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介護・福祉業界でのAI活用とは?導入のメリット・デメリット、将来性と活用事例について解説

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日本は高齢社会が加速しており、少子化も相まって大変厳しい状況に置かれていることは間違いありません。そんな中でよりきつい状況にあるのが介護・福祉業界です。介護・福祉業界を支えるのはマンパワーはもちろん、AIも欠かせない状況となっています。

今回は介護・福祉業界でのAI活用をテーマに、介護・福祉業界を取り巻く環境やAIを導入するメリット・デメリットなどを解説します。

介護・福祉業界でのAI活用とは?

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介護・福祉業界でのAI活用とは具体的にどのようなことを意味するのか、基本的な情報をご紹介します。

介護・福祉業界でのAI活用の概要

介護・福祉業界でのAI活用は、AIを活用する形で介護をより効率的に行っていくことを意味します。介護・福祉業界が抱える人手不足の問題や、流れ作業的になりやすい状況を由々しき問題であると捉えつつ、賃金などの面で明らかに作業内容と釣り合っていない状況をAIを使って改善していく狙いもあります。

なぜ介護・福祉業界でのAI導入は必要なのか

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介護・福祉業界でのAI活用がなぜ必要とされるのか、そのためには介護・福祉業界が抱える現実を知る必要があります。ここからはなぜ介護・福祉業界でのAI導入は必要なのかについて解説します。

介護を必要とする人が増え続けている

介護を必要とする人は増え続けており、要介護もしくは要支援認定を受ける人は10万人程度増え続けています2000年にはおよそ200万人程度でしたが、2020年になるとその数は600万人を軽くオーバーし、以降も10万人ほど増え続けている状況です。

内訳をみると最も多いのが要介護1に該当する人で全体の2割ほどを示しています。要介護1はある程度のことは自分でできるものの、入浴などにおいては多少の手助けを必要とするケースです。

要介護2になると排せつや入浴はもちろん、食事においても助けが必要となるため、要介護1と要介護2では大きな違いとなります。介護を必要とする人が増え続けている状態は、需要が減ることはあり得ないことを意味します。

人材不足が慢性的になっている

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年々介護を必要とする高齢者が増えている状況にあることは間違いありません。一方で、介護に従事する人々は高齢者の伸びに比例して増えているとは言い難い状況です。実は2020年代中盤から2030年あたりにかけて最も人材不足が深刻化すると言われています。

これは5万人ほどの介護人材が不足している状態が続くためで、2030年以降になると不足幅が小さくなります。これは高齢者自体が少なくなるためで、技術革新での改善とは言い難い理由です。常に人材不足が慢性的であることは明らかであり、国でもそのような指標は出ています。

介護・福祉業界において人材不足になっているのは、介護職で働く人への賃金が足りない、仕事のヘビーさと比較して賃金が釣り合っていないなどの現状も考えられます。これらをいかに改善させていくかが問われていると言えるでしょう。

職員の負担が大変

介護・福祉業界に従事する職員の負担は私たちが想像する以上に大変です。特に大変なのは記録にまとめることです。生活支援などのサービスを提供した際にはどのようなサービスを提供したのかを記録しなければなりません。しかし、記録の内容などの書式は定められているわけではないので、全て記録しようとすると相当な時間・労力がかかります。

一方、サービスを利用した高齢者の情報を全体で共有する場合にも色々な仕事が生じます。どのように共有するか、どんな内容を共有するかなども重要になるため、このあたりも負担となるでしょう。

また高齢者の介助をする際には体重の大半を支えることになるため、腰痛に苦しむ職員も少なくありません。排せつや入浴に対する負担もあります。それでいて賃金があまり多くないとなれば、誰も介護・福祉業界を目指さなくなるでしょう。その点をAIなどを活用して改善を図ることは当然の流れです。

介護・福祉業界でのAI導入のメリット

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ここからは介護・福祉業界でAIを導入することでのメリットについてご紹介します。

人手不足の解消

介護・福祉業界において、最も重要なのは人手不足をいかに補うかです。近年は特定技能外国人が来日し、技能実習制度も活用しながら外国人で人手不足を補うケースが出てきています。しかし、外国人に自分の世話をしてほしくないと考えてしまう高齢者もいないとはいえません。

かといって、人手不足の状況に変わりはありません。そのため、人手不足をカバーするにはいかに効率よく仕事を行えるかにかかっているのです。この時にAIの出番が回ってきます。AIを使うことで作業の効率化を図ることができ、今まで負担となっていた仕事が相当軽減されます。

作業量が安定すれば、仕事への取り組み方も変わり、介護の仕事を志す人も増えることでしょう。結果として人手不足の解消につながると言えます。

介護の質が上がる

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AIを導入することで負担が軽減されるということは、結果として職員のパフォーマンスが上がることにもつながります。介護の質が高まることで、高齢者も安心して自分の身をゆだねられるでしょう。

介護の現場では高齢者に対して暴力をふるうケースが見られます。介護職員が利用者に暴行を働いて捕まるニュースが定期的に出てくる一方、利用者が職員に暴力を働くケースもあります。これらは複合的な要因が考えられますが、その中には慢性的な人手不足や過度な負担が影響している可能性が想定できます。

AI導入によって負担が軽減されることになれば、利用者1人1人に目を向けられるようになり、余裕を持った対応ができるようになるでしょう。今までは多くの作業を少ない人数でこなしており、それが余裕のなさにつながり、様々なトラブルにつながっていたと言えます。

AIを活用することにより、AIに任せるべき仕事、人間が行うべき仕事に分けて対応ができるようになるため、効率的な仕事にもつながります。

介護・福祉業界でのAI導入のデメリット

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ここからは介護・福祉業界においてAIを導入する際のデメリットについてご紹介していきます。

コストの問題

介護・福祉業界でAIを導入するデメリットの一番は何と言ってもコストの問題です。システムとしてAIを導入するとなると、一定のコストがかかります。そして、導入してもシステムを維持することも大切です。

このコストをどのように捻出するのかが重要です。介護・福祉業界において資金面で余裕があるところはそこまで多いとは言えず、コスト面での不安を抱えるところが目立ちます。補助金の活用なども行える一方、導入するメリットがコスト以上にあるのか心配な事業者が多いのも事実と言えるでしょう。

システムの活用に時間がかかる

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システムを活用することで確かに生産性が上がることは間違いなく、効率性にもつながるでしょう。しかし、最初から効果が出るとは限らず、ケースによっては有効活用に一定の時間を要することも考えられます。

システムを有効活用するには事前にどのようにシステムを活用していくかの方向性を定めておくことが必要です。結局、何のためにAIを導入するのか、そして、どんな成果をもたらしてほしいのかを決めておかないと、単に導入するだけにとどまってしまいます。

導入したのはいいけれど全然使いこなせていないというのでは何の意味もありません。そして、使いこなせない職員がどれだけいるのか、導入に向けて誰がシステムの責任者となるのか、全体的な枠組みをしっかりと決めないことには、導入しても迷走をするだけです。

介護・福祉業界でのAI導入による将来性

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介護・福祉業界でのAI活用によってどのような未来が待っているのか、その将来性について解説します。

むしろ導入しないと介護は大変なことになる

介護・福祉業界でのAI活用は必然であり、むしろAIを導入しなければ介護は大変なことになるという見立てがあります。要介護の高齢者も人口減少社会の中で減っていくものの、それ以上に介護の従事者も減るでしょう。外国人で賄うとしても限度があり、AIの活用をしない限りはもはや介護の仕事は成り立たなくなる可能性すらあります。

賃金水準も一向に高くならず、誇りをもって取り組める仕事と胸を張って言える状況なのかは微妙と言えます。AIを導入し、ロボットの活用を進めることで現場レベルで見ればかなりの負担軽減となるでしょう。

AIやロボットができるだけ介助を行うような形をとれれば、職員は利用者の心の部分まで考えた行動ができるようになります。そこに生きがいを見出せるようになれば、賃金水準が多少低くてもまだ耐えられる状況となるでしょう。いずれにしても、AIの導入なしにもはや介護は成立しない可能性があります。

介護・福祉業界でのAI導入の活用事例

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最後に介護・福祉業界でのAI導入の活用事例についてまとめます。

ケアプランの作成

これまで1から10まで人の手で行ってきたケアプランの作成を、AIに作成の支援を委ねて、AIが提案したケアプランを人間が承認したり、手直しをしたりするシステムが存在します。

ケアプランの作成には時間がかかり、負担にもつながっていましたが、AIにある程度任せられるようになり、ケアプラン作成にかかる負担を軽減できるようになっています。

介護送迎

デイサービスなどを利用する際、介護施設の乗用車に送迎をしてもらうケースが一般的です。しかし、介護施設側からすれば、できる限り効率よく送迎を行う必要があり、そのためにルートを考えるのはなかなか大変です。

AIでこのルートの作成支援を行うことができ、利用者の特性など条件を考慮する形で送迎プランを作ることが可能です。

まとめ

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介護・福祉業界でのAI活用はすべての事業者が行うべきことであり、むしろ行わないと職員の負担は増す一方で離職者に歯止めがかからなくなる可能性があります。

自治体では介護の現場でAIやロボットを導入するのに補助金を出しています。こうした補助金を有効活用し、導入を進めるケースも少なくありません。一方で、介護ロボットなどへの抵抗感があるのも事実で、折り合いをどのようにつけていくかが今後の課題となるでしょう。

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