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逆強化学習とは?メリットや活用事例と課題、強化学習との違いについてわかりやすく解説

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逆強化学習

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逆強化学習

皆さんは逆強化学習をご存じですか?逆強化学習は強化学習の逆と考えがちですが、実はそうではありません。強化学習の反対をすることが逆強化学習ではないのです。では、何の逆なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

本記事では逆強化学習に着目し、逆強化学習の概要や逆強化学習が必要とされる理由、強化学習との違いやメリットなどをご紹介します。

逆強化学習とは?

逆強化学習

逆強化学習とはどういうものなのか、逆強化学習と強化学習の違いも含めて解説していきます。

逆強化学習の概要

逆強化学習は、目標を設定せずに、最も結果を出しそうな行動を先に学習してから更なる高みを目指していく手法です。Inverse Reinforcement Learning、通称IRLと呼ばれ、強化学習の1つの方法として知られています。

逆強化学習を始める段階において、最初に「ベストとされる行動」を設定しておき、その中で学習を重ねていくことで、当初設定されたベストとされる行動を上回るようになり、結果的によりよい状態を目指せるというのが逆強化学習のポイントです。

最初にお手本を設定し、そのお手本をベースに学習を重ねていきます。その中で少しでもベストを出していき、ベストのやり方を見つければ徐々にお手本とは違うやり方を見つけていき、ベストを目指す流れです。

逆強化学習と強化学習の違い

逆強化学習

逆強化学習とは何かを知る前に、まずは強化学習がどんなものなのかを知ることが大切です。強化学習では最初に、目指すべき方向性とルールが与えられ、その中でベストを目指していくやり方を指します。

ゲームであれば1点でも多く成績を稼ぐことが重要視されますが、何をしてもいいわけではなく、いくつか制約があり、それを守りつつ好成績を出していくことが条件になります。この場合、好成績を出すことが目的であり、その手段は明確ではありません。

逆強化学習の場合、このやり方であれば好成績を出せるというやり方を最初に決めておきます。そのやり方を使いつつ、いかにアレンジして好成績を出していくかというのが逆強化学習です。

つまり、手段を選ばずに一定のルールだけを設けてあとは自由にやらせるのが逆強化学習で、手段を特定しつつアレンジさせる自由を与えてやらせてみるのが逆強化学習という違いです。

逆強化学習が必要とされる背景

逆強化学習

そもそもなぜ逆強化学習は必要とされているのか、その背景をご紹介していきます。

目標設定が困難なケースがあるから

これまでの強化学習でも十分に高度なシステムを作ることは可能であり、今も強化学習の可能性は十分にあります。しかし、強化学習ではカバーできない事案も出てきています。

例えば、ゲームで1点でも多く稼ぐというように、設定しやすいテーマであれば強化学習でも問題ありません。しかし、スコアでは表せない、抽象的な内容が入ってくるとなかなか設定が難しくなります。この分野においてはまだまだ人工知能が人間を超えられない要素と言えます。

これまでの強化学習では克服しにくいからこそ、最初にベストとされる手段を設定してから、学習を行ってもらう方法であればより効果的に動きやすくなります。ゆえに逆強化学習が必要とされるのです。

自律的な動きを求めている

逆強化学習

人工知能の活用が様々な分野で叫ばれ、開発を急いでいる背景には、日本が人口減少社会となり、人手不足が深刻化する可能性が高い状況があります。その場合、人工知能が自律的な動きを行ってコントロールしていくことができれば、人手不足を相当程度カバーすることが可能です。

例えば、海運の世界では自動運航船の開発が進められています。船員数が不足しており、船も自動運航ができれば人手不足をカバーできるのです。しかし、従来の強化学習では安全な運航ができるほどのシステムは作れず、ブラックボックス化の影響も指摘されてきました。

最近では逆強化学習を活用し、腕利きの船長の行動を取り込んだ上で開発を行っていく研究が始まっています。なぜそんな行動をとったのかという強化学習ならではの疑問も解消されやすく、その上で自律的な動きができるようになっています。

逆強化学習のメリット

逆強化学習

ここからは逆強化学習のメリットについてご紹介していきます。

ある程度コントロールができる

強化学習の場合は少しでもスコアを稼げればどの手段でもいいというような形で学習が行われるため、人間では想像もつかない手段やプログラムが出され、時にブラックボックス化的な問題が生じます。

その点、逆強化学習ではお手本となるものを最初に勉強させてから学習を重ねていくため、既にベースとなるものがはっきりとしています。ベストとされるお手本が既にある状態であれば、ある程度コントロールできるのも逆強化学習のメリットです。

学習済みのモデルがどのようなプロセスで意思を決定していったのかという説明は、更なる研究を行う上で欠かせない部分です。

報酬の設定がしにくい場合に対応できる

逆強化学習

強化学習の場合、1点でも多くとる、1秒でも速くゴールに到着するなどの設定がしやすくなります。しかし、自動運転などのように報酬の設定がしにくいこともあり、この場合は強化学習では対応しきれないと言えるでしょう。

報酬の設定がしにくい場合に用いるのが逆強化学習です。自動運転であれば安全に運転する、ぶつからないように動かしていくことが大事であり、最初にその動きを覚えさせて学習を重ねていくのみです。

強化学習で開発したいけど報酬の設定がしにくい場合には逆強化学習で進めていくことになります。

逆強化学習の課題

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逆強化学習にもいくつかのメリットがありますが、次にご紹介するのは逆強化学習に与えられた課題についてです。

ベストとされる行動が理解されにくいケースがある

逆強化学習では、お手本となる行動、ベストとされる行動が明確にあり、それをベースにして学習を重ねていく必要があります。しかし、人工知能側がこれらの行動を理解しなければなりません。

例えば、お手本となる行動に規則性がない、矛盾がみられるというケースがあります。サッカーの試合で例えると、どれだけ素晴らしい技があり、ゴールを決める技量を高めている人でも、相手の動きに邪魔をされて点が決められないことは日常茶飯事です。

相手の動きも見なければならない、しかも、複数存在するとなれば、矛盾が生まれやすく、人工知能側が上手く働いてくれず、混乱を招くことになります。こうした状況では逆強化学習がうまく機能しなくなるでしょう。

近年は逆強化学習にディープラーニングを組み込んだ「敵対的逆強化学習」という手法が注目されています。

真のお手本が見つかっていないケース

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先ほどのサッカーの試合のように、何をもって「真のお手本」とするのか、設定するのは大変です。世界を代表するストライカーを招いて、どんな時にどんな行動をとるのか、1から10まで研究を重ねた上で設定しない限りは「真のお手本」とはなりません。

例えば、自動運転では事故せずに走らせることが真のベストとは言えません。もちろん事故せずに走らせることは重要ですが、究極の姿は「寝ながら移動して目的地に着く」ことです。これをお手本として設定するのは困難と言えます。

お手本にするには計算量が膨大となり、しかも相手が絡めばその分計算量は倍々で増えていくような場合だと逆強化学習だけでは対応しきれず、大きな課題です。

逆強化学習の活用事例

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ここからは逆強化学習の活用事例について解説します。

事故を避けるための運転

自動運転の開発を行う中で逆強化学習を活用して、交通事故を避けるための研究が行われています。ここでのお手本は運転手が運転する際の判断であり、その判断には車載カメラなどの情報が用いられています。

これらの情報から運転手がどのように判断しているのかを考慮しつつ、運転していくように学習が行われ、研究が進められている状況です。

ホームページの改善

逆強化学習を活用しながら、ホームページを訪れる人たちがどんな情報などを求めてアクセスしたのか、その改善を図っていくことができます。ここでお手本となるのは、実際にアクセスしてくれた人たちの閲覧履歴などで、ログを見ることで何を求めているかがおおよそわかります。

何を求めているかがわかれば、あとはニーズなどに応じて改善を図っていけばいいので、逆強化学習によってベストを尽くすことができます。

治療のプロセスのベストを目指す

逆強化学習

逆強化学習は医療の世界でも活用されています。医療の世界では、どのように治療を進めていくのか、そのプロセスのベストを目指す動き、研究が行われているのです。

この場合のお手本は実際に医師が行う決断や実際に行った治療の方針であり、逆強化学習によってベストな治療方針を目指していくことになります。ベストが尽くされれば患者への説明でも納得のいく形で説明しやすくなるので、今まで以上に医師と患者の関係性が良好なものとなるでしょう。

まとめ

逆強化学習は、お手本があるため、そのお手本をアレンジしていくような形でベストを目指していくことができます。いわゆるブラックボックス化的な、なぜそのプロセスに至ったのかがわからないという状態にはなりにくいです。強化学習の一種であり、強化学習のやり方を踏襲していますが、そのアプローチは大きく異なります。

強化学習・逆強化学習、そして敵対的逆強化学習と強化学習だけでいくつもの種類がありますが、それぞれに特徴があり、それぞれの手法に適したものが存在すると言えます。あとは適切な手法で学習を行っていけるかが重要であり、その見極めが欠かせません。

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