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Googleの「BERT」とは?仕組みやできること、SEOの影響やChatGPTとの違いを徹底解説

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AIの自然言語処理を活用したチャットボットや対話型AI、機械翻訳などのサービスは、様zまな分野で活用されています。

そんな自然言語処理を高度に行うことのできる技術としてGoogleが「BERT」を発表しました。

今回は、Googleの「BERT」の仕組みやできること、ChstGPTとの違いについて徹底解説します。

BERTとは?

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BERTとは、「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」という言葉の略称であり、自然言語処理モデルの1つです。

自然言語処理とは?

自然言語処理とは、人間の言語・言葉(テキストデータ)をAIが分析・認識するための技術です。

人間が普段扱っている言語には、曖昧な部分がとても多く存在しているので、そのままAIが認識することは困難になります。

そのため、AIが分析・認識できるように人間の言葉を人工言語というプログラム言語や数式に変換してAIに分析させます。

AIは、この自然言語処理の技術によって人間の言葉を理解して、機械翻訳やチャットボットなどのサービスへ応用させることが可能です。

Transformerとは?

Transformerとは、2017年にGoogleが発表したディープラーニングモデルのことです。

従来のディープラーニングよりも学習時間が大幅に短くなっており、自然言語処理の精度も向上しているので、自然言語処理を活用したサービスに広く使われています。

このTransformerは、BERTなどの自然言語処理を構築する上で欠かせない存在の1つです。

BERTの仕組み

BERTの仕組みは、Transformerが主に以下2つの手法を使って同時に機械学習を行うことで、実現しています。

  • Masked Language Model
  • Next Sentence Prediction

ここでは、以上2つの手法について解説します。

Masked Language Model

Masked Language Modelは、目的の単語の学習を行うための手法のことです。

自然言語処理モデルは、これまで文章を単一方向からしか処理することができなかったので、言語の意味やニュアンスまで正確に把握することができませんでした。

しかし、BERTは双方向から処理して学習できるので、高い精度での言語処理が可能です。

また、目的の単語を前の文章から予測して分析する必要もありません。

Next Sentence Prediction

Next Sentence Predictionは、文章の関係性を学習できる手法のことです。

Masked Language Modelは、単語の学習を効果的に行うことができますが、文の関係性を学習することができません。

そのため、目的の言葉や文章に関連している言葉や文章を把握することができませんが、Next Sentence Predictionを活用すれば可能です。

Next Sentence Predictionによって、文の関係性が学習できるようになることで、BERTは単語だけでなく文章の学習も行えるようになります。

BERTでできること

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BERTを活用することで、高い精度での自然言語処理が行えるようになりました。

そんなBERTでは、具体的にどのようなことができるのか気になります。

ここでは、BERTでできることについて解説します。

高度な自然言語処理ができる

BERTは、高度な自然言語処理ができることが最大の特徴です。

実際に、ElMoやChatGPTなどの言語処理モデルでは、浅い双方向モデルと単一方向モデルという2つのモデルを採用しているので、文章の意味やニュアンスを正確に把握することができません。

しかし、BERTはより深い双方向モデルを採用しているので、ELMoやChatGPTよりも精度の高い言語処理を行い、より正確で正しい意味やニュアンスを理解することが可能です。

検索エンジンのクエリ予測・分類

BERTは、検索エンジンのクエリ予測・分類もできます。

検索エンジンなどで特定のキーワードを入力した時に予測で表示されるキーワードはBERTによる高い予測能力によって実現しています。

BERTが機械学習で事前に特定のキーワードに関連するキーワードを学習しておくことで、ユーザーが入力したキーワードに対してクエリの予測が可能です。

また、BERTは初めて検索されるキーワードに対しても高い精度でクエリを予測することができるので、検索エンジンの利便性を大幅に向上させています。

少量の学習データで利用できる

BERTは、ラベルが付与されていないデータセットでも問題なく処理することができます。

ラベルが付与されていないデータとは、正解のないデータであり、世の中にあるほとんどのデータが分類されます。

このラベルが付与されていないデータを処理することができることで、ラベルが付与されたデータが少ない状態でも、高い精度の自然言語処理が可能です。

また、ラベルが付与されているデータを収集することは、決して簡単ではないので、多くの企業にとってとても重宝される機能です。

ChatGPTとの違い

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CHatGPTとは、2022年11月にリリースされた対話型AIのことで、人間のような自然な受け答えができることが特徴です。

どんな質問や問いかけに対しても、膨大な学習データから高い精度でスムーズに受け答えができます。

そのため、BERTは自然言語処理モデルの1つで、ChatGPTはOpenAIが開発したAIツールという違いがあります。

BERT導入後に必要なSEO対策

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BERT導入後に必要なSEO対策には、主に以下3つがあります。

  • 検索意図にあった内容にする
  • 独自性がしっかりとあるコンテンツにする
  • 誰でも簡単に理解できる内容にする

BERTは、SEO対策を行うための技術ではなく、自然言語処理を高度に行うための技術です。

検索エンジンでも、ユーザーの検索意図を理解や分析を行うために搭載されているので、SEO対策が不要になるわけではありません。

そのため、BERT導入後でも、以上3つのようなSEO対策では欠かせないことを怠らずに実施することが大切です。

BERT導入後でもしっかりとSEO対策を行うことで、アクセス数の向上や上位表示の獲得が期待できます。

BERTの課題

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BERTは、人間のスムーズで自然なコミュニケーションができるようになり、多くの企業の業務効率化や人材不足の解消、データ分析での活用などが期待されています。

その反面、高度な自然言語処理を行うことはできますが、まだ完璧に理解することができていません。

特に、方言や造語、流行語などの言葉に対しては、十分に対応できずに、誤解やニュアンスの間違いなどが発生するという課題があるのが現状です。

ただ、自然言語処理に関する研究・開発は急速に進んでいるので、今後解決されていく可能性は十分にあります。

そのため、BERTによる高度な自然言語処理による人間と同等の対応が実現する可能性は高いです。

BERTの活用事例

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BERTを活用することで、多くのメリットを得ることができます。

ここでは、BERTの活用事例を主に5つ紹介します。

検索エンジン

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1つ目の事例は、Googleの検索エンジンにBERTを導入したことです。

Googleは2019年に検索エンジンにBERTを導入したと発表しました。

BERTを搭載することによって、キーワードを入力した時に表示されるクエリの精度向上や、ユーザーが検索するさまざまな言語の認識・分類などが可能です。

現在では、日本語を含む約70以上の言語でBERTが展開されているので、日本国内でもBERTが搭載された検索エンジンを気軽に利用できます。

チャットボット

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BERTは、チャットボットでも活用されています。

多くの企業が導入しているチャットボットにBERTを活用することで、チャットボット構築を自動化することが実現可能です。

チャットボットが高い精度で顧客対応を実現させるためには、顧客のさまざまな言語を認識して理解する必要があります。

BERTは、それらの機能を過去データを元に短時間で構築して低コストで運用することが可能です。

そのため、BERTを活用して開発されたチャットボットを導入している企業が増加しています。

文章分類

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高度な自然言語処理が行えるBERTでは、文章分類で大きく活躍しています。

BERTは、大量の文章やテキストなどを分析して文章ごとに分類することができるので、文章分類に必要な業務を自動化させることが可能です。

実際に、株式会社日立ソリューションズでは、BERTを活用した文章分類アプリを導入して、業務効率化・コスト削減を進めています。

そのため、今後も多く企業でBERTを搭載した文章分類アプリの導入が進んでいくことでしょう。

広告出稿

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多く企業で欠かせない広告出稿も、BERTが活用されています。

BERTを搭載したAIを使って広告出稿を行うことで、最適な出稿パターンや予算などを予測して最適なコストでの広告出稿を実現させることが可能です。

さらに、リスティング広告やSNS広告など、さまざまな広告が存在していますが、その中でもどの広告が最も適しているか判断してくれます。

そのため、BERTを活用すれば効果的な広告出稿を行えて、最低限のコストで高い利益を見込むことが可能です。

FAQデータ作成

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BERTは、FAデータ作成で活用されています。

株式会社サイシードでは、企業内で蓄積しているさまざまなデータをAIが分析してFAQを作成するサービスを提供しています。

このサービスは、AIが自然言語処理を高度に行うことで感情的な文章や複雑な内容の文章などを正確に理解して回答することができています。

また、以上の企業以外にもユーザーの言葉を正確に理解して対応してくれるFAQサービスは数多く存在しているので、今後多くのユーザーが実際に触れるようになるでしょう。

まとめ

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BERTは、高度な自然言語処理により人間とのコミュニケーションをよりスムーズで正確に行えるようになりました。

ただ、現状では完璧な言語の理解ができないことや誤認してしまう可能性があるなどの課題もあります。

これから機械学習や自然言語処理について理解を深めていきたい方は、BERTについても学習してみることをおすすめします。

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