
CBOW(Continuous Bag-of-Words)とは、Skip-Gramとは反対に周囲の単語から中央の単語を予測して出力する仕組みを持っているニューラルネットワークです。
例えば、「りんごは〇〇で食べた」という文章から〇〇に当てはまりそうな「山」「飲食店」などの単語を予測します。
Skip-GramとCBOWは、どちらも教師あり学習を用いて行われる手法です。
Word2Vecでできること
精度の高い自然言語処理が行えるWord2Vecでは、具体的にどのようなことができるのか気になる方は多いです。
ここでは、Word2Vecでできることを主に4つ解説します。
感情分析
Word2Vecは、与えられたテキストデータから感情を分析することが可能です。
文章内にある単語間の意味やそのベクトルの大きさを比較することによって、その文章が「6つの基本感情」のどの感情に近さがあるのか推測します。
文章中に出現する単語間の意味ベクトルの大きさを比較することで、その文章が6つの基本感情に対してどのくらいの近さにあるのかを測れます。
また、6つの感情とは、アメリカの心理学者ポール・エクマンが提供した「怒り、嫌悪、恐れ、幸福、悲しみ、驚き」のことです。
演算処理
Word2vecは、単語間の演算処理ができます。
Word2vecは、文章内にある単語を「0-1」だけでない「実数値ベクトル」という関数によって把握しています。
そのため、単語同士を足したり引いたりという演算処理が可能です。
「King – Masculinity + Femininity = Queen(王様 – 男 + 女 = 女王)」は、Word2vecによる演算処理の有名な例の1つです。
文章生成
Word2vecは、RNN(再帰型ニューラルネットワーク)と組み合わせることによって、文章の自動生成ができます。
そのため、AIチャットボットやブログ記事、ニュース記事の作成などに活用されており、多くのデータを学習させることで、文章の癖や特徴を生み出すことも可能です。
Word2Vecの問題点
Word2vecは、文章から感情を分析したり新たに文章を生成するなど高い能力を持っていますが、いくつか問題点もあります。
ここでは、さまざまなWord2vecの問題点の中でも代表的なものを主に3つ解説します。
単語の順序や優先度を無視する
Word2vecは、CBOWの仕組みによって単語の順序や優先度を無視するという特性があります。
Word2vecでは、予測される単語の有無や文章内での出現頻度のみを考慮して単語予測が行われるので、文の構造や文脈がベクトル表現にに反映されません。
そのため、Word2vecで単語の順序や優先度を考慮する場合は、そのためのモデルを採用することが必要です。
対義語に対応できない
Word2vecは、対義語に対応することができません。
例えば、「この部屋は明るい」と「この部屋は暗い」という対義語がある場合、それぞれ単語は違うけれど、文脈が同じになるので、Word2vecでは区別することが困難です。
そのため、Word2vecでこの問題を解決させたい場合や対義語が重要な意味を持つ機能の開発を行いたい場合は、検討し直す必要があります。
アウト・オブ・ボキャブラリー問題(OOV)
アウト・オブ・ボキャブラリーとは、機械学習で与えられていない単語データのことです。
Word2Vecは、機械学習で与えられていない単語には、ベクトル表現を生成できないので、能力に限界があります。
そのため、新しい単語や流行語、専門用語やスラング、ネット用語などに対して、十分に言語処理を行えません。
Word2Vecの類似ツール
Word2Vecに類似したツールには、主に以下のものがあります。
- Doc2Vec:単語のベクトル表現を生成するWord2Vecを拡張したもの
- fastText:Facebookによって開発された自然言語処理を高速化するライブラリ
- WordNet:同義語・意味上の類似関係を分類した辞書・語彙データベース
- ELMo:深層学習に基づく自然言語処理のモデルで、単語ベクトルを獲得する手法
以上4つのツールは、Word2Vecから派生・応用されたツールや類似のツールであり、高い事前言語処理が可能です。
気になる方は、それぞれのツールを利用・学習してみることをおすすめします。
Word2Vecの今後
AIの自然言語処理を活用したサービスやシステムは、ビジネスや日常生活で必要不可欠な存在になっています。
実際に、チャットボットや機械翻訳、VODやSNSなどのレコメンド機能などでWord2Vecは活用されており、現時点でとても需要が高いです。
さらに、多くの業界でさらに精度の高い自然言語処理が行えるAI技術が求められるようになっているので、Word2Vecの普及はさらに進んでいくことでしょう。
Word2Vecの活用事例
Word2Vecは、さまざまな業界の企業で幅広く活用されており、今後も普及していくことが予想されています。
そんなWord2Vecが、具体的にどのようなものに活用されているのか気になる方も多いです。
ここでは、Word2Vecの活用事例を主に4つ紹介します。
対話型AI
対話型AIには、Word2Vecが活用されています。
対話型AIには、チャットボットやボイスチャットなどのサービスがあり、企業の顧客対応やカスタマーサポート、ヘルプデスクなどで活用されていることが多いです。
対話型AIは、Word2Vecによって人間と自然な会話を行うことができるので、会話を楽しんだり顧客対応の品質向上になります。
機械翻訳
Word2Vecは、言語を分析してさまざまな言語を理解することができるので、機械翻訳にも活用されています。
機械翻訳では、単語間の関連性や意味を解析して正確な翻訳を行うことができるので、ビジネスや教育、旅行などで効果的に活用することが可能です。
そのため、今後も世界中で広く普及していくことでしょう。
レコメンドシステム
レコメンドシステムとは、ユーザーごとに最適な商品やコンテンツをおすすめするシステムのことです。
このレコメンドシステムは、Word2Vecを活用することでユーザーのテキストデータを分析して、ユーザーが求めているものを予測することで行えます。
また、顧客別のアプローチは広告配信などでもWord2Vecを活用することで、高いパフォーマンスを発揮します。
口コミ・レビュー分析
商品やサービスの口コミ・レビューには感情的なテキストが多いので、Word2Vecを活用することで感情的なコメントを分析することが可能です。
さらに、大量にある口コミ・レビューの名から有益なテキストのみを抽出することができるので、企業の顧客満足度向上や商品、サービスの品質向上を推進できます。
そのため、現在さまざまな業界の企業で活用されているAI技術の1つです。
まとめ
Word2Vecは、これまでAIでは難しかった感情の分析や言葉のニュアンスを認識することが可能になりました。
そのため、顧客のクレーム対応や口コミ・レビュー分析、レコメンドシステムなど、ユーザーの感情的な部分にまで活用されることが多いです。
これからAIや自然言語処理について興味がある方は、ぜひWord2Vecの理解を深めていくことをおすすめします。
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