不動産業界でのAI導入によってできること・できないこととは?|メリット・デメリットから事例を紹介
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色々な業界で活用されているAIですが、不動産業界でもAIの導入が進んでいることを皆さんはご存じでしたか?不動産業界でAIがどのように活用されているのか、気になる方も多いはずです。
本記事では不動産業界でのAI導入を中心に、AIでできることやメリットデメリットなどをご紹介していきます。
なぜ不動産業界でAIを導入する必要があるのか
そもそもなぜ不動産業界でAIを導入する必要があるのかについてご紹介していきます。
営業スタイルの変化
これまでの不動産業界は不動産屋の店舗に足を運び、間取りなどをチェックした上で内見に行くといった、いわゆる対面営業が一般的でした。ところが、ネット上で部屋探しができ、特に内見をせずに部屋を契約するケースが増えてきました。
ネット上でお客さんが求めるぴったりな部屋を提示できるよう、AIを開発して導入した方が売り上げが上がる可能性があるため、AIを導入する動きが強まっています。
不動産投資で結果を出すため
人口減少社会と言われる日本において、将来的な不動産開発、不動産投資は先行き不透明の状態と言えます。今後も都市部一極集中が続くのか、はたまた地方が見直されるのか、このあたりの判断はなかなかしにくく、ある程度の状況を見てから判断するのが無難と言えます。
不動産投資で資産運用を行う人が増えており、その中でAIを活用することで将来的な利回りなどをすぐに算出でき、不動産投資を積極的に行う人が増えることになります。その結果、新たな不動産開発にもつながってくることでしょう。
問い合わせへの柔軟な対応
昔であればアパートマンションの一室に大家さんがいて、何か問題が起きれば大家さんに相談するというのが一般的でした。しかし、こうした姿は段々と少なくなり、不動産管理会社などが大家さん的な役割となるものの、常時滞在しているわけではないので、緊急時の対応などが課題となっていました。
問い合わせに対応するページがあり、AIが導入されれば24時間365日いつでも対応できるほか、様々な問い合わせにもすぐ応えられます。今までよりも柔軟な対応ができることで、満足度を高め、満室の状態を維持し続けることにもつながるでしょう。
不動産業界でのAI導入によってできること
不動産業界でAIを導入することでどんなことができるようになるのか、ご紹介していきます。
入居審査
不動産賃貸において、入居審査がAI導入によって行えるようになりました。家賃滞納の可能性を見出していくAIが開発されており、このAIが審査を行うことでより正確な審査が行えるようになり、より正確なスコアリングにつながっています。
入居審査を徹底しないと、滞納リスクにつながり、場合によっては強制退去やそれに伴う費用などが生じ、余計な労力、コストの発生につながることも考えられます。こうした可能性を見出して、的確に審査を行っていくことが可能です。
AIが出るまでは人の目で審査し、おおむね1時間弱かかってきた審査が20分程度で行えるので、非常に便利になっています。
不動産査定
AIを利用することで、情報を入力するだけで不動産の査定額を簡単に算出できます。これまでに取引された物件などをベースに不動産査定が行われ、すぐに査定額を提示することができます。
AI査定とも呼ばれており、物件の情報を入れるだけで簡単に査定額が出るのでおおむねいくらぐらいの査定額になるかなどがわかります。
不動産を売買する場合や賃料の設定などもAIで査定することができます。不動産に関するありとあらゆる査定や診断などにAIを応用することが可能です。
物件に関する広告作成
物件に関する広告を作成する際には物件を紹介する文言を始め、様々なことを考えなければなりません。ChatGPTなどを駆使することで、これらの文章を作成し、よりよいものを作り出すことが可能です。
全てを丸々利用する必要はなく、いくつかのワードを織り込みながら作りたいなど、いくつか条件を付けて作ってもらうこともできます。ゼロからイチを作り出せるのもAIの特徴であり、上手く活用できれば業務の効率化にも大いに役立つでしょう。
不動産業界でのAI導入によってできないこと
ここからはAI導入をしても不動産業界において現状ではできないことについてご紹介します。
地権者との交渉
不動産業界で今も昔も困難がつきまとうのが地権者との交渉です。自分の土地が高く売れればそれでいいと考える地権者も当然いますが、「先祖代々の土地を金儲けで手放すのはどうなのか」という観点で売却に難色を示す地権者がまだまだたくさんいます。
結局、いかに説得できるかがポイントであり、テクノロジーだけでは難しい部分もあります。もちろんAIの活用で説得力は増しますが、最後は人の心、気持ちがモノを言うでしょう。
最終的な売買価格の決断
AIを導入することでいくらで売買するのが理想なのかが示されるので、その通りに商売を行えば確かに売り上げは上がるかもしれません。しかし、不動産を取得もしくは処分するお客さんからすると一生に一度あるかないかの出来事です。
地権者との交渉でも見られる人の心、気持ちの部分はやはり重要であり、それが売買価格に現れます。目安となる売買価格はAIが決めつつ、最終的な価格の決断は人が判断して、上下させていくことが必要となるでしょう。
賃貸における契約など
賃貸物件の契約などにおいて、法律上様々な縛り、義務があるため、AIに完全に移行できない業務がたくさんあります。例えば、賃貸借契約において、宅建の資格を持つ人物が対面で説明しなければならないというルールが法律で定められており、これを無視するわけにはいきません。
セキュリティの観点から内見や鍵の受け渡しなども基本的には不動産業者が立ち会うのが一般的です。できることもたくさんありますが、法律上もしくはセキュリティ上において難しいケースもあるでしょう。
不動産業界でのAI導入を行うメリット
ここからは不動産業界でAIを導入する際のメリットについてご紹介していきます。
業務の効率化
不動産業界には様々な業務がありますが、AIを導入することで今まで時間を割いてきた分野に時間を割かなくて済むようになって、業務の効率化を図ることができます。また人によってバラつきがあった質も均質化できるようになるので、結果的には全体的なサービスの質向上につながります。
不動産業界は繁忙期になるとどうしても終業時間が遅くなりがちです。そんな中で業務の効率化を行うことで働き方改革につながりやすく、労働環境を改善していくことにもなります。
顧客満足度が高くなる
地権者との交渉では、対人での対応が重視されやすいため、顧客満足度が大切になります。一方で業務に忙殺される状況では対人での対応が大事とわかっていても気が回らないケースも想定できます。そんな時、AIを活用して業務効率化を図ることで別の業務に手が回るようになるでしょう。
これにより顧客満足度を高めることが可能です。別の業務にも力を入れられるようになれば、売上アップにもつながりやすくなるなど、プラス面に期待が持てます。
不動産業界でのAI導入を行うデメリット
次にAIを導入する際のデメリットについてもご紹介していきます。
AIを扱える人材が足りていない
AIを上手く扱えれば確かにプラスになることばかりです。しかし、実際にAIを扱う人材が足りていない、もしくは上手く扱える人材がいないとAIの良さを引き出しにくくなる恐れがあります。
業務の効率化につなげていくために、どのようにAIを導入していくかの検討を社内でしないといけません。AI関連の人材が足りていないとその検討もうまく行えない可能性が考えられます。
AIを導入しても改善できない部分もある
AIを導入してもすべての部分で改善できるとは限りません。地権者との交渉など、最終的には人と人とのつながりが決め手になるケースがあるため、AIを導入すればすべてが丸く収まるとは限りません。
AIに頼りきりだと、別の部分で疎かにしてしまうところが出やすく、結果的に改善につながらない場合もあります。ムダがある部分で導入してムダをなくすことが大事ですが、決してムダとは断じることができない分野はあえて導入しないという判断も必要です。
不動産業界でAIを導入した事例を紹介
多くの不動産業界ではAI査定を導入するなど、もはやAI査定は常識的になっています。それ以外の活用事例では、オープンハウスが行っているチラシの自動作成システムがあります。オンラインチラシを自動で作るシステムで、このシステムの導入により実に2万時間の工数が削減できたとしています。
また不動産の投資物件を購入する人向けのキャッシュフローシミュレーターをオリックス銀行が作っています。賃料などの予測を50年先まで試算してもらえるので、長い将来にかけてプラスになりそうかどうかがわかります。
まとめ
不動産業界はアナログな要素、体育会系的な要素があり、AIとは距離が遠そうな業界に思われますが、実際はAIとの相性がよさそうな業界です。特にAI査定など、AIを活用するからこそ正確に算出できる部分もあります。
一方、人と人とのつながりがまだまだ重視されるため、AIで出されたものをそのまま用いるのはあまり得策とは言えません。どちらかといえば、人と人とのつながりを重視するためにAIで別の業務の効率化を図り、おもてなしに専念できるようにしていくのが理想的です。
より便利な時代になってきており、AIの存在感は鮮明に、より強くなるでしょう。あとはAIをいかに使いこなせるかにかかっています。
さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?
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