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AI創薬とは?医薬品開発でのAI活用のメリットや効果、製薬企業の課題と注目される理由について解説

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現在、多くの製薬企業でAI創薬が注目されており、実際にAIを活用した創薬を実施している事例も多くなっています。

そんなAI創薬には、具体的にどのようなメリットや効果があるのか気になる方も少なくありません。

今回は、AI創薬についてや医薬品開発でのAI活用のメリット、効果や製薬企業の課題と注目される理由について解説します。

AI創薬とは?

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AI創薬とは、医薬品の研究開発のプロセスにAIを活用した創薬のことです。

AIを活用することで膨大なデータを収集・分析して、医薬品の開発効率を大幅に向上させることができます。

さらに、医薬品研究者の業務負担を軽減させたり、より効能の高い医薬品を開発するためのヒントを得ることが可能です。

そのため、現在多くの製薬企業がAI創薬に注目しており、今後もさらにAI創薬の研究が進んでいくことが期待されています。

創薬とは?

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創薬とは、新しい医薬品を開発するプロセスのことです。

開発された医薬品が病院で使用されるまでには、さまざまな研究や臨床試験が必要になります。

さらに、その後も厚生労働省の承認を得る必要があるので、とても多くのプロセスが必要です。

そのため、創薬には約10〜20年ほどの期間と約200億円以上の多額の費用が必要になります。

AI創薬が注目されている理由

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AI創薬が注目されている理由は、主に以下の3つです。

  • 創薬の成功率の低下
  • 創薬のプロセスの効率が悪い
  • 創薬の課題解決にAIが期待されている

近年では、より難易度の高い複雑な疾患の新薬開発に取り組むケースが増加しているので、新薬開発の成功率が低下しています。

さらに、創薬のプロセスでは研究者が数万種類以上ある化合物を絞り込み、ひとつひとつ実験していく必要があるので、膨大な時間と費用が必要です。

AIは、以上のような創薬のプロセスで抱えている課題を解決させることができるとして、注目されるようになりました。

医薬品開発でのAI活用のメリット・効果

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医薬品開発には、膨大な時間と費用が必要になるだけでなく、失敗してしまう可能性もあります。

そんな創薬のプロセスにAIを活用することで、どのようなメリットが得られるのか気になります。

ここでは、医薬品開発でのAI活用のメリット・効果について解説します。

膨大なデータを扱える

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AIは、人間では扱うことのできないビッグデータを分析することができます。

創薬で使用するさまざまな研究機関や製薬企業が所有する化合物のデータはとても膨大であり、日々新たなデータが蓄積され続けている状況です。

ただ、有益なデータが膨大にある状態でも研究者が扱い切ることができないので、創薬で十分に活用することができません。

AIを活用すればAIが膨大なデータの中から目的のデータを抽出して分析することができるので、大幅な業務効率化が可能です。

創薬の成功率の向上が期待できる

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創薬は、とても成功率の低い研究の1つであり、現在でも年々成功率が低下し続けている状況です。

新薬の開発では、全てが未知の領域であることから考察や検証、評価などが難しく、結論が出るまでに膨大な期間が必要になります。

AIを活用することで、AIが研究結果の評価や分析を行ったり、動物実験の結果を人間にあてはめて結果を予測することが可能です。

そのため、これまでよりも大幅に新薬開発の成功率を向上させることが期待されています。

コスト削減になる

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創薬には、約10〜20年の期間と約200億円以上の多額の費用が必要です。

さらに、それほどのコストをかけて創薬を行ったとしても成功する確率はとても低いので、簡単に取り組めるものではありません。

しかし、AIを活用することで大幅な業務効率化や効果的な研究・結果予測ができるようになり、開発に必要な期間や費用を抑えることが期待されています。

また、コスト削減によってこれまで利益率が低いことが理由で後回しにされていた症例の少ない難病の医薬品開発も、徐々に進められていくことでしょう。

AI創薬の課題

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AI創薬にAIを活用することで、さまざまなメリットが得られますが、反対に課題も多く存在しています。

創薬のプロセスにAIを活用する場合は、AI活用の課題についても理解しておくことが大切です。

ここでは、AI創薬の課題について解説します。

高度なAIやデータの知識が必要

創薬のプロセスにAIを活用するためには、高度なAIやデータに関する知識を持っている人材が必要です。

さらに、研究者がAIやデータに関する知識を持っている必要があるので、創薬の研究者として求められる知識やスキルが多くなってしまいます。

そのため、人材育成・確保にかかるコストが高くなり、人材不足に陥ってしまう可能性もあります。

また、現時点では医薬品とAIの知識をどちらも併せ持つ人材を育成することは困難な状態です。

AI開発・運用のためのリソース確保

AIを活用するためには、AIシステムやAIツールの開発や導入、運用が必要です。

さらに、AIに与えるデータを加工する必要もあるので、膨大な業務が必要な創薬の現場で十分にリソースを確保することが難しいです。

AI開発や運用に時間を費やし過ぎてしまうと創薬のリソースが減少してしまいます。

そのため、AI創薬を実現させるためには、AI開発・運用のためのリソース確保の方法を検討することが大切です。

データとプライバシー問題

AIを活用することで効率的に研究を進めることができますが、そのためには最初に膨大なデータを提供してもらわなければいけません。

データが十分に揃っていない状態では、AIは高い性能を発揮することができないので、データの収集が必要です。

また、収集する医療データには、多くのプライバシーデータも含まれているので、プライバシー問題への対応やセキュリティ対策なども十分に行う必要があります。

膨大なデータの獲得やプライバシー問題については、業界全体で取り組んでいかなければいけない課題の1つです。

AI創薬の活用事例

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創薬で実際にAIが活用されている事例が数多く存在しており、今後もさまざまな用途でAIが創薬に活用されていくことが期待されています。

ここでは、AI創薬の活用事例を主に5つ紹介します。

中外製薬

中外製薬は、「MALEXA」というAIシステムを開発しました。

主に、医療ビッグデータをAIを活用して分析することで、これまで時間のかかっていた創薬プロセスの効率化や創薬の成功率の向上を目指しています。

さらに、AIを活用することで豊富な化合物の中から利用できる可能性が高いものだけを初期の段階で発見することが可能です。

TransgeneとNEC

フランスのTransgeneとNECは、がんワクチン「TG4050」を共同開発しました。

AIを活用することで、各患者に適したオーダーメイドのがんワクチンを作ることができるので、副作用が少なく効能の高いワクチン開発が期待されています。

AIを活用して開発されたがんワクチンは、主に患者の正常な細胞とがん細胞を比較して、がん細胞にだけある異常なタンパク質を予測します。

そして予測した異常タンパク質をワクチンで患者の体内で増やすことで、免疫細胞が働き初めからあったがん細胞も攻撃する仕組みです。

DeepMind

AI開発を行っているDeepMindは、希少疾患の治療法を探すプロセスにAIを活用しています。

AIを活用することで、途上国で蔓延している伝染病の治療薬候補の探索やワクチン開発、病気の解明などを進めることが可能です。

また、今後AIを活用した抗体医薬品やバイオ医薬品の研究に繋げていくことを期待しています。

そのため、これまでよりも創薬にかかる期間や費用を大幅に削減できる可能性があります。

LInC

一般社団法人のLInCは、非効率的な創薬プロセスにAI活用を進めています。

特に、創薬テーマの創出には多くの時間がかかるので、AIを活用して膨大な論文データを分析して効率的に創薬テーマの創出ができることを目指している状況です。

人間では扱いきれないほどの量のデータでもAIを活用することでスムーズに分析して創薬に活用できるようになるので、これまでよりも多くの開発が行えるようになります。

MORECULE

MORECULEは、AIを活用した医薬品の分子設計を担うAIシステムの開発・提供を進めています。

主に、MORECULEが保有している膨大なビッグデータを活用して、これまで治療法が確立されていなかった疾患の治療法を見つけることを目指しています。

MORECULEのAI創薬は、従来の創薬よりも大幅に業務効率を向上させることが可能です。

そのため、研究者の業務負担の軽減や創薬期間の大幅な削減などを期待できます。

AI創薬の将来について

AI創薬を導入している製薬企業は増加しており、今後もさまざまなプロセスでAIが活用されていくことが予想されています。

現在、医療向けのAI市場が拡大しており、AI技術と医療・創薬を合わせたソリューションを提供する企業も多いです。

さらに、AIを活用することで創薬プロセスは大幅に効率化され成功率も向上できると期待されているので、今後も多くの製薬企業や団体がAI創薬に取り組んでいくことでしょう。

まとめ

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AI創薬は、これまでの創薬プロセスを大幅に削減して研究者の業務負担軽減やコスト削減、成功率の向上など、さまざまなメリットが期待できます。

ただ、現時点では十分に人材やリソース確保ができなかったり、セキュリティや倫理の問題などを解決させていかなければいけない状態です。

そのため、今後もAI創薬の動向に注目が集まります。

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