データマイニングとは?できること・分析手法の種類・活用事例を解説
INDEX
- データマイニングとは?
- データマイニングでできること
- データの分類
- データの予測
- データの関係性を見つける
- 主な分析手法の種類
- ロジスティック回帰分析
- クラスター分析
- マーケットバスケット分析
- ABC分析
- データマイニングの活用事例
- 小売店での活用事例
- 製造業での活用事例
- 金融機関での活用事例
- 教育現場での活用事例
- データマイニングの実施手順
- データの収集
- 収集したデータの加工・整理
- データの分析
- データマイニングにおける注意点は?
- データマイニングツールを使用するメリットは?
- 専門知識を持ってなくてもデータ分析を行える
- 問題点解決のヒントを見つけられる
- まとめ
- さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
近年、とくにビジネスを有利に進めるうえで注目されている技術が「データマイニング」です。
ネットワークやデータ保管技術の発達により、膨大なデータが保管されるようになりましたが、そうしたデータを有効活用する手段として注目されています。
とはいえ、データマイニングがどのようなものか良く分からない方もいるでしょう。
本記事では、データマイニングとは何かについて詳しく解説します。また、データマイニングでできること・分析手法の種類・活用事例などもご紹介します。
データマイニングについて詳しく知りたい方は参考にしてください。
データマイニングとは?
データマイニングとは膨大なデータを分析し、一定のパターン・傾向を見つけたり、有用な知見・知識を得たりする技術です。
マイニングとは採鉱を意味する英語ですが、鉱山から有用な鉱物資源を採掘するように、大量のデータから価値ある情報をみつけることを意味します。
データマイニングの種類としては、文字情報のデータ分析を行う「テキストマイニング」や、Webサイト上のデータを対象とする「Webマイニング」などが挙げられるでしょう。
データマイニングによって得られた知見や知識は、さまざまな分野のビジネス・医療・教育などで活用されています。
データマイニングでできること
データマイニングでできることとしては、次の3つが挙げられます。
- データの分類
- データの予測
- データの関係性を見つける
それぞれの項目を詳しく解説します。
データの分類
データマイニングでできる一つ目のことは、データの分類です。データマイニングでは、データを特徴別に分類していきます。
具体例として、商品の売り上げデータであれば、5万円未満・5万円以上10万円未満・10万円以上のように売上額によって分類する形です。
売上額の分類であれば、ほかにも売上数量や純利益ごとに分類する場合もあるでしょう。単純なグループ分けですが、膨大なデータがただ並んでいるだけの状態と、グループ分けされている状態とでは活用のしやすさに大きな違いがあります。
商品の売り上げデータであれば、データを分類することにより、商品の仕入れの調節や顧客に適したアプローチに役立てられるでしょう。
データの予測
データマイニングができる別のことは、データの予測です。データの分類や関係性の分析により、将来の予測に役立てられます。
ビジネスであれば、受注や購入などの事象が発生する確率や原因を把握できるでしょう。結果として、特定の条件でどのような商品が購入される可能性が高いか予測が立てられます。
具体的には、雨の日に売れやすい商品がデータから分かるとすれば、梅雨の時期にその商品の売り上げが増加することは予測可能です。
ほかにも、商品Aと商品Bが同時に購入される傾向がデータから分かるなら、まもなく発売される商品Bの類似商品も商品Aと同時に購入される可能性が高いことが予測できるでしょう。
データの関係性を見つける
ほかにも、データマイニングにより、普通では気付きにくいデータの関係性を見つけることが可能です。とくに、同時に発生する可能性が高い事象を発見するのに役立ちます。
具体的には、冬に良く売れる商品を分析することにより、それぞれの商品の共通点を見出すことができるでしょう。共通点が分かれば、戦略を立てやすくなります。
ほかにも「雨の日であれば、商品Cが良く売れる」「男性の顧客であれば、商品Dが良く売れる」などの関係性が分かれば、商品の取扱量の調節や売り上げを上げるための販売方法を考えられます。
主な分析手法の種類
データマイニングには、さまざまな分析手法があります。ここでは、4つの主なデータマイニングの分析手法を紹介しましょう。
- ロジスティック回帰分析
- クラスター分析
- マーケットバスケット分析
- ABC分析
それぞれの分析手法を詳しく解説します。
ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、いくつかの要因から、ある結果が起きる原因を予測する分析手法です。これによって、ある特定の事象が起きる確率を分析して、結果を予測できるメリットがあります。
たとえば、ある商品のDMを送って実際に商品を購入した人と、購入しなかった人のデータを集めるとしましょう。ロジスティック回帰分析により、1人あたりの購入確率を計算できます。
購入確率が高い順番に従ってDMを送れば、ランダムにDMを送るよりも購入確率を上げられるでしょう。
クラスター分析
データマイニングには、クラスター分析と呼ばれる分析方法もあります。
クラスターとは集団のことで、異なる性質のものが混ざったデータから、性質が似たものを集めて特性ごとの集団に分ける分析方法です。
クラスター分析により、大量のデータを単純化でき、データの大まかな特性を把握しやすいメリットがあります。
クラスター分析には2種類ありますが、一つは階層的な構造を持つ「階層クラスター分析」で、もう一つは階層的な構造を持たない「非階層クラスター分析」です。
ただし、クラスター分析だけでは、データの活用が難しい場合もあるため、ロジスティック回帰分析などと組み合わせることが一般的です。
マーケットバスケット分析
次に紹介するデータマイニングの方法は、マーケットバスケット分析です。マーケットバスケット分析は、製品やサービスの関連性や相関性を見つけるための分析方法になります。
顧客の購買履歴データを分析することにより、関連性や購買パターンを発見する方法です。
たとえば、ある店舗でパンとジャムが一緒に購入されるケースが多い場合、両方の商品を近くに陳列することで商品の売り上げ向上を図れます。
マーケットバスケット分析は小売業だけでなく、オンラインショッピングのレコメンデーションシステムなどに活用されるケースも多いです。
ABC分析
ほかには、ABC分析もデータマイニングで利用される分析方法の一つです。ABC分析では、売上高が大きい商品から順番にA・B・Cのランクに分け、発注の優先度を決定します。
過去の購買データから売れ筋商品を分析し、どの商品を優先的に売り出すかをはっきり把握できることがメリットです。
商品の在庫管理では、売れ筋の商品が欠品すると機会損失となり売り上げが減少します。一方で、売れ筋ではない商品をそのまま発注し続けると在庫過多に陥るでしょう。
ABC分析は売れ筋商品の仕入れを増やしたり、売れ筋ではない商品の取り扱いを減らしたりするなど、適切な在庫管理を行うために役立つ分析方法です。
データマイニングの活用事例
データマイニングは、さまざまなビジネスの場面や教育の現場などで実際に活用されています。具体的に、次の4つの業界でどのようにデータマイニングが活用されているか事例を見てみましょう。
- 小売店
- 製造業
- 金融機関
- 教育現場
それぞれの業界での活用事例をご紹介します。
小売店での活用事例
小売店では、データマイニングにより販売・顧客データを分析し、商品の仕入れの調整や顧客に合わせたアプローチをするのに活用されています。
販売・顧客データから顧客の購買傾向や指向性などを分析し、売り上げを増やすための方法を考えられるでしょう。
とくに小売業では、クラスター分析・ABC分析・マーケットバスケット分析などの方法が活用されています。
分析の対象も幅広く、天候なども対象の一つです。天候によって客足や売れ筋商品が変化することが良くあります。
また、スマホアプリから収集した購買履歴を元に顧客の好みを分析し、好みに合わせた商品をプッシュ通知・メールなどですすめる方法も代表的な活用方法です。
製造業での活用事例
製造業の場合は、製造設備を分析するためにデータマイニングが活用される事例が多くみられます。
具体的には、工場の生産ラインにセンサーを設置してデータ収集した後、データマイニングを行う方法です。
製造設備が故障しやすいタイミング・箇所などをデータから把握することにより、故障する前に効率的に設備のメンテナンスを行えます。
また、不良品を未然に防げるため、生産性向上やコスト削減につながることもメリットです。さらに、こうしたデータを製造設備の設計時に活用することにより、故障しにくい機器を製造するのにも役立つでしょう。
金融機関での活用事例
金融機関での活用事例としては、クレジットカードの不正使用を検知することが挙げられます。クレジットカードの利用は日々膨大な量に及びますが、これら大量のデータの蓄積を利用する方法です。
過去にクレジットカードの不正使用があった際の類似パターンを見つけることにより、再び不正使用があった際に早期検知が可能になります。
具体的な事例として、通常少額しかクレジットカードを利用していない顧客が、ある月に突然100万円ほどの高額利用をしたとしましょう。
その場合、他者に不正にクレジットカードが使用された可能性があると判断できます。もちろん、利用者がたまたま高額な買い物をした可能性も否定できません。
データマイニングにより、複数の過去のデータ分析から総合的な判断をすることになるでしょう。
ほかにも、金融機関では、金融商品の提供・住宅ローンの与信審査・保険商品の開発・顧客管理など幅広い分野でデータマイニングが活用されています。
教育現場での活用事例
教育現場では、データマイニングが生徒に最適な教育を施すために活用されています。データマイニングでは、生徒の成績データの分析により、得意・不得意分野が把握可能です。
データ分析を活かして、生徒一人ひとりに適切な指導や教育を施せます。また、過去の成績データの分析により、今後の学習理解度・成績・学習の成果などの予測も可能です。
このようにして、生徒に合わせたカリキュラムを組めます。
本来は教師が生徒の成績を細かく把握し適切な指導を行う必要がありますが、多くの生徒に対して限られた教師が人力で行えることには限界があるでしょう。データマイニングにより、細かく生徒に合わせた教育を行うことが可能になります。
データマイニングの実施手順
データマイニングは次のような手順で実施されます。
- データの収集
- 収集したデータの加工・整理
- データの分析
それぞれの手順について解説します。
データの収集
最初に、データマイニングする元になるデータを収集します。データ量が多ければ多いほど信頼性が高くなるため、できるだけ多くのデータを集めることが望ましいでしょう。
もちろん、ただデータが多ければ良いわけではなく、効率的にデータマイニングするためには目的に合ったデータが必要です。
たとえば、マーケティングであれば、顧客の販売履歴が必要になるでしょう。そのため、最初にデータマイニングする目的を設定してから、目的に沿ったデータを集めると良いでしょう。
また、収集したデータが間違っていたり、質が低かったりすると有用な結果を得ることは難しくなります。情報を取捨するための専門的な知識や、データマイニングツールの使用などが必要になるでしょう。
収集したデータの加工・整理
次のステップは、収集したデータの加工・整理です。収集したデータの中には分析を妨げるノイズが含まれていたり、データ形式がバラバラになっていたりする場合があります。
そのため、ノイズの除去やデータ形式の統一をする必要があるでしょう。この手順が「データクレンジング」と呼ばれるものです。
データ量が少ない場合は、Excel関数を用いてデータクレンジングを行えます。しかしながら、データ量が多くなるとミスが増えやすくなるため、データクレンジングソフトなどを使用することがおすすめです。
データクレンジングは最も労力がかかる作業ですが、データマイニングが成功するかを左右する重要な工程といえるでしょう。
データの分析
最後に、データの分析を行います。データの分析にはさまざまな手法がありますが、具体的には、次のような手法が挙げられるでしょう。
- クラスター分析
- ロジスティック回帰分析
- マーケットバスケット分析
- ABC分析
データ分析の手法は、目的や検証したい仮説に応じて適切なものを選択します。
データ分析は、データマイニングツールを使うことが一般的です。データマイニングツールについては後ほど詳しく解説します。
分析が終わったら、分析結果から要因の特定をし、実際のデータに当てはめて効果検証を行います。
データマイニングにおける注意点は?
データマイニングは、データを分析して有用な知見を見つけるために有効な手段ですが、いくつか注意点もあります。
たとえば、価値ある情報を発見することは簡単ではないことを覚えておく必要があるでしょう。分析をするデータに必ず有用な知見や知識が隠れているとは限りません。
データマイニングツールを使用するにしても、目的や仮説を立てること、きちんと整備されたデータを用意することが重要です。
また、別の注意点としてバランスを見極めることも大切になります。データマイニングの精度を高めるには時間や予算が必要ですが、多くの場合には限界があるでしょう。
完璧な精度でなくても実用性があれば目的は果たされるため、実用性とコストのバランスを取る必要があります。
最後に、現場へのヒアリングも忘れないようにしましょう。データ分析で新たな発見をしたと思っても、現場では暗黙知されている場合もよくあるからです。
分析する前から現場でヒアリングを行い、どのような知見を見つけるべきか確認しておけば、より良いデータマイニングを行えるでしょう。
データマイニングツールを使用するメリットは?
データマイニングを行う際には、さまざまな分析手法を用いて大量のデータを分析できるデータマイニングツールを利用することがおすすめです。
データマイニングを使用することには次のようなメリットがあります。
- 専門知識を持ってなくてもデータ分析を行える
- 問題点解決のヒントを見つけられる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
専門知識を持ってなくてもデータ分析を行える
データマイニングツールを使用するメリットの一つは、専門知識を持ってなくてもデータ分析を行えることです。
データマイニングツールは、統計学・データ分析・機械学習などの専門知識がない方でもデータが分析できるよう設計されています。そのため、現場レベルのスタッフでもデータ分析が可能です。
また、知りたい情報がグラフィカルで視覚的に分かりやすく、結果が直感的に理解できるようになっています。
データを分析するためにスタッフがパソコンに張り付く必要がないため、時間や労力の軽減にも役立つでしょう。もちろん適切なアルゴリズムを選択したり、パラメータを設定したりする必要があるため、専門家の意見やサポートも重要になります。
問題点解決のヒントを見つけられる
データマイニングツールを使用する別のメリットは、問題解決のヒントを見つけられることです。たとえば、データマイニングツールを使用することにより、データから隠れたパターン・関連性などを見つけられます。
そうした情報により、ビジネスや研究の問題点解決の知見やアイデアを得られるでしょう。また、過去データから将来の傾向や動向も予測できます。それにより、市場の変化や需要の変動を把握し、適切な戦略や施策を立てるのにも役立つでしょう。
さらに、顧客データの分析により、効果的なマーケティング戦略を考えたり、サービス提供したりすることもできます。
まとめ
本記事では、データマイニングとは何かについて詳しく解説してきました。
データマイニングとは、簡単にいえば膨大なデータを分析し、一定のパターン・傾向を見つけたり有用な知見・知識を得たりする技術のことです。
データマイニングでできることには、データの分類・データの予測・データの関係性を見つけることなどが挙げられます。
また、分析手法の種類には、ロジスティック回帰分析・クラスター分析・マーケットバスケット分析・ABC分析などが代表例です。
データマイニングは、小売店・製造業・金融機関・教育現場などさまざまな分野で活用されています。
さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。
⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。
そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。
ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!