GLOSSARY

AIの著作権はどうなる?生成AIで生成した画像やイラストの著作権や適法性、注意したいポイントを徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ai 著作権

INDEX

ai 著作権

AI技術の進歩によって、精度の高い画像や映像などの作品を生成できるようになりました。

しかし、それらの作品を使ってビジネスに繋げることが多くなったことで、AIの著作権問題が急増してしまいました。

今回は、そんなAIの著作権についてや著作権侵害になるケース・ならないケース、注意したいポイントや事例などを徹底解説します。

著作権とは?

ai 著作権

著作権とは、音楽や小説、イラストなどを創造した人物に対して、その創造物を保護するための権利を与える法律のことです。

主に、絵画・イラスト・写真・文章・音楽・映画などの作品に著作権があり、これらの作品に対して著作権侵害をしてしまうケースは多くあります。

著作権侵害は、「10 年以下の懲役又は1000 万円以下の罰金」が課せられる厳しい法律なので、十分に注意することが大切です。

著作権に含まれるもの

著作権に含まれるものは、具体的に以下のものがあります。

  • 小説・論文・俳句などの「言語の著作物」
  • 楽曲・歌詞などの「音楽の著作物」
  • 舞踊・バレエ・パントマイムなどの「舞踊・無言劇の著作物」
  • 絵画・彫刻などの「美術の著作物」
  • ビル・タワー・神社などの「建築の著作物」
  • 地図・図面などの「図形の著作物」
  • 映画・アニメ・ゲームなどの「映画の著作物」
  • 風景写真・肖像写真などの「写真の著作物」
  • コンピュータ・プログラムなどの「プログラムの著作物」

著作権には、以上のものに適用されるので、著作権侵害が気になる場合は理解しておきましょう。

AIの著作権について

ai 著作権

基本的に、AIが生成した作品に対して著作権は発生しません。

AIが自動的に生成したものであれば、その作品に対して思想などがないので、著作物として認められません。

ただ、AIによる作成の生成のプロセスでしっかりと関与しており、その関与が認められた場合は、AIによる生成でも著作権が認められます。

そのため、AIによって映画を制作した場合、しっかりとその映画作成に関わっていれば、生成した作品が「映画の著作物」として扱われます。

著作権侵害になるケース

ai 著作権

現在、AIによって生成された作品は、世界中に数え切れないほど存在しており、どれがAIによって生成されたものが完全に判別することが難しくなっています。

そんなAIによって生成された作品が著作権侵害になるケースには、どのようなものがあるのか気になる方は多いです。

ここでは、AIで生成した作品が著作権侵害になるケースについて紹介します。

既存の著作物と類似している

AIで生成した作品が既存の著作物と類似している場合は、著作権侵害になりやすいです。

ただ、具体的にどのような点が類似していたら著作権侵害に当たるのか明記されていないこともあるので、著作権侵害の有無について長期的に揉める可能性があります。

そのため、AIで生成した作品の販売などを検討している場合、既存の作品と類似していないか確認したり弁護士に相談するようにしましょう。

著作物の著作権を持つ人に承諾を得ていない

著作物は、著作権を持つ人に承諾を得ていれば、問題なく利用することができます。

しかし、承諾を得ていない状態で著作物の類似作品を販売したりしてしまうと、著作権侵害として罪に問われてしまうので、十分に注意しましょう。

承諾に関しては、口頭でも問題ありませんが、万が一の事態に備えて文書による承諾をしておくことをおすすめします。

AIツールの提供会社の利用規約を違反する

AIツールの提供会社の利用規約に「著作物や商標・著名人の写真の加工や編集を禁止する」としているケースが多くあります。

以上のことを知らずにAIツールを用いてAI生成を行ってしまうと、利用規約違反に加えて著作権侵害になってしまいます。

さらに、利用規約違反をしてしまうと、著作権侵害による罰則とサービス提供会社からの損害賠償を請求の2つが同時にされるリスクが高いです。

そのため、AIツールを利用する場合は、ツールの提供会社の利用規約をしっかりと確認しておきましょう。

著作権侵害にならないケース

ai 著作権

AIで生成した作品の全てが著作権侵害になることはないので、目的や状況によっては問題なく利用することができます。

実際に、どのようなものが著作権侵害にならないのでしょうか。

ここでは、AIで生成した作品が著作権侵害にならないケースについて解説します。

著作権に含まれてないものを生成した

著作権に含まれないものを生成した場合は、当然著作権侵害にはなりません。

著作権侵害にならないものには、主に事実のデータや個人の思想やアイディア、報道情報などが含まれます。

そのため、以上のようなものをAIで生成する場合は、著作権侵害の心配は必要ありません。

私的利用のために生成する

著作権侵害になるものをAIで生成した場合でも、販売などは行わずにスマホの壁紙やSNSのアイコンなど私的利用する場合は著作権侵害になりません。

実際に、AIで生成された特定のアニメや映画のキャラクターを編集した画像などを私的利用している方はとても多くいますが、その多くが著作権侵害に該当しません。

そのため、私的利用のために生成する場合も問題なくAIツールによる作成は可能です。

ただ、AIツールの利用規約などには十分に注意しましょう。

著作物の著作権を持つ人に承諾を得る

著作権は、著作権を持つ人に承諾を得ていれば、問題なく生成することが可能です。

そのため、AIで類似した作品の生成を行いたい方は、口頭や文書によって直接著作物の著作権を持つ人物から承諾を得るようにしましょう。

ただ、上記でも解説しましたが、口頭よりも文書による承諾の方が証拠が残るので、効果的です。

著作権侵害にならないための注意点

ai 著作権

これからAIを使って映像やイラスト、音楽などの作品を生成しようと思っている方は、とても多いと思います。

ただ、しっかりと注意して扱わなければ著作権侵害になってしまうリスクがあります。

ここでは、AIで生成した作品が著作権侵害にならないための注意点について解説します。

AIツールの利用規約を順守する

AIツールの利用規約に「著作物や商標・著名人の写真の加工や編集を禁止する」とあれば、著作物と類似した作品の生成はしないようにしましょう。

著作権侵害として問題ならなかった場合でも、AIツールの提供会社から利用規約違反として損害賠償請求をされてしまうリスクが高いです。

さらに、著作権侵害と損害賠償請求のどちらも課せられてしまうリスクもあるので、十分に注意しましょう。

既存の著作物と類似していないか確認する

現在、AIで生成したい作品が既存の著作物と類似していないか確認することも大切なポイントです。

知らない間に生成した作品が著作物と類似してしまうと、そのことがきっかけに訴訟問題に発展してしまう可能性があります。

ただ、既存の著作物は数え切れないほど存在しているので、完璧に調べることは困難です。

AI生成の目的が著作権侵害にならないか確認する

スマホの壁紙やアイコンの利用するためにAI生成を行う場合であれば私的利用なので、著作権侵害になりません。

しかし、AI生成を活用して商用利用したい場合などは、著作権侵害にならないか慎重に確認することが大切です。

販売を開始してから著作権違反になってしまうと、多くの負担がかかってしまうので、十分に注意しましょう。

AIによる著作権の侵害事例

ai 著作権

AIの著作権問題は、日本ではあまり大々的に取り上げられていませんが、海外では頻繁に取り上げられているほど大きな問題です。

実際に、これまでに著作権侵害によって訴訟に発展した事例はいくつか存在しています。

ここでは、AIによる著作権の侵害事例を主に2つ紹介します。

データ学習での集団訴訟

1つ目の事例は、2023年1月に行われたデータ学習での集団訴訟です。

アメリカ合衆国 サンフランシスコ州のアーティスト3名がAIツールの提供会社「Stability AI」「Midjourney」「Deviant Art」の3社を訴訟した事例です。

主な原因は、さまざまなアーティストの作品を無断で画像生成AIに利用したことによる著作権侵害にあります。

その後、訴訟された3社のうち「Stability AI」は、アーティストの申請でAIで生成し他作品を除外することができるようにアップデートしていく方針を掲げています。

画像生成での集団訴訟

2つ目の事例は、2023年7月にアメリカ合衆国の作家3名がChatGPTの運営を行う「OpenAI」「Meta(旧Facebook)」の2社を訴訟した事例です。

この集団訴訟は、ChatGPTの機械学習に作家の著作物が無断で使用されたことによる損害賠償請求を主張するものになります。

この訴訟により、「OpenAI」は学習データから著作物を削除するのではなく、著作権侵害で訴えられた場合の訴訟費用を負担することを約束しました。

AI生成で著作権侵害以外のリスク

ai 著作権

AIで生成した作品には、著作権侵害以外にもフェイクニュースや名誉毀損などのリスクがあります。

AIでは、高度なフェイク画像や映像を生成することができるようになっているので、災害のフェイク画像やニュースをSNSで拡散してしまったり、著名人の名誉を傷付ける可能性があります。

そうなった場合、真相が判明するまでの間混乱が起こったり、社会問題にまで発展してしまうリスクが高いです。

さらに、その作品を作成した人物は、訴訟問題や法的処置を取られてしまうので、十分に注意しましょう。

まとめ

ai 著作権

AIの著作権については、現在世界中で議論されており、今後も法整備や規約変更が進んでいくことでしょう。

実際に、大手AIツール提供会社も集団訴訟をされており、今後解決させていかなければいけない重大な問題の1つです。

これからAIツールを使って作品を生成する方やAI生成に興味がある方は、AIの著作権についての理解を深めていくことをおすすめします。

さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。

⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。

そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。

ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!

詳細はこちら