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強化学習とはなに?機械学習や深層学習(ディープラーニング)との違い、手法や活用事例までわかりやすく解説!

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AIは現在、さまざまな分野で活用されており今後もさらに発展し続けていきます。

そんなAIを発展させる手段に強化学習という方法があり、多くのAIで活用されている学習方法です。

今回は、そんな強化学習の基礎知識や機械学習や深層学習(ディープラーニング)との違い、手法や活用事例までわかりやすく解説します。

強化学習とは?強化学習の基礎知識について

強化学習とは、機械学習というAIにデータを与えて学習させる手法の1つです。

学習者であるAIは、与えられたデータを元に何度も試行錯誤を行い最適なデータへと処理していく仕組みであり、この強化学習の概念はAIが誕生する前から存在していました。

通常のコンピュータであれば正解データを与えなければ過程を試行できませんが、強化学習では世界データがなくても人間のように自ら試行錯誤して結果を導き出します。

そのため、強化学習はゲームAIやIotロボット、医療業界や金融業界などさまざまな分野で活用されています。

機械学習にはPythonが適している

AIの機械学習を行う際、プログラミングは必要不可欠になります。

そして、強化学習においては数あるプログラミング言語の中でもPythonが最も適しています。

Pythonは、構文がシンプルで可読性が高いことからプログラミング初心者から上級者まで幅広く人気のある言語です。

さらに、豊富なライブラリが提供されているので、AIの機械学習に必要な複雑な計算やデータ処理をほとんど自動で進めてくれます。

そのため、現在Pythonは世界中で機械学習や強化学習の実装で活用されるようになりました。

これから強化学習を実践してみたい方は、Pythonを身につけることをおすすめします。

強化学習で使う基本用語

強化学習には、必ず覚えておく必要のある基本用語がいくつかあるので、これから強化学習への理解を深めていきたい方は覚えておくことが大切です。

ここでは、強化学習で使う基本用語を解説します。

エージェント

エージェントとは、強化学習を行う学習者のことです。

強化学習は基本的にAIに対して行われるので、ここでいう学習者はAIのことになります。

強化学習では、エージェントが環境に対してさまざまな試行錯誤をし、行動を最適化していくことで、適切な行動を学習します。

そして、結果によって得られた変化を報酬として獲得する流れです。

環境

環境とは、エージェント(AI)が行動するための基盤のことです。

強化学習では、エージェントが与えられた環境の中で、行動を最大化させて報酬を獲得するという流れで学習を進めます。

この環境は、エージェントに与えられている前提条件でもあるので、強化学習においては重要な役割です。

状態

状態とは、エージェントの今の状態のことです。

エージェントは、与えられている環境を元にさまざまな行動を起こして、今の状態から次の状態に変化させていきます。

そのため、状態はエージェントの行動によって変化し続けるものです。

行動

行動とは、エージェントが起こす行動のことです。

エージェントが学習のために特定の行動をとると、環境から報酬が与えられるようになっているので、その結果状態が変化します。

報酬

報酬とは、エージェントの行動によって環境から与えらえる値のことです。

エージェントが行動を起こすことで状態が変化し次の状態に映ります。その時の変化を数値化したものが報酬としてエージェントに付与されます。

エージェントは、この報酬を得るためにさまざまな行動を起こして状態を変化させ続けます。

強化学習の手法・アルゴリズム

強化学習には、さまざまな手法・アルゴリズムがあり、特化している分野や特徴が違います。

ここでは、強化学習の代表的な手法・アルゴリズムを主に3つ解説します。

Q-Learning(Q学習)

Q-Learning(Q学習)とは、Q関数という行動価値関係を学習する手法のことです。

このQ-Learningでは、新たな行動を繰り返し行っていくことで、Qテーブルというテーブルを埋めていきQ テーブルの値を更新していきます。

このプロセスを繰り返し行っていくことで、特定の2択の選択が必要な場合でも、AIはより報酬が多く得られる結果を選択することが可能です。

そのため、この行動によって導き出したい結果に近づいていきます。

SARSA

SARSAとは、以下5つの要素から構成されている学習方法です。

  • S:現在の状態
  • A:エージェントの行動
  • R:報酬
  • S2:行動後の状態
  • A2:S2で判断されたエージェントの次の行動

また、Q-LearningのようにQ関数を学習する手法でもありますが、具体的にはQ-Learningとは違った手法になります。

SARSAは、「新たな行動」ではなく「実際に行動した結果」を用いて期待値を見積り、Q関数を更新することが特徴です。

そのため、現在の状態を更新するためにはエージェントが再度行動する必要があります。

モンテカルロ法(MC法)

モンテカルロ法(MC法)とは、エージェントの行動によって得られる報酬が不明な状態で、利益を最大限にするように学習させるための手法です。

この手法では、何回も行動を繰り返して出力された結果、得られる報酬の平均値を算出し、その平均値よりも高い平均値を得られるように学習していきます。

そのため、行動を繰り返す回数が多いほど、高い平均値を算出させることが可能です。

ただ、計算に時間がかかるので、あまり効率的ではないことを理解しておきましょう。

強化学習と機械学習との違い

機械学習とは、AIが与えられたデータの傾向やルールなどを学習する方法の1つであり、主に「強化学習」「教師あり学習」「教師なし学習」の3種類があります。

強化学習は、機械学習の1つに分類されているAI技術です。

教師あり学習は、強化学習と違い正解データを与えた上で学習させる方法であり、AIは正解データを真似るようにします。

教師なし学習は、強化学習と同様に正解データがない状態で試行錯誤する学習方法ですが、行動による報酬を与えないという点は強化学習とは違います。

そのため、強化学習は機械学習に分類される学習方法ですが、具体的な特徴や方法は違います。

強化学習と深層学習(ディープラーニング)との違い

深層学習(ディープラーニング)とは、与えられたデータの傾向やルールを多層的な構造を使って学習する機械学習です。

通常の機械学習と違い大量のデータから自動で分析して、自ら学習すべきことを理解して試行錯誤を行います。

強化学習では、事前にAIに学習させるデータを与える必要があるので、その点が深層学習との大きな違いです。

強化学習の活用事例

強化学習は、現在さまざまな分野で活用されており、日常生活を送る中で知らずに体験していることが多いです。

ここでは、強化学習の活用事例について解説します。

広告の最適化

強化学習は、広告の最適化に活用されています。

マーケティングツールを提供・販売しているナビプラス株式会社では、自動最適化ツールに強化学習を活用して「ナビプラス」というツールを提供しています。

Webサイトなどのコンテンツに広告を表示させる場合、どの方法が最も効果的かは正解がありません。

そのため、強化学習を活用してどの方法が優れているのかデータとして取得し、その結果を実践させるのです。

この方法を活用することで、企業はより効果的に成果を挙げられるようになります。

コンテンツのレコメンド

コンテンツのレコメンドをする場合にも、強化学習は活用されています。

世界中で多くのユーザーを抱えているVOD「Netflix」では、強化学習を活用してユーザーごとに最適なコンテンツをレコメンドすることが可能です。

主に、トレンドや視聴率、離脱率などのデータをAIに学習させて、ユーザーが満足してくれそうなコンテンツを表示させる仕組みになっています。

さらに、今後さらにユーザーのデータが蓄積されていくことによって、より精度の高い結果を導き出すことが可能です。

自動運転

強化学習を活用することで、自動運転も実現させられます。

運転には、さまざまなパターンが存在しており、場合によっては正解ルートのない場合も多いので、簡単に自動化させることが難しいです。

しかし、強化学習を活用してさまざまな交通情報を与え、安全な運転方法を試行錯誤させることで実現させることができます。

実際に、株式会社Preferred Networksでは強化学習を活用して自動運転の開発を進めており、実現する日も近いです。

そのため、強化学習を活用した研究は多くの業界で注目を集めています。

エレベーターの制御システム

エレベーターの抑制システムに強化学習を活用することで、エレベーターの稼働率を向上させることが可能です。

AIに、エレベーターで人が短時間で目的の場所まで移動させるための方法をフロアや使用人数などのデータを与えて強化学習させることで、エレベーターの効率的な利用が実現しました。

また、強化学習では過去の利用データを元に最適化を行うので、エレベーターの課題もしっかり解決させることが可能です。

強化学習の今後の課題

強化学習は、さまざまな課題解決や技術発展に貢献できるので、さまざまな分野で活用されています。

ただ、ビジネスやサービスで完全に活用しきれていなかったり、導入が難しい分野も少なくありません。

強化学習は、現時点で複雑な条件のあるデータを分析して結果を導き出すことが難しい状態です。

例えば、自動運転のための交通状況の分析や感情・思考を元に行動するなどは、完璧ではありません。

また、強化学習でAIが正しい結果を導き出せた場合でも、過程を間違えている可能性があるので、そういった不信感を払拭することも大切です。

そのため、強化学習は以上のような課題を解決させるために、現在さまざまな改良や開発が進められています。

まとめ

強化学習は、さまざまな分野で活用されているAI技術の1つであり、今後もニーズが高まり続けていきます。

また、強化学習にはさまざまな手法・アルゴリズムがあるため、目的や状況に合わせて最適なものを選んで使用することが大切です。

これからAIや機械学習・強化学習への理解を深めていきたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみることをおすすめします。

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