イーロンマスクの新対話型AI「Grok」とは?性能や特徴、使い方やChatGPTとの違いについて解説
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AIの研究・開発に力を入れているイーロンマスクは、これまでに OpenAIの設立やAI搭載の自動運転車の開発などAI技術の活用を進めています。
GrokもそんなAI技術を活用した対話型のAIであり、世界中で注目を集めている状況です。
今回は、イーロンマスクの新対話型AI「Grok」について、性能や特徴、使い方やChatGPTとの違いについて解説します。
Grokとは?
Grokとは、イーロンマスクが設立した「xAI」で発表された新しい対話型AIのことです。
これまでに提供されてきたChatGPTなどの対話型AIよりも強力で優れたAIとして、ほぼ全ての質問に答えられることを目的としています。
さらに、ユーザーが質問すべきことを提案することもできるため、最適な質問をしてそれに対する適切な回答を行うことが可能です。
Grokは、イーロンマスクが運営している「X(旧Twitter)」のプラン「X Premium+」加入者に限定してβ版を提供します。
イーロンマスク
イーロンマスクは、これまでに「PayPal」「Tesla」「SpaceX」「OpenAI」などの設立を行ったアメリカの起業家です。
最近では、Twitterの買収による社名変更やAIの開発停止の公開書簡に署名したことで有名な人物です。
イーロンマスクは、AI技術の研究・開発を進めており、自動運転技術や宇宙開発技術などで高い実績を残しています。
そんなイーロンマスクは、2023年7月にも新たに「xAI」を設立したことで、高い注目を集めています。
xAIとは?
xAIとは、イーロンマスクが2023年7月に設立した会社のことです。
主に、大規模言語モデル(LLM)をベースとしたAIの開発を行うために、エンジニアを採用しています。
また、現在までにOpenAIやDeepMind、Googleなどから多くのエンジニアを引き抜いており、今後は汎用人工知能(AGI)の開発も進めていく方針です。
xAIは、設立した間もない会社なので、現在は具体的にどのような事業を行っているのか不明な状態です。
ただ、今後さまざまな活躍を見せていくことが期待されています。
大規模言語モデル(LLM)
大規模言語モデル(LLM)とは、「Large Language Models」という言葉の略称で、膨大なテキストデータを活用して学習した自然言語処理モデルのことです。
主に、文章要約やテキスト分類、感情分析や質問対応などのさまざまな自然言語処理に活用することができます。
また、Googleの「BERT」やOpenAIの「GPT-3」などのAIツールには、大規模言語モデル(LLM)が活用されてます。
現在では、日本語に特化したものも多く発表されているので、大規模言語モデル(LLM
)を活用したAIツールが数多く提供されていくことでしょう。
Grokの性能
Grokは「Grok-1」というAIモデルがベースとなって開発されたものです。
最初に、330億のパラメータを持つプロトタイプである「Grok-0」でトレーニングを行った後に、「Grok-1」を開発しました。
パラメータとは、AIの性能を評価する要素の1つとして使うものです。
このパラメータが多いほど優れているAIとはなりませんが、判断材料として使えます。
また、OpenAIの「GPT-3」には1,750億、Metaの「LLaMA」には700億のパラメータを持っていると言われています。
Grokは、他のAIツールよりもパラメータの数では劣っているものの、実際に発揮できる性能はOpenAIの「ChatGPT-3.5」やInflection AIの「Inflection-1」の性能を上回る性能です。
そのため、Grokはとても高い性能を誇っていることが判断できます。
Grokの特徴
Grokは、これまでに提供されてきたさまざまな対話型AIツールよりも高い性能を持っているとして注目されています。
そんなGrokには、どのような特徴があるのか気になる方も多いです。
ここでは、Grokの特徴について解説します。
リアルタイム情報にアクセスできる
Grokは、Xを通じてリアルタイム情報にアクセスできるので、常に最新の情報を元に質問に対応することが可能です。
対話型AIの代表例である「ChatGPT」では、インターネット上に公開されているコンテンツから質問に対応していました。
そのため、最新の情報には対応することができないという課題がありましたが、Grokではその問題を解決させることができています。
リアルタイム情報にアクセスできることで、タイムリーなニュースや出来事に対しても柔軟に回答することが可能です。
マルチタスクが可能
Grokは、マルチタスクが可能です。
画面を分割して複数の質問を行ったり複数のプログラミング言語によるソースコードを確認することができます。
そのため、画面を切り替えて作業を行う手間を省いて効率的な作業が行えるようになります。
これまで画面の切り替えでストレスを抱えていた方は、Grokによって大幅に軽減させることが可能です。
生成したコードをVS Codeで編集できる
Grokが生成したコードをVS Codeでそのまま編集できることも大きな特徴の1つです。
Grokに生成して欲しいコードを生成してもらい、そのままコピーすることで、VS Codeに貼り付けて編集ができます。
そのため、これまでよりも効率的で少ない作業でプログラミングが行えるようになります。
比較的低下価格で利用できる
Grokは、Xが提供しているプラン「X Premium+」の一環として月額16ドルで提供されています。
これは、AIツールの利用料金としてはとても低価格であり、実際にChatGPTのプレミアム版は月額20ドルで提供されています。
低価格で、高い性能を持った対話型AIを利用することができるので、気になる場合は利用してみることをおすすめします。
また、イーロンマスクはGrokが日本語をはじめとした世界中の言語で対応できるようにすると発表しています。
過激な質問にも対応できる
Grokは、これまでの対話型AIでは拒否されてしまうような過激な質問にも対応することができます。
例えば、違法ドラッグや犯罪、差別などの過激な質問に対しても適切に回答することができるので、ユーザーが求めている情報を幅広く提供することが可能です。
ただ、Grokの以上のような特徴は犯罪などに悪用されてしまうリスクが高いので、今後変更されていく可能性も十分にあります。
Grokの使い方
Grokは、Xが提供しているプラン「X Premium+」に加入することで、使うことができます。
Xのプラン「X Premium+」は、月額32ドルなので、決して安い金額ではありません。
ただ、Grokが使えることに加えて、投稿の編集や取り消し、最大文字数25,000文字までポストできるなどの機能があります。
そのため、気になる方は、「X Premium+」に加入してみることをおすすめします。
GrokとChatGPTとの違い
ChatGPTは、OpenAIが提供しているAIツールのことで、誰でも無料で利用することができます。
主に、インターネット上に提供されているコンテンツを活用してユーザーの質問に回答する仕組みになっており、最新情報や過激な質問に対する回答は行えません。
Grokは、イーロンマスクが設立した新会社「xAI」で発表されたAIツールのことです。
ChatGPTとは違い、「X Premium+」加入者に限定したサービスであり、Xを通じてリアルタイム情報にアクセスすることが可能です。
Grokの活用方法
Grokには、さまざまな特徴があるので、これまでの対話型AIよりも幅広い活用方法が挙げられます。
ただ、具体的にどのようにして活用することが効果的なのかわからない方も多くいます。
ここでは、具体的なGrokの活用方法について解説します。
過激な質問に対応してもらう
これまでの対話型AIでは、回答することができなかった過激な質問に対応してもらいたい場合は、Grokが効果的です。
実際に、Grokではコカインの作り方についての質問への対応もしています。
ChatGPTなどのAIツールでは、コカインの作り方についての質問を行っても、作り方については回答してもらえず、代わりに違法であることや危険性について回答します。
そのため、知識として過激な情報を収集したい方には効果的です。
タイムリーな情報の収集をする
最近のニュースや出来事、インターネット上で流行っていることなどを収集する場合も、Grokは効果的に活用できます。
Grokは、Xを通じてさまざまな情報にリアルタイムでアクセスすることができるので、今日起きたことでもすぐに回答してくれます。
また、X上で話題になっていることであれば回答することができるので、大きなニュース以外にも自分が気になっているニッチな出来事についても知ることが可能です。
作業の効率化のために使う
Grokは、作業の効率化のために使うことも効果的です。
主に、画面分割をして複数のプログラミング言語を比較したり、生成したコードをそのまま別のツールに写して編集できるなどの特徴があります。
以上のような特徴を活用することで、これまで時間や労力を奪われていた画面の切り替えやコードの作成などの手間を省けます。
さらに、Grokを活用すれば検索効率を向上させて、自分の知りたい情報にすぐにアクセスすることも可能です。
Grokの将来性
Grokは、現在Xのプラン「X Premium+」の加入者限定で公開されているサービスです。
また、発表されて間もないAIツールなので、安全性やどのようなメリット・デメリットがあるのか、社会に与える影響などは未知数です。
ただ、これまでに提供されてきた多くの対話型AIツールよりも高い性能を持ち、多くの活用方法に富んでいることから、世界中で多くのユーザーを抱えていくことでしょう。
まとめ
Grokは、現時点ではあまり日本では有名になっておらずユーザーもあまり多くない状況です。
ただ、とても高い性能を持ち比較的低価格で利用できるAIツールであることから、今後は日本を含む世界中でユーザーが増加していくことでしょう。
これからGrokについて詳しく知りたい方や利用してみたい方は、今回の記事を参考にしてみてください。
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