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NLP(自然言語処理)とは?仕組みやできること、活用事例をわかりやすく徹底解説!

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NLP

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デジタル時代において、AIと機械学習が日々進化し、その中心にあるのがNLP(自然言語処理)です。 

この記事では、NLPとは何か、その仕組みやできること、さらには具体的な活用事例まで、わかりやすく解説します。 

この記事を読むことで、NLPの基本から最先端の活用に至るまでの知識が得られますので、ぜひご一読ください。 

自然言語処理(NLP)とは?

自然言語と人工言語の違い 

自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)を理解する前に、まず「自然言語」と「人工言語」の違いについて説明します。 

自然言語は、私たちが日常会話や文章で使用する言語です。例えば、日本語、英語、スペイン語などがこれにあたります。自然言語は、曖昧さや豊かな表現力を持ち、文脈によって意味が変わることがあります。 

一方で、人工言語は、特定の目的のために人間によって意図的に作られた言語です。プログラミング言語やエスペラント語などが代表的です。これらは、特定のルールや文法に従って設計されており、明確で一貫した意味を持つように作られています。 

自然言語処理(NLP)の定義と基本概念 

自然言語処理は、コンピュータが人間の言語を理解し、解釈するための技術領域です。コンピュータにとって、人間の言葉は非常に複雑で予測しづらいものとなります。

なぜなら、私たちの言葉には、比喩、文脈に依存した意味、曖昧さなど、多くの微妙な要素が含まれているからです。 

NLPの目的は、このような複雑な自然言語をコンピュータに理解させることです。これにより、コンピュータはテキストや音声データを解析し、人間が自然に使う言葉での対話、情報の抽出、意味の解釈などが可能になります。 

簡単に言えば、NLPはコンピュータに私たちの言葉を「理解」させるための技術なのです。 

自然言語処理(NLP)の歴史と重要な出来事

機械翻訳の歴史 

機械翻訳は、NLPの歴史の中で最も早期に開発された領域の一つです。最初の機械翻訳の試みは1950年代に遡ります。 

この時代、コンピュータは非常に原始的でしたが、科学者たちは言語間の自動翻訳の可能性を探求し始めました。

初期のコンピュータはまだ基本的で、単語の置き換えが主な方法でした。 例えば、「犬」を英語の「dog」に単純に変えるようなものです。しかし、言語は単語だけでなく文脈やニュアンスを含むため、初期の翻訳は不自然なものでした。 

時が経つにつれて、より洗練された統計的手法や、最近では深層学習に基づくアプローチが登場し、翻訳の品質は飛躍的に向上していきました。 

ELIZAと初期のAIプログラム 

1960年代には、マサチューセッツ工科大学(MIT)で対話型プログラム「ELIZA」が開発されました。このプログラムは、人間がコンピュータに話しかけると、その言葉を分析して適切な応答を返すように設計されました。 

例えば、あなたが「今日は気分が悪い」と言えば、ELIZAは「どうして気分が悪いのですか?」などと返事するようにプログラムされています。 

このプログラムの特別な点は、コンピュータが初めて人間のような言葉で応答したことです。ELIZAは簡単なルールに基づいていたものの、人間の言語を理解し、適切な反応を示す能力をコンピュータに与えるという大きな一歩でした。 

AI「ワトソン」と「東ロボくん」

「ワトソン」は、IBMが開発した人工知能(AI)プログラムです。2011年、このAIはテレビのクイズ番組「ジェパディ!」に出場し、実際の人間のチャンピオンを破るという大きな話題を呼びました。 

一方、日本で有名なのが「東ロボくん」です。これは、大学入試の問題を解くために開発されたAIです。東ロボくんの開発は、AIがただ文章を読むだけでなく、より複雑な思考をして問題を解決する能力を持っていることを示しています。 

自然言語処理(NLP)の重要性 

現代社会ではデジタルデータの量が爆発的に増加し、特にソーシャルメディア、ブログ、オンラインニュースなどによって日々生成される膨大なテキストデータが貴重な情報源となっています。

この情報の海から有用な情報を抽出し分析するための鍵として、自然言語処理(NLP)が重要な役割を果たしています。 

近年、BERTGPT-3のような進化した汎用言語モデルの開発により、NLPの能力は飛躍的に向上しました。これらのモデルは文脈を理解する能力が高く、より正確で自然なテキスト解析や生成が可能になっています。 

同時に、NLP技術はビジネスのデジタル変革(DX)の中心に位置づけられており、多くの企業が自動化、顧客体験の向上、新たなサービスの開発などにNLPを活用しています。 

NLPの進展は、企業がデジタル化された未来に適応し、イノベーションを加速させるためのカギとなっています。 

自然言語処理(NLP)の主要な技術 

形態素解析 

形態素解析は、テキストを最小の意味単位である「形態素」に分割するプロセスです。 

具体的には、日本語の文章を個々の単語や接尾辞に分ける作業がこれにあたります。

例えば、「走った」という単語を「走る」と「た」に分けるようなものです。 

この分析は、テキストから意味のある情報を抽出するための基礎となり、特に単語の品詞や活用形を特定することで、テキストの基本的な理解に役立ちます。 

構文解析 

構文解析では、文章の文法的な構造を理解し、単語やフレーズがどのように組み合わさって意味を成すかを分析します。

例えば、「太郎が花子に本を渡した」という文では、誰が(太郎が)、何を(本を)、誰に(花子に)渡したのかという関係を明確にします。 

このプロセスにより、文章内の各要素の文法的な関係を理解することが可能になり、文章の意味をより深く掘り下げることができます。 

文脈解析 

文脈解析は、単一の文や単語を超えて、より広い文脈の中でのテキストの意味を理解することを目指します。これは、特定の文の意味が、前後の文によってどのように変化するかを分析することを含みます。 

例えば、話者の意図や感情、文の背景など、テキストの外にある要素を考慮に入れます。文脈解析は、特に会話や物語など、複数の文からなるテキストにおいて重要であり、文の表面的な意味を超えた深い理解を可能にします。 

自然言語処理(NLP)の課題 

自然言語の曖昧さ 

人間の言葉は文脈によって意味が変わることが多く、これをコンピュータが正確に理解することは非常に困難です。 

「彼はサクラを見に行った」という文を考えてみましょう。この文における「サクラ」は、通常は「桜(さくら)」、つまり美しい桜の花を見に行くことを指します。しかし、特定の文脈では「サクラ」という人物の名前を指している可能性もあります。このように、同じ単語が異なる意味を持つことを理解し、適切に処理することは、自然言語処理において重要な課題です。 

一般常識の組み込み 

人間は、共通の知識や常識に依存してコミュニケーションを行いますが、これらをコンピュータに理解させるのは難しい問題です。 

例えば、「東京タワーは日本にある」「水を凍らせると氷になる」など、人間にとっては明らかなことも、コンピュータにとっては初めての情報となる場合が多いです。

これらの情報をNLPシステムに組み込み、自然言語の理解を深めることは、NLP研究の活発な分野の一つです。 

言語間の違いへの対応 

世界には数千の言語が存在し、それぞれに独自の文法、語彙、表現があります。多言語に対応するNLPシステムを開発するには、これら各言語の特性を理解し、適切に処理する能力が必要です。 

データ量が少ない言語の処理能力向上は、英語や中国語といった主要言語に比べて困難ですが、グローバルなNLPシステムの発展には不可欠です。 

自然言語処理(NLP)の活用事例 

AIチャットボット 

AIチャットボットは、自然言語処理(NLP)技術を駆使して人間と対話をするコンピュータープログラムです。 

これらは顧客サービス、オンラインショッピングのアシスタント、ヘルスケアのアドバイスなど、多岐にわたる分野で活用されています。AIチャットボットは、ユーザーからの質問を理解し、適切な回答や情報を提供する能力を持っています。これは、自然言語理解(NLU)と呼ばれるNLPのサブセットを使用しています。 

NLUは、単なる単語の意味を超えて、ユーザーの意図や感情を解釈することが可能です。例えば、顧客が「商品が届かない」と言った場合、チャットボットはこの文から顧客の不満や問題の状況を理解し、適切な解決策を提案します。 

音声認識AI 

音声認識AIは、人間の音声をテキストに変換する技術です。この技術はスマートフォンの音声アシスタントや、音声入力を活用したテキストエディタなどで広く使われています。 

音声認識AIは、話された言葉をテキストデータに変換する過程でNLP技術を使用します。

この過程では、異なるアクセント、話速、文脈などを考慮に入れながら音声を解析します。例えば、同じ「ある」という言葉でも、話者によって発音が異なる場合があります。音声認識AIはこれらの違いを理解し、正確なテキストへと変換する必要があります。 

AI-OCR(光学文字認識) 

AI-OCRは、画像やPDF内のテキストを認識し、デジタル化する技術です。この技術により、紙のドキュメントや手書きのノートからテキスト情報を抽出し、データベースに保存したり、検索可能な形式で活用したりすることが可能です。 

AI-OCRは、単純な文字認識を超えて、レイアウトの理解や手書きの文字の解析など、複雑な処理を行います。例えば、ある文書に書かれた文字が、本文なのか見出しなのか、または図表の説明なのかを区別する必要があります。 

AI-OCRはこれらの課題に対処するために、高度な画像処理技術とNLPを組み合わせて使用します。これにより、デジタル化された文書はよりアクセスしやすく、情報の検索や分析が容易になります。 

NLPの将来性 

自然言語処理(NLP)の将来性は、技術革新や実用化の範囲の拡大により非常に明るいものと考えられています。 

ユーザーの行動や好みに合わせた個人化されたNLPアプリケーションの開発も進んでおり、より個人的かつ効果的なユーザーエクスペリエンスを提供することが可能になっていくでしょう。

また、ビジネスや産業分野においても、NLP技術の応用は急速に広がっています。

顧客サービス、マーケティング、ヘルスケア、教育などの多様な業界で、効率化、コスト削減、ユーザーエンゲージメントの向上に寄与しています。 

まとめ 

この記事では、自然言語処理(NLP)の仕組みやできること、活用事例などを解説しました。 

NLPは、私たちのコミュニケーション方法を根本的に変える可能性を持ち、未来のテクノロジーにおいて中心的な役割を果たすことが予想されます。 

そのためには、引き続き技術の進化と課題の克服が求められますが、その可能性は無限大です。ぜひ、日常生活でのNLPの例を探してみて、その影響を実感してみてください。 

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