半教師あり学習とは?概要やメリット、その他の機械学習手法との違い、活用方法について解説
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皆さんは半教師あり学習をご存じですか?半教師あり学習は機械学習の学習手法の1つであり、教師あり学習と教師なし学習の中間に位置するようなものです。半教師あり学習がどのような意味を持つものなのか、気になる方も多いはずです。
今回は半教師あり学習にスポットを当て、半教師あり学習のメリット・デメリット、その他の手法との違いについてご紹介します。
半教師あり学習とは?
半教師あり学習とはどういうものなのか、半教師あり学習に関する基本的な情報をまとめました。
半教師あり学習の概要
半教師あり学習は、教師あり学習と教師なし学習の中間に位置する学習手法です。教師あり学習ではラベル付けがなされた教師データを用いますが、教師なし学習ではラベル付けがなされていないデータを用います。この両方を用いるのが半教師あり学習です。
最初に教師あり学習で学習モデルを作った後に、その学習モデルを活用して教師なし学習を行うというのがおおまかな流れです。
半教師あり学習のメリット
ここからは半教師あり学習のメリットについてご紹介します。
ビッグデータにも対応できる
近年ビッグデータの活用が注目されています。あまりにも膨大なビッグデータに関して、すべてをラベル付けするとなると相当大変です。一方で何もせずに学習をすれば計算コストなどもかかります。そこで注目されるのが半教師あり学習です。
半教師あり学習であれば最初に一定規模で教師あり学習を行っておけば、あとはラベルを付けていないものを投入していけば大丈夫です。ビッグデータを処理するのに最初の段階で相当な時間がかかる中で、半教師あり学習ならば一定時間を削減できます。前処理にかかる時間を減らせるのはかなり魅力的です。
ラベル付けのコストが減る
機械学習におけるラベル付けのコストはあまり知られていませんが、実はそれなりにコストがかかります。自然言語処理に関連するAIにおいて、データセットを作るだけで最低で100万円、最高で1億円もかかってしまうことがあります。
データを集めて、加工してからラベル付けを行いますが、どのように集めるのかにもお金がかかる中で、加工してラベルまで付けるとなると相当な労力を必要とするのです。しかも、医療系のAIを作る際、レントゲン写真などのラベル付けは専門家が行わないとなかなか進みません。
その点、半教師あり学習はラベル付けは一定範囲で済ませられるので、コストを最小限にすることができます。
ネットのデータを効率よく活用できる
画像やテキストなどネットには膨大なデータが転がっています。しかし、これらの画像やテキストの大多数はラベルがついていません。そのため、教師あり学習をするにはラベル付けをする必要があります。
半教師あり学習であれば一部分のラベル付けをすればよく、残りはラベル付けをしないものを活用すれば大丈夫です。ネットにある情報を使いながら学習をしていく中で半教師あり学習であればより効率よく活用していくことができます。
半教師あり学習のデメリット
次にご紹介するのは半教師あり学習に関するデメリットです。
ラベル付けをしているもの・していないものの分布を同じにする必要がある
半教師あり学習はとても魅力的なやり方ですが、大きな問題としてはラベル付きのデータ、ラベルがついていないデータの分布をできる限り同じにする必要がある点です。いわば、教師あり学習での傾向と教師なし学習での傾向がある程度同じでないと結果的に精度が落ちてしまいます。
特に最初の前処理で恣意的なデータの取り出し方をすれば、教師なし学習のフェーズに入った際に傾向と異なる結果が出る場合があり、せっかくのビッグデータが台無しになります。その差を埋めながら学習を行う方法はありますが、細心の注意を払わないといけない点で面倒と思う人もいるはずです。
必ずしも精度が上がるわけではない
半教師あり学習は教師あり学習と教師なし学習のいいとこ取りの面があるので、精度が上がるイメージを持つ人もいるでしょう。しかしながら、あくまでも半教師あり学習はラベル付けをしていないデータを有効活用するための方法に過ぎず、精度が上がるとは限らないのです。
むしろ先ほどのデメリットにもあったようにデータの分布などへの配慮がない形で活用すれば精度は落ちやすくなります。もしも半教師あり学習を活用するのであれば、いかにラベル付けのないデータを活用していくかが大事であり、その対策は必須です。
計算コストの問題
半教師あり学習では一定規模の教師あり学習、その他の教師なし学習という具合で学習を行いますが、大部分は教師なし学習となるので、一定の計算コストがかかります。しかも、半教師あり学習なので若干複雑な仕組みで運用を行う分、余計に計算コストがかかる問題が出てくるのです。
半教師あり学習を上手く行っていくには事前の準備が必要であり、コンピューターのスペックなどもある程度いいものでないと上手くは進みません。計算コストだけでなく、費用的な意味合いでのコストもかかるでしょう。
半教師あり学習とその他の機械学習手法との違い
半教師あり学習の他にも機械学習に関する手法がいくつかあります。半教師あり学習以外の手法についてご紹介します。
教師あり学習
機械学習の中で最もポピュラーなやり方が教師あり学習です。事前に教師データとラベルの設定があるため、データとラベルの関係性から学習が行われ、その後の入力データに対しても予測が行えます。
この教師あり学習では回帰と分類の2つのパターンがあり、回帰は数値を予測するもの、分類は〇か×か的な予測をするものです。教師あり学習は多くのラベル付きデータを必要とするため、コストがかかるほか、そもそもラベル付きのデータを確保するのに時間がかかる点もマイナスです。
そのラベル付きのデータもしっかりとしたものでないとその後のモデルに悪影響を与えます。ゆえにビッグデータの前処理の段階から気を付けていく必要があるのです。
教師なし学習
教師なし学習は、ラベルがついていないデータを用いて機械学習を行っていきます。ラベルがついていないため、教師あり学習のように前処理にコストをかけずに学習を行っていけるのが大きな利点です。
教師なし学習ではクラスタリングなどが一般的で、主成分分析などを行って次元を削減し、次元の呪いを避けることにもつなげられます。
その一方で、結果に至るプロセスが見えにくいブラックボックス化が問題視され、その数値をいかに評価するかに頭を悩ませることもあります。ビッグデータを扱うにはもってこいですが、そのプロセスを知りたい時に手間がかかると言えるでしょう。
半教師あり学習の活用方法
ここからは半教師あり学習の活用方法についてご紹介します。
自然言語処理
チャットボットなどテキストでのやり取りをするものやAIスピーカーなど言葉でやり取りをするものに用いられるのが自然言語処理です。この自然言語処理は、ラベル付けがとても大変とされ、準備に一定の時間を要します。
半教師あり学習であれば、ラベル付けの時間にそこまでかけなくて済むため、普通の教師あり学習と比べればコストはかかりにくいでしょう。またラベル付きのデータが足りない場合でも半教師あり学習であれば対応しやすくなります。
画像認識
画像認識ではたくさんある画像から学習を行い、自動運転や顔認証などに応用することができます。先ほどもご紹介した通り、大量のラベル付きデータが必要になるほか、ネット上にはラベルがついていないデータが多くあるので準備に時間がかかります。
より効率よく画像認識をしていくには半教師あり学習がおすすめです。今までであれば大量のデータが必要とされてきた中でその必要性がなくなります。半教師あり学習を用いた画像分類タスクも出回っているなど、画像認識のジャンルにおいて半教師あり学習はかなり有望と言えます。
異常検知
品質管理などで用いられる異常検知は、最初に正常なデータを学習させてから異常なデータをチェックしていきます。一方、普段から品質の高いものを作っていると、異常なデータを確保するのが大変というケースも出てくるでしょう。
半教師あり学習であれば、例えばラベルがついていないデータで学習しながら、異常を見つけていくようなことも可能になります。あとは日々の学習を通じてデータを集めながら対応していくような形になるでしょう。
ディープラーニングに欠かせない半教師あり学習
半教師あり学習はもはやディープラーニングには必要不可欠なものと言えます。ディープラーニングは教師あり学習で行うのが理想的ですが、それだけ前処理に時間がかかります。半教師あり学習はその心配が少なく、半教師あり学習でも教師あり学習と同様の効果が得られやすくなるでしょう。
むしろラベルの付いていないデータを有効的に活用する点において、半教師あり学習は効果的です。ディープラーニングにも当然デメリットはありますが、半教師あり学習であれば、そのデメリットをある程度抑制しつつ、メリットの部分を活かせるため、今後注目すべき組み合わせと言えます。
まとめ
半教師あり学習は教師あり学習や教師なし学習の中間に位置しますが、それぞれが持つメリットを活用できるやり方です。もちろん、配慮すべき点もあるので、適当にやれば大きな痛手を負いますが、細心の注意を払うことができれば、半教師あり学習の効果を最大化することは可能でしょう。
ネット上には大量のデータが転がっているからこそ、これを有効活用したいと考えるのが普通です。今までは活用するにも手間暇がかかりましたが、半教師あり学習であればその手間暇をある程度抑えられるので、活用を検討して損はない学習手法と言えるでしょう。
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