MLOpsとは?概要や必要性、メリット・デメリット、DevOpsとの違いについてわかりやすく解説
INDEX
皆さんはMLOpsをご存じですか?MLOpsは機械学習を行う際にとても大切なものであり、機械学習を実現させていく上で欠かすことのできないシステムと言えます。MLOpsがどのように展開されていくのか、気になる方も多いはずです。
本記事ではMLOpsにスポットを当て、MLOpsとは何か、その概要や必要性、メリット・デメリットをまとめました。
MLOpsとは?
MLOpsとは一体何か、まずはMLOpsの基本的な情報をご紹介します。
MLOpsの概要
MLOpsは機械学習の略語であるMLとOperationsの運用を組み合わせた造語で、機械学習の運用を意味する言葉です。MLOpsの基になる言葉として、ソフトウェアの開発で使われている「DevOps」があり、そこから派生して作られました。
MLOpsは機械学習の開発者と運用担当者が連携しながら、開発をより効率的に行うための方法です。運用していく中で出てきた課題や要望への対策がしやすくなるために、機械学習の開発の際に取り入れられていることが多いです。
MLOpsを行う流れ
MLOpsは、2つの分野に分かれています。1つは開発分野、もう1つが運用分野です。それぞれの分野で行うことをまとめました。
開発分野
開発分野ではまず機械学習を行うためのデータを集めて加工を行っていきます。その後、特徴量の設計を行った上でモデルを開発します。モデルを開発する中で、実際に結果が示されるので、その結果を踏まえた上で、解釈などを行います。
そこでの解釈、結果を可視化させる作業を行ってから運用分野に託されることになります。一連の作業を終えてから開発分野から運用分野にバトンが渡されるのです。
運用分野
運用分野に関しては開発分野から渡された学習済みのモデルを実際のシステムに導入して運用を行っていきます。実際に予測を実行して、どのような予測を行うのかのチェックをしていく流れです。
その結果、予測が出た際に精度の問題や課題などが生じます。ここで出た問題、課題を踏まえた上で再学習を行うことになります。その再学習の際に、別のデータも追加したいなどの要望があれば、改めて開発分野に託されるのです。このサイクルによって成り立つのがMLOpsと言えます。
MLOpsの必要性
MLOpsはなぜ必要なのか、その理由をまとめました。
DevOpsのやり方が通用するから
そもそもMLOpsのベースになっているのは、ソフトウェア開発で取り入れられているDevOpsが結果を出している現実があるためです。元々DevOpsが誕生した背景には、ソフトウェア開発を行う際、開発分野と運用分野で対立が起きやすかったためです。
開発分野と運用分野はどうしても同床異夢になりやすく、目指すゴールは同じであっても、そこまでのプロセスに距離があります。対立が生まれると、意思疎通が難しくなる傾向にあるため、DevOpsという考え方が出てきたのです。
開発と運用でどんな対立が起きるのか
では、どのような対立が生じるのかですが、開発分野の要望は高性能なものを作り出したいという技術者ならではの欲です。よりよいものを作り出したいという気持ちはものつくりに携わる人であれば誰しもが考えることでしょう。
一方、運用分野の要望は、できる限り運用しやすく、安定的に動く物を作ってほしいというものです。結局安定的に動かなければ意味がありません。高性能はいいけれどまずはしっかりと動くものを作ってほしいというのが運用分野の考え方です。
この対立はAI開発においても起こりうることであり、AI開発の分野においても導入されていくのはいわば自然の流れであり、必要性が増すのは当然と言えます。
最悪なのはそれぞれが目標を作って動き出すこと
開発分野と運用分野が対立することは仕方ないこととも言えます。その理由はシステム自体が複雑化し、それだけ専門的な知識を要するようになってきているからです。その中でそれぞれの目指すべきものが出てきてしまいます。
最悪なのはそれぞれの分野がそれぞれに目標を作って動き出すことです。他の分野との対立は決定的になり、同じゴールを目指していたはずが、気が付けば唯我独尊的な展開を見せるようになり、いいものが作れなくなります。
こうした状況を防ぐためにDevOpsがあり、その機械学習バージョンが、MLOpsなのです。
MLOpsのメリット
ここからはMLOpsに取り組むメリットについてご紹介していきます。
品質を保てる
加速度的な進化を遂げるAI、機械学習の世界にあって、構想を練っている段階では立派なものであっても、時間が少し経過するだけであっさりと劣化していくのがAI・機械学習ならではのジレンマです。
しかも、開発を行う中で世の中のニーズも変わるなど、状況は刻々と変化します。その中でMLOpsを導入することで常にアップデートが行える分、AI・機械学習の品質を保ちやすくなるのが特徴的です。
意思疎通がしやすくなる
MLOpsの導入により、開発分野と運用分野の意思疎通がしやすくなります。MLOpsの導入によってそれぞれがフィードバックを行うことでより良いものが作れるようになり、正しい方向性で開発が進んでいくことでしょう。
MLOpsを導入する際にはMLOps用のITツールが存在し、このITツールを活用することでMLOpsがしやすくなります。意思疎通が密に行われればよりスムーズに開発が進み、同床異夢の状態を避けることができるでしょう。
MLOpsのデメリット
ここからはMLOpsに関するデメリットについてご紹介していきます。
ITツールを選ぶのが難しい
MLOpsを導入する際にはITツールの活用が必須となります。しかし、どのITツールを活用していくかが課題になる場合があります。MLOpsに用いることができるITツールが多く存在しますが、実際に活用していくとなると、それぞれのツールでできること、できないこと、他のソフトウェアとの兼ね合いなど注意を払うべき点がたくさんあります。
その中でベストなもの、もしくはベターなものを見つけていくのは大変であり、試行錯誤が欠かせません。納得のいくツールを見つけて活用するまでに乗り越えるべき課題が多いことが言えるでしょう。
ツールを使うからこそ連携はより密に
MLOpsを上手く行っていくには、ツールを活用するからこそ連携はより密に行う必要があります。MLOpsを導入する最大の目的は開発や運用を円滑に行っていくことです。ツールを導入したから各々が自由にやればいいということではなく、より連携を加速させていくことでうまくいくようになります。
そのためには開発分野と運用分野それぞれの組織を検討し直すことが求められます。派閥横断的な形で組織の再編を図って連携をしやすい組織作りを行っていくことが求められます。
MLOpsとDevOpsとの違い
ここからはMLOpsとDevOpsの違いについてご紹介していきます。
そもそもDevOpsとは何か
MLOpsは機械学習を意味するMLと運用を意味するOperationsの造語でしたが、DevOpsの場合は開発を意味するDevelopmentの略語と運用を意味するOperationsの造語です。開発文やと運用分野がそれぞれ協力をしていき、ソフトウェアのシステムの価値を高めていくための概念として作られた言葉となっています。
MLOpsとDevOpsの違いは扱うものの違いぐらい
MLOpsとDevOpsの違いははっきり言えば、扱うものの違いぐらいで、その概念などは基本的に共通しています。MLOpsにはDevOpsの考え方が踏襲されており、あとはソフトウェアの開発だけでなく、機械学習の開発・運用なども乗っかっている状態です。
ですので、MLOpsとDevOpsでどちらか一方に存在するというのはほとんどなく、機械学習かどうかの違いだけです。ただMLOpsにしかないものとして、機械学習の劣化をチェックするためのシステムがあります。
このシステムは何らかの理由で精度の低下を招く状態をモニタリングするもので、自動検知のシステムが採られています。こうしたシステムはDevOpsにはない考え方であり、MLOpsとDevOpsに違いがあるとすればそれぐらいと言えるでしょう。
まとめ
MLOpsは機械学習のシステムなどを開発する中で、できる限り導入しておいた方がいいシステムの1つです。導入することで開発分野・運用分野それぞれが独善的に物事を進めるような展開を避けることができます。
MLOpsの導入により、より効率的な運用ができるほか、コストをかけないで開発を進めていくこともできます。DevOpsの概念を機械学習に応用することで、開発分野と運用分野が協力し合えるのも大きなポイントです。
先ほどもご紹介しましたが、開発分野と運用分野が様々な思惑から対立することは仕方ないことであり、避けられない部分でもあります。AIとはいえ、ものづくりの国ゆえにどうしてもこだわりが出てしまうからです。
だからこそ、お互いが協力し合って作り上げていくシステムの構築は欠かせないでしょう。MLOpsはまさにシステムの構築に欠かすことのできないものであるとともに、これから機械学習の開発・運用を検討する企業にとって、まず導入することを前提とした検討をするべきものと言えます。
さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。
⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。
そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。
ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!