画像生成におけるPix2Pixとは?概要やCycleGANとの違いまでわかりやすく解説!
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皆さんはPix2Pixをご存じですか?Pix2Pixはディープラーニングを通じて画像の返還を行う手法です。Pix2Pixを活用することでどのようなことが可能になるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではPix2Pixに着目し、Pix2Pixの概要やPix2Pixのメリット、他の手法との違いなどを解説していきます。
Pix2Pixとは?
Pix2Pixとはどういうものなのか、Pix2Pixに関する基本的な情報についてご紹介していきます。
Pix2Pixの概要
Pix2PixはGANを活用したアルゴリズムの1つで、画像生成に用いられます。GANは画像データの特徴を学び、似たようなデータを作り出せるモデルで、読み取った画像に近いものを作り出すことができます。
Pix2Pixでは2枚を1組にした、2組の画像からそれぞれ画像の関係性を学習していき、それぞれの画像の状態を踏まえて1組の画像を作り出す技術を持っています。
Pix2Pixでは白黒で作られた絵を入力し、ふさわしい色をつけて変換していくことができます。その上で、本物か偽物かを判断していき、より本物に近づけていくことが可能です。
ベースになっているのはCGAN
Pix2PixはCGAN、正式名称Conditional GAN(条件付きGAN)がベースになっているのが特徴的です。元々GANは敵対的生成ネットワークと呼ばれ、生成器と識別器がそれぞれ敵対しながら学習していくのがポイントです。
一般的なGANでは用意されたデータセットに近いデータを、乱数を活用して作り出していきますが、CGANは条件付きGANなのでデータに条件を付けていくものです。画像データだけでなく、条件を追加してから訓練を行えるので、出力される画像をコントロールできるようになります。
元々GANから派生して作られたのがCGANであり、このCGANからさらに派生したのがPix2Pixです。ゆえにCGANがベースになっていると言えます。
Pix2Pixの仕組み
ここからはPix2Pixの仕組みについて解説します。
ジェネレーター
まず入力された画像はジェネレーターに送られます。ジェネレーターでは白黒の絵などから学習していき、できる限り本物に似せるために画像を生成します。
白黒の状態から色をつけていきますが、その色合いがふさわしいかどうかの学習もここで行っていき、最終的にカラーの状態で出力することができます。
ディスクリミネーター
ディスクリミネーターでは、ジェネレーターで出力されたカラーの画像が、本物の画像に見えるかどうかの判断を行います。この時、ジェネレーターが作り出した画像のほかに、本物の写真を活用しながら学習を重ねて、より本物に近づけながら生成を行っていきます。
それぞれが敵対してより本物を目指す
GANは元々敵対的生成ネットワークと言われるだけ、2つの部分が敵対関係にあります。この場合、ジェネレーターとディスクリミネーターが敵対関係にあり、ジェネレーターではなるべく本物に近づけていきたい、ディスクリミネーターはなるべく本物として正確に判別したいという動きを見せます。
少しでも本物ではないディスクリミネーターが判断すれば弾かれ、弾かれれば最後ジェネレーターが本物に似せるという形でどんどん本物へと近づけていきます。それぞれが敵対していく中で、最終的に入力された画像が本物の画像のように変換されていくのです。
Pix2Pixを用いるメリット
Pix2Pixを用いるメリットとしてどんなものが挙げられるのかをご紹介します。
画像全般に対応する
Pix2Pixを用いるメリットとして、画像全般に対応することが挙げられます。例えば、ピンボケしたような画像を元に戻すことも可能であり、ちょっとした似顔絵から顔写真を生成することも可能です。
また、下手に描いた絵を修正することもできると言われています。Pix2Pixを用いるメリットとして、誰でもうまい絵を描けるようになる可能性も想定できるなど、画像に関することであれば、色々な可能性を秘めていると言えるでしょう。
細かい部分まで対応できる
白黒の写真に色を塗る際、Pix2Pixの場合は細部まで色を塗ってくれます。この時、背景にまでしっかりと色を塗るため、本物の画像とそん色ない状態になりますが、一般的な畳み込みニューラルネットワークなどで学習を重ねても、大まかに色はついても、細部までは対応しきれないのが実情です。
GANならではの仕組みを活用しているからこそ、細部まで色がついていき、より本物に使づいていきます。一般的なCNNと比べても高性能であることは明らかです。
Pix2Pixに関する課題
ここからはPix2Pixに関する課題についてご紹介します。
データセットの準備に手間暇がかかる
Pix2Pixを作るには必ずデータセットが必要ですが、このデータセットを用意するのに手間暇がかかります。本物の画像を用意しないことには判別のしようがないため、適当なものを取り込むだけではいけません。
入力する画像、その画像に対応するものをペアにするため、色鮮やかな写真と白黒にさせた写真をセットで用意して学習させ、色鮮やかな写真になるよう、白黒に色をつけてもらい、本物に近づけます。データセットを作るのに時間やコストがかかるのが課題と言えます。
ネット上でいわゆるペア画像のデータはさほど出回っているわけではなく、それをたくさん手に入れるとなると大変です。大量に用意する場合にわざわざ作らないといけないというコストも想定できます。
学習データが不足すると間違いが出やすい
Pix2Pixの課題としては学習データの量によって間違いが出やすいというものが挙げられます。結局学習データとしてペアの画像を用意する、もしくは似たようなものをできる限り用意しないといけないので、どうしても足りなくなってしまうことがあります。
精度をより高めるには学習データをある程度充実させないといけないほか、学習データを増やせば一定の精度が保たれやすいと言えます。Pix2Pixを活用するのであれば、色々なデータを用意して条件を色々とつけていくことが大切です。
Pix2Pixの使い道とは
Pix2Pixがどのようなことに用いられているのか、その使い道についてご紹介します。
衛星画像と地図の相互変換
Pix2Pixは地理の分野で活用できると言われ、特に地図と衛星画像の相互変換が可能です。衛星画像から地図への変換、地図から衛星画像への変換がそれぞれできるため、相互変換ができると言えます。
学習データとしては衛星画像もしくは地図さえあれば、あとはそれに似たような画像などを組み合わせれば変換することは可能です。Pix2Pixの論文に用いられている画像でも衛星画像と地図の返還に関する画像は出ているので、実際に応用していくことはできます。
例えば、pix2pix for Map tilesというツールを利用すれば、地図を使って色々な用途に応用していくことができます。
自動的に色をつけられる
デジタル上で絵を描く際には実は色を付けていくのが大変という要素があります。絵は描けるとしても色塗りに時間がかかってしまうのが課題でした。ラフから線画、色塗りという形で進んでいきますが、「レイヤ分け」と呼ばれる、パーツごとの色塗りが結構大変なのです。
このレイヤ分けに関して、Pix2Pixを活用すれば、自動的に色がつけられるようになります。自動的に色がつけば、デジタル上で絵を描くのがやりやすくなり、負担軽減につながることは明らかです。
Pix2PixとCycleGANとの違い
Pix2PixはGANの一種ですが、他のGANとはいくつかの違いがあります。ここではGANの中でも有名なCycleGANとの違いとの違いについてご紹介していきます。
そもそもCycleGANとは何かですが、CycleGANは関連性がない2枚の画像を活用しながら新しい画像を作り出すものです。Pix2Pixでは関連性が明らかな2枚の画像を使っていましたが、CycleGANではその必要がありません。CycleGANでは合成させたい2枚の画像を使えば、うまく合成させたような形で生成してくれるのです。
またCycleGANでは条件をつけて、特定の画像を作らせることも可能です。絵のタッチをガラッと変えることもできるので、例えば、ピカソからゴッホヘ絵のタッチを変えるようなこともできます。
Pix2PixとCycleGANは画像を変換できるという点で同じであり、敵対している2つのニューラルネットワークを活用する点も共通しています。CycleGANの方がよりダイレクトに、大きく変えることができます。Pix2PixよりもCycleGANは進化していると言えるでしょう。
まとめ
Pix2Pixはここ数年で登場した技術であり、登場して間もないころはおもちゃのようにPix2Pixを使って様々な試みを行うケースも見られました。Pix2Pixを応用しているケースも多く、例えば、子供に料理の絵を描かせて、その絵が本物の料理の画像に変換されるというツールも登場しています。
Pix2Pixの汎用性は高く、様々な可能性を秘めていると言えるでしょう。デジタルでイラストを描く際にもPix2Pixはいいアシストをしてくれる可能性があります。Pix2Pixがもっと身近な技術として広まっていけば、絵を描くのが苦手な人も絵を描くことへの楽しさに気づいていくということも考えられるでしょう。
Pix2Pixが持つ可能性は私たちが思う以上に広いものであると言えます。
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