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スマート漁業とは?AIの力で漁業を変える?メリットやデメリット、導入時の課題について解説

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スマート漁業

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スマート漁業

皆さんはスマート漁業をご存じですか?スマート漁業はAIの力で漁業を変えると現在話題を集めています。スマート漁業がなぜ必要なのか、スマート漁業にどんな期待が集まっているのか、気になる方も多いはずです。

今回はスマート漁業にスポットを当て、スマート漁業のメリット・デメリット、スマート漁業で具体的に何を行うのかなどを解説します。

スマート漁業とは?

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そもそもスマート漁業とはどういうものなのか、スマート漁業の基本的な解説を行っていきます。

スマート漁業の概要

スマート漁業はAIやIoTを用いて漁業へのアプローチを見直し、漁業における効率化・合理化を図る中で生産性を高めていくというものです。

漁業に限らず、第一次産業では長年従事した人の経験や勘がモノをいう時があります。これらはなかなか言葉で伝えることが難しく、技を盗む、背中を見て学ぶなど、非効率的な形で学ばざるを得ない状況にありました。

スマート漁業であれば、今まで言語化しにくかったものが言語化されるため、より効率的かつ合理的に漁業に挑むことができるようになります。

スマート漁業の活用事例

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スマート漁業ではどのようなことを行うのか、実際の活用事例などをご紹介します。

水揚げの予測

自然相手の商売である漁業は、時に大漁もあれば、空振りに終わることもあります。一方で船を出すのに燃料代などのお金がかかり、空振りに終わればその分がマイナスになるものの、大漁で終わるか空振りで終わるかは行ってみなければわからないのが実情です。

スマート漁業で注目されるのは、事前に水揚げの予測を行って、できる限り空振りを少なくするやり方です。空振りが予想されていた場合にその日を別の仕事に置き換えるなどのことをすれば、コストを下げられます。

こうした予測は過去の情報や天気などをAIで分析させることで算出することができ、ある程度先の予測まで行えます。適度に休むことができるなど、ワークライフバランスにもつながる技術と言えるでしょう。

乱獲を防ぐ

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クロマグロなどの水産資源は有限とされ、あまりにも捕獲しすぎると資源の枯渇が指摘され、結果的に産業の衰退につながります。そのため、業界では乱獲防止として、漁獲量の制限を行う場合があるなど、乱獲を防ぐ施策を打ち出しています。

この乱獲防止においてもスマート漁業が役立ちます。スマート漁業では生態系を守りながらも捕獲量をできるだけ確保するような形で漁業を行うことができるようになります。つまり、過度な乱獲防止で収入源を避けつつ、水産資源の枯渇も目指すことが可能です。

また第三者が行う乱獲を防ぐこともスマート漁業では可能です。近年、外国籍の船が乱獲をする動きがあり、問題になっています。こうした乱獲を防ぐ手立てをAIが考えて実行していくこともできます。

なぜスマート漁業が必要なのか

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なぜスマート漁業が必要なのか、その理由をご紹介していきます。

人員不足

漁業に限らず、いわゆる第一次産業と呼ばれる産業に従事する人は年々減っています。第一次産業は漁業や農業、林業などが該当し、私たちの生活に欠かせない産業です。しかし、第一次産業に従事する人はどんどん減り、慢性的な人員不足となっています。

後程ご紹介する高齢化にもつながりますが、若い人たちが入ってきにくく、かといって、若い人だけでやらせることへの抵抗が第一次産業にあるため、結果として産業全体の衰退、もしくはジリ貧につながっている状況です。

この人員不足を技術的に解消していくのがスマート漁業です。スマート漁業を通じて人員不足の解消を図っていくのが大きな狙いとなっています。

高齢化

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第一次産業では高齢化も大きなネックとなっています。例えば農業の場合は還暦を過ぎた人たちが農業従事者の大半を占めており、若くして農業を行っている人はほんの一握りという状況です。

平均年齢は2000年代後半ですら既に還暦を迎えていた中で、現状は年金が受け取れる65歳が視野に入っています。つまり、平均年齢そのものが年金受取が可能な年齢になっており、高齢化は深刻と言わざるをえず、70歳以上の人たちが漁業を支えている状況です。

一方、海外に目を向けると漁業に対する需要は高く、海外では様々な形で水産業に力を入れています。需要としては決して衰退するような産業ではありませんが、現状だと衰退せざるを得ないような状況になっており、スマート漁業の存在が重要なカギを握ります。

技術の高度化

お正月などに放送されている大間のマグロを巡る番組では、最新の技術を使ってマグロを確保するケースと、壊れかけの設備を使ってどうにかマグロを退治しようとするケースが見られ、求められる技術、それを扱う人間という構図が垣間見えます。

自然の摂理に任せて、カモメの動きなどでマグロを追いかけることも大事ですが、より効率的にマグロを捕獲していくには技術力が欠かせません。そして、スマート漁業を活用することでより効率的に漁業に挑むことができます。

スマート漁業のメリット

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ここからはスマート漁業のメリットについて解説していきます。

効率化が図れる

漁業は何かと労力がかかる仕事であり、しかも危険が伴う仕事でもあります。一方で、決して効率的とは言えない作業も多く、これらが若者の敬遠につながっているほか、高齢者にとっても負担となっている部分はあるでしょう。

こうした労力がかかりやすい作業がスマート漁業の方向性に進むことで効率化が図れるようになります。長年の勘で決めていたことがAIなどに任せることで効率的に行えるようになったため、若い人でもAIを活用すれば漁業で結果を出せるようになったと言えます。

また養殖産業においても、エサを撒くのを自動化することでわざわざ人を配置してエサを撒いてもらう必要もなくなりました。効率よく漁業が行えるようになったことは大きなプラスです。

漁獲量が安定する

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漁獲量は自然に左右される部分があり、安定的な漁獲量はなかなか確保できません。しかし、スマート漁業の活用により、安定した漁獲量が狙えるようになります。漁獲量を安定的な状態にすれば、収入の確保にもつながるでしょう。

漁獲量を安定させるには、水揚げ量などの情報を事前に知っておく必要があります。この点の情報もAIなどを使って把握できるようになれば、常に好調な漁場を見つけて動くことができるでしょう。

人材不足を防ぐ

漁業において問題視されているのが高齢化、人材不足などです。年齢を重ねた漁師のスキルを後世につなげようにも、つなぐ相手がいなければ話になりません。また、後世につなぐためにいかに言語化するかも大事ですが、この言語化がうまくいかないことが多々あります。

その点、スマート漁業であれば、うまく言語化ができ、若い人であっても即戦力になれるような形で漁業に従事できます。今後少子化もあり、外国人を雇用するなどして産業を維持することも考えられます。その中で、スマート漁業の存在はこうした外国人の雇用においてもプラスに働くことでしょう。

スマート漁業のデメリット

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ここからはスマート漁業のデメリットについてご紹介します。

新しい技術導入への抵抗

漁業に従事する方たちにはプライドがあり、先祖代々から受け継いできた仕事という誇りがあります。スマート漁業の導入は、プライド、誇りを否定しかねないものと思われやすく、警戒する動きが出てくるのは仕方ありません。

元々第一次産業は保守的な考えを持つ方が多く、革新的な考え、変化を重視する流れへの抵抗がどうしてもあります。特にスマート漁業はAIなどを用いるため、AIそのものへの不信感も手伝い、導入に執拗に反対するケースも見られます。

導入するためにはいかにスマート漁業の考え方が大事なのかをわかってもらうことが大事です。その上で導入の意義を根気強く伝えていくことが求められるでしょう。

導入のコスト

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スマート漁業を行うには一定のコストがかかるため、その点も注意すべき部分です。そもそも漁業に用いる機械は基本的に高く、昔からある機械をだましだまし使っている人も珍しくありません。スマート漁業を行うとなれば総じて費用は高く、どのように費用を工面するのかと議論になることは当然です。

国からの補助金などを有効的に活用することが大切ですが、いかに活用していくのかも大事です。ただ単に導入すればいいわけではないというのがネックとも言えます。

スマート漁業導入時の課題

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スマート漁業を始めるにあたり、一番のネックは人材の確保です。この場合の人材の確保はスマート漁業を扱う人材です。結局、漁業従事者の中にスマート漁業に対する理解者がいなければ、計画は頓挫する可能性が高くなります。頓挫させないためには、リテラシーを持つ人物を配置し、保守的な考えを持つ漁師の説得が行えるようにしないといけません。

また漁協全体でスマート漁業を導入していく場合にも、導入することでのメリットをどのように説明していけるかも大切です。データの確保などやるべきことはたくさんあるため、いかに説得できる材料を確保していくかもポイントになります。

まとめ

スマート漁業は間違いなく漁業の未来を救う存在になることは間違いありません。しかし、今までの産業がガラッと変わってしまうのではないかと不信感を抱く人もいるでしょう。まして漁師として生計を立て、長年支えてきたベテランであればあるほど抵抗するケースも考えられます。

スマート漁業を行うメリットを丁寧に紹介し、決して悪いものではないということをいかに説得できるかが大きなカギを握ります。産業全体をこれ以上停滞させないためにも、AIなどを積極的に活用していくことが求められるでしょう。

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