AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の違いは?MRとの違いも分かりやすく解説
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ARやVRといった似たような言葉を聞く機会が増えてきていますが、「R」がついているので混同している人もいるかもしれません。
この2つは根本的に意味が異なりますが、具体的な違いについてはわからないという人もいるでしょう。
ここでは、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)について解説します。MRとの違いも紹介するので参考にしてください。
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の違いは?
ARとVRという言葉だけで聞くと、似ていると思う人もいるかもしれません。
しかし、拡張現実と仮想現実という日本語で聞いた場合は何となく違うということはわかるでしょう。
具体的な違いは主に下記の4つです。
- 現実の拡張かバーチャルか
- 使用するデバイス
- 対象となるユーザー
- 使用されるシーン
それぞれの違いについて解説するので、参考にしてください。
現実の世界を拡張するか完全にバーチャルかの違いがある
ARとVRの主な違いは、拡張現実かバーチャルかの違いです。
AR(拡張現実)は、現実の世界に作った世界を融合させます。例えば自宅にアニメのキャラクターがいるように見える世界です。
VR(仮想現実)は、作り上げた世界のみで構成されています。ゲームやアニメの世界に自分が入り込んだと仮定するとよいでしょう。
使用するデバイスの違い
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)では、使用するデバイスも異なります。
AR(拡張現実)の場合は、スマホ・iPadなどを使用するケースが多いでしょう。
カメラ機能を活用し、現実の世界をデバイスに映します。すると、現実にはいないキャラクターやモノなどが現実の世界に存在するように見えるでしょう。
VR(仮想現実)は、ヘッドセットゴーグルなどを使用します。ゴーグルを通して仮想空間を見るので、強い臨場感があるでしょう。
対象となるユーザーの違い
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)は、対象となるユーザーにも違いがあります。
AR(拡張現実)は、老若男女問わず使用可能です。さまざまな年齢層の人たちでも楽しめる作りになっています。
しかしVR(仮想現実)は一般的に年齢制限が設けられており、すべての人が対象ではありません。
主な年齢制限は下記のとおりです。
- VRゴーグル:一般的に13歳以上
- VR体験施設:7歳未満は利用不可、7歳以上13歳未満は保護者の同意が必要
VRに年齢制限が設けられているのには理由があります。その主な理由は下記の3つです。
- 目や脳が未発達
- VRゴーグルは大人用の設計
- 仮想と現実を混同してしまう恐れあり
「目や脳が未発達」という理由については、正式な医学的根拠は発表されていません。
またアメリカのVR製品ブランドOculusは「Health & Safety」の文書内にて、13歳未満の子どもには使用させないようにとの注意喚起を記しています。
また子どもの使用における注意喚起として、13歳以上の未成年者が使用する場合は、大人が以下に説明する症状を監視する必要性を呼びかけています。
- 手と目の調整
- バランス
- マルチタスク能力への悪影響
- 能力の低下
さらに13歳以上の子どもが使用する場合は、使用時間に制限を設けてくださいとの注意喚起も記されています。
このように、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)では対象ユーザーに違いがあるのも一つの特徴です。
とくにVR(仮想現実)は、特別な使用制限が設けられています。使用する際には使い方などをよく読んだほうがよいでしょう。
使用されるシーンの違い
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)は、使用されるシーンにも違いがあります。
AR(拡張現実)は、現実世界に基づいた使用方法がメインです。
例えば、新規オフィスへ移転する際にデスク・コピー機などの設置場所をARで確認することがあります。
一方のVR(仮想現実)は、仮想空間での経験・体験がメインです。アミューズメントパークなどで使用されることが多いでしょう。
非現実世界での体験が楽しめることから、ゲーム・アニメのキャラクターになりきって遊ぶことが可能です。
MRとの違いは?
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の2つと並んで混同されるものがもう一つあります。それはMRです。
言葉だけは聞いたことがあるという人もいれば、初めて聞いたという人もいるかもしれません。
ここでは、MRに注目してその違いを解説します。
MRはARをさらに発展させた技術
MRはARを発展させた空間のことです。
ARはスマホやiPadのようなデバイスを使用して、現実の世界に仮想のキャラクター・世界を融合させます。
MRはMRゴーグルという専用のデバイスを使用して、現実空間に仮想を融合させた世界を可視化する技術です。
専用ゴーグルを使用するため、MRのほうがARよりも仮想を身近に感じるでしょう。
現実空間にある物体の位置や形を認識
MRはARの発展版のようなものなので、現実空間にある物体を認識できます。
例えば、MRを活用すれば同じ空間で複数人による会議が可能です。現実空間にある物体は認識できるので、同じ空間に存在する人も認識できます。
ARは、同じ空間にいる人を認識するような機能はありません。スマホ・iPadなどのデバイスを使用して現実世界に仮想を取り入れるだけです。
仮想空間を利用しているという点では、VRでも会議ができると思う人もいるかもしれません。
しかしVRは完全な仮想現実なので、会議のような現実的なシーンでは違和感があります。真面目な話をする雰囲気とはいえないでしょう。
MRは現実世界を残しつつ仮想を融合させているため、会議などのビジネスシーンで活躍するツールと考えられています。
ユーザーによる操作も可能
MRはユーザーによる操作も可能です。
例えば、MRゴーグルを装着すると現実空間に仮想のパネルが現れます。パネルのボタンを押すと反応して作業が可能です。
またMRはVRとは異なり、現実世界とリンクしています。この特徴を活かして、遠隔操作での作業も可能です。
ユーザーによる操作が可能という点から、MRは人材不足などの問題を抱えている業界・企業の救世主になると考えられています。
作業の効率化に一役買うことを予想してMRの開発競争が活発になっており、今後はさらにビジネスシーンに特化したMRが登場するでしょう。
ARの活用事例
ARはどのような活用のされ方をしているのか、気になる人もいるでしょう。すでに企業・教育現場では取り入れられています。
ここでは2つの活用事例を紹介するので、参考にしてください。
バーチャルでのコスメ・ファッションの試着
ARはコスメ・ファッション業界で積極的に活用されています。
ファッション業界ではECサイトでのアプリによるARの活用があげられるでしょう。有名ブランドGUCCIはAR技術を用いたアプリを導入しました。
バッグやハットなどのファッションアイテムをAR技術を用いたアプリで試着して、サイズ感を確かめたりするために使用します。
また、ZARAは2018年にAR技術を使用した拡張現実アプリを導入しました。ロゴをかざすと、新作コレクションを着用したモデルが現れます。
ARは写真への加工が可能です。この機能を活用してコスメ業界でもAR技術を取り入れたアプリが展開されています。
例えば資生堂は、メイク商品でバーチャルシミュレーションができるスマホ向けアプリを展開中です。
自分の顔写真に実際に販売されているメイク商品を使用してメイクができます。気に入ったアイテムはそのまま購入可能です。
図鑑や表を立体的表示するなど教育現場での活用
教育現場でもARは活用されています。
明治図書出版株式会社は、ARアプリケーションと連動させた理科資料集を展開中です。
アプリをインストールしたスマホを資料にかざすことで、竜巻が発生する瞬間を確認したり人体の臓器をリアルに観察したりできます。
また、一部の小中高校ではARを導入した授業を実施中です。昆虫をリアルに観察したり今後の社会におけるARの導入を考えたりしています。
教育現場にARを導入することで、教科書では難しかったリアルな授業が可能です。子どもたちの想像力の引き上げにも一役買っているといえるでしょう。
VRの活用事例
VRは非現実感が強いため、ビジネスシーンでの活用は多くありません。その代わり、エンターテイメントの分野では幅広く起用されています。
とくにゲーム・動画ではVRが多く活用されているようです。その理由はやはり仮想世界感が強いからでしょう。
ここでは、VRの活用事例をゲーム・動画に注目して紹介します。参考にしてください。
ゲーム
VRはさまざまなジャンルのゲームで活用されています。
VRは現実とは異なる仮想現実なので、アクションジャンルのゲームを思い浮かべる人が多いかもしれません。
ホラー・シューティングのジャンルでは、VRを活用したゲームが豊富です。VRの世界で武器を持って戦ったりアイテムを手に取ったりします。
現実では体験できない行動が可能なので、ストレス発散になるという理由でハマる人もいるようです。
恋愛シミュレーションのジャンルでもVRは活用されています。「VRカノジョ」はすぐそばに存在する女の子というコンセプトで開発されました。
実際にその場所に自分とキャラクターがいる雰囲気が感じられるように、仮想空間は作りこまれています。
VRはテレビとは異なり、目の前にゲームのキャラクターがいるように感じるのでリアルです。
動画
動画のジャンルでもVRが活用されています。動画には無料と有料の2パターンがありますが、どちらもVRヘッドセットが必要です。
また、VRヘッドセットにも1眼と2眼の2タイプがあります。主な違いは下記の通りです。
- 1眼タイプ:平面的だが、VR酔いが少ない
- 2眼タイプ:立体感・遠近感があるが、VR酔いしやすい
なお、VR動画を視聴するだけならスマホやPCでも可能です。しかし、臨場感・没入感を得たい場合はVRヘッドセットを購入しましょう。
VR動画を無料で再生できるアプリには下記のようなものがあります。数値は評価値です。
- VR square:4.5
- DMM VR動画プレイヤー:4.4
- STYLY:4.3
- ハコスコ:3.8
- YouTuve VR:3.6
- ストリートミュージアム:3.3
- REAIVE360:3.1
- 日経VR:3.0
評価値が3.0以上のものばかり集めました。これらはすべて無料アプリなので、手軽にVR動画が楽しめます。
無料でVR動画を楽しめるアプリはほかにもたくさん出ているので、好みにあったものをみつけてダウンロードしてみてください。
まとめ
ARとVRの違いについて解説しました。
どちらも「仮想」という点では似ていますが、現実世界を残しているかという点で大きな違いがあります。
ビジネスシーンや教育現場で有効活用されているのは、現実世界を取り入れたARのほうです。VRはエンターテイメント性が強いといえます。
ただし現在どちらも開発が積極的に行われているため、どちらも日常生活には欠かせないツールになっていくかもしれません。
それぞれがどのような進化を遂げるのかに注目しましょう。
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