セマンティックセグメンテーションとは?深層学習を利用した画像処理の仕組みやインスタンス手法との違い
INDEX
- セマンティックセグメンテーションとは?
- セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションとの違い
- セマンティックセグメンテーションとパノプティックセグメンテーションとの違い
- セマンティックセグメンテーションの技法・仕組み
- FCN(全層畳み込みネットワーク)
- SegNet
- FPN(特徴ピラミッドネットワーク)
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
- RNN(回帰型ニューラルネットワーク)
- R-CNN(領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク)
- セマンティックセグメンテーションの活用事例
- 自動運転
- 顔認証
- ドローン
- 画像診断
- 外観検査
- セマンティックセグメンテーションの課題
- まとめ
- さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
セグメンテーションとは、AIによる画像認識技術の1つであり、ディープラーニングの発展によって誕生した技術の1つです。
そんなセグメンテーションには、セマンティックセグメンテーションを始めとした種類がいくつか存在します。
今回は、セマンティックセグメンテーションの概要や仕組み、活用事例や課題についてわかりやすく解説します。
セマンティックセグメンテーションとは?
セマンティックセグメンテーションとは、セグメンテーションの1種であり、画像の中にあるピクセルひとつひとつに対してラベル付けしていく手法のことです。
また、領域分類とも呼ばれています。
画像全体ではなく、ピクセル単位でのラベル付けができることから道路や空などの不定形の領域を検出できます。
そのため、自動運転や医療現場、製造工場などのさまざまな分野でセマンティックセグメンテーションは活用されることが多い手法の1つです。
セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションとの違い
インスタンスセグメンテーションとは、物体の種類を認識する手法のことです。
画像の中にある物体を特定することで、個体ごとに分割して物体の種類を認識していきます。
そのため、セマンティックセグメンテーションとは異なります。
セマンティックセグメンテーション:不定形の領域の特定が得意な手法
インスタンスセグメンテーション:画像内に映る隣接した物体それぞれ個別で特定する手法
セマンティックセグメンテーションとパノプティックセグメンテーションとの違い
パノプティックセグメンテーションとは、セマンティックセグメンテーションとインスタンスセグメンテーションを組み合わせた手法のことです。
それぞれの長所が統合されているので、ピクセル単位でのラベル付けによる不定形の領域の特定と画像内の物体を個別に認識することができます。
現時点では、まだ研究途中であり実用化には多くの課題がありますが、今後幅広い分野で活用されていくことが期待されています。
セマンティックセグメンテーションの技法・仕組み
セマンティックセグメンテーションには、さまざまな技法・仕組みが採用されており、その中でも代表的なものは以下の通りです。
- FCN(全層畳み込みネットワーク)
- SegNet
- FPN(特徴ピラミッドネットワーク)
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
- RNN(回帰型ニューラルネットワーク)
- R-CNN(領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク)
ここでは、セマンティックセグメンテーションの代表的な技法・仕組みについて解説します。
FCN(全層畳み込みネットワーク)
FCN(全層畳み込みネットワーク)とは、「Fully Convolutional Network」という言葉の略称で、セマンティックセグメンテーションの技法の1つです。
また、多層構造のニューラルネットワークであるCNN(畳み込みニューラルネットワーク)の1つに分類され、全結合層の代わりに畳み込み層で構成されていることが特徴です。
主に画像の中の顔や背景、物体を認識して処理することが得意なことから、自動運転や顔認証などに活用されています。
SegNet
SegNetとは、エンコーダとデコーダで構成されているモデルで、イギリスのケンブリッジ大学が提唱したセマンティックセグメンテーションの技法の1つです。
エンコーダとは入力画像から畳み込み層によって特徴を抽出する装置で、デコーダは抽出した特徴を元画像のピクセル位置との対応関係としてマッピングする装置のことです。
このそれぞれの装置によってSegNetは、抽象的な画像から高解像度の画像を再構築する仕組みを持っています。
FPN(特徴ピラミッドネットワーク)
FPN(特徴ピラミッドネットワーク)とは「Feature Pyramid Networks」という言葉の略称で、画像データから抽出された特徴をピラミッド型に伝播させる手法のことです。
このFPNを使うことによって、ディープラーニングの抱える計算量やメモリ消費などの問題を気にすることなく、画像認識の効率化を計ることができます。
さらに、異なる画像倍率での分析や統合を省くことができることが特徴的です。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは、「Convolutional Neural Network」という言葉の略称で、多層構造のニューラルネットワークのことです。
主に、「全結合層」「畳み込み層」「プーリング層」の3層から構成されており、セマンティックセグメンテーションを含む画像認識技術の1部を担う重要なものでもあります。
実際に、CNNは画像認識において高い精度を発揮できるニューラルネットワークの1つです。
RNN(回帰型ニューラルネットワーク)
RNN(回帰型ニューラルネットワーク)とは、「Recurrent Neural Network」という言葉の略称で、時系列データや自然言語処理、連続的なデータの処理に適した技法のことです。
画像の垂直・水平方向の連続性をモデル化させられるので、画像認識技術においては欠かせない技法の1つでもあります。
さらに、以前に学習させたデータを記憶することができるので、直前に学習させたデータに影響されることなく言葉を覚えながら作業することが可能です。
R-CNN(領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク)
R-CNN(領域ベースの畳み込みニューラルネットワーク)とは、「Region-Convolutional Neural Network」という言葉の略称で、物体検出用に考案されたモデルのことです。
インスタンスセグメンテーションなどに応用されているモデルでもあり、CNNよりも物体検出で分類できる種類が多いことが特徴になります。
画像から物体が存在する領域の候補を抽出し、物体を囲む長方形の枠(バウンディングボックス)とクラスを予測します。
画像内の物体が存在している領域の候補を抽出して物体のバウンディングボックスとクラスを予測します。
そして、CNNを用いてその予測データから特徴量を出力する仕組みです。
セマンティックセグメンテーションの活用事例
セマンティックセグメンテーションは、高い画像認識を実現できることから幅広い分野で活用されている技術です。
そのため、今後もより多くの場面でセマンティックセグメンテーションの活用が進んでいくことでしょう。
ここでは、セマンティックセグメンテーションの活用事例を主に5つ紹介します。
自動運転
自動運転では、周囲の物体や標識、道路などを認識して正確に処理するために活用されています。
セマンティックセグメンテーションによって、道路状況の画像をピクセル単位でラベル付けすることで正確な状況判断が可能です。
そのため、道路に落ちているゴミや歩行者、渋滞などを認識して安全で効率的な運転を実現させることに繋がります。
また、標識に従った走行も実現可能です。
顔認証
顔認証では、似ている顔でも細かな違いや特徴を判別する必要があるので、画像認識精度や正確性が求められます。
特に、スマートフォンのロック解除やセキュリティシステムの抑制で利用される顔認証では、正確に識別できなければ大きな問題に発展するリスクが高いです。
そのため、現在でもスピーディで正確な顔認証ができるように研究・開発が進められています。
ドローン
ドローンの自動操縦にもセマンティックセグメンテーションは活用されています。
空を移動する場合、電線や他のドローン、建物などのさまざまな物体を瞬時に認識する必要があります。
少しの認識遅れで事故を引き起こすリスクが高いので、正確でスピーディな画像認識が求められています。
さらに、ドローンの自動操縦によって人間では立ち入りが厳しい場所での作業や撮影を実現させることも可能です。
画像診断
画像診断は、医療や建設、製造などさまざまな業界で必要な技術の1つです。
そんな画像診断では、セマンティックセグメンテーションを活用することで、人間の目では認識できないものまで正確に認識することができます。
そのため、ウイルスやがん細胞の判定や建物や製造品の僅かな異常を検知することも可能です。
さらに、人間の負担を軽減して人材不足の解消にも大きく貢献します。
外観検査
製造工場の品質検査・管理や設備の故障、異常検知などは、人間による手作業では見落としてしまう可能性があります。
セマンティックセグメンテーションを活用した画像認識によって精度の高い外観検査の実現が可能です。
特に、人間の目では認識できないほど細かい異常などは、AIによる画像認識に任せた方が効果的に認識できます。
そのため、食品の異物混入や設備や製品の故障、傷なども最小限に抑えて、高い生産性を保つこともできます。
セマンティックセグメンテーションの課題
セマンティックセグメンテーションには、物体が重なっていたり隣接しているとそれぞれの物体を区別することが難しいという課題があります。
インスタンスセグメンテーションは、物体の種類の認識を得意としているので、人の後ろに車が写っている画像でもそれぞれの物体を区別できます。
そのため、セマンティックセグメンテーションを最適に活用していくためには、インスタンスセグメンテーションとの併用やパノプティックセグメンテーションの活用が必要です。
ただ、現時点でも自動運転や医療、製造業などでの活用が進んでいるので、社会に高く貢献しています。
まとめ
セマンティックセグメンテーションには、さまざまな技法があり幅広い分野で活用が進んでいる状況です。
理解を深めるためには、さまざまなスキルや知識が求められるので、決して簡単な分野ではありません。
ただ、将来的にも大きく期待されている技術の1つなので、興味がある方はセマンティックセグメンテーションの学習や導入を検討してみることをおすすめします。
さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。
⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。
そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。
ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!