機械学習におけるAdaBoostとは?概要やアルゴリズムについてわかりやすく解説
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皆さんはAdaBoostをご存じですか?AdaBoostは機械学習のアルゴリズムの1つであり、教師あり学習の学習手法との相性がいいアルゴリズムと言えます。そんなAdaBoostにはどんな特徴があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではAdaBoostに着目し、AdaBoostの概要、AdaBoostのメリット・デメリットなどをご紹介していきます。
AdaBoostとは?
AdaBoostとはどういうアルゴリズムなのか、AdaBoostの基本的な情報などを解説します。
AdaBoostの概要
AdaBoostは「Adaptive Boosting」の略称であり、ブースティングと呼ばれるアルゴリズムの1つです。ブースティングとは同じデータを何回も活用していく中で、正確性の高いモデルを作り上げていくというものです。
その中でAdaBoostはデータを二値に分類して、間違って分類されたものに対して重みを増やして、次の学習をさせるというものです。色々なデータに重みを与えていくことで、全体的な正確さを高めていく狙いがあります。
また、間違って分類されたものに重みを加えて学習させることで、様々なモデルの多様性にもつながるという特徴を持っています。
AdaBoostの歴史
AdaBoostが出る前から、ブースティングの手法は考えられてきましたが、現実的に実用できるかとなると不透明だったため、新たな手法の構築が求められてきました。
そんな中、1996年になり、間違いに合わせて重みをつけるという、まさにAdaptive(適応的)な手法で、AdaBoostが作られています。
AdaBoostの理解度を高めるための事前知識
AdaBoostの理解度をより高めるために、事前知識として覚えておいた方がいいものをご紹介していきます。
そもそもアンサンブル学習とは
AdaBoostを理解するにあたり、まず最初に覚えておきたいのがアンサンブル学習です。アンサンブルには合唱という意味がありますが、アンサンブル学習では複数のモデルを利用しながら、最終的に1つのモデルを作り上げていくというやり方です。
「三人寄れば文殊の知恵」のように、複数のモデルが意見を出して答えを出した方が正解しやすいという仕組みを応用したのがアンサンブル学習です。このアンサンブル学習の手法の中に冒頭でご紹介したブースティング、そして、AdaBoostが存在します。
AdaBoostが出る前のブースティングの弱点
ブースティング自体は1990年に出ていましたが、先ほどもご紹介した通り、現実的には使いにくいと評価されてしまいます。その理由は学習モデルが誤って分類してしまう確率を、あらかじめ予測する必要があったためです。
おおよそこれくらい間違えるかもしれないと見積もってからブースティングを行えば一定の効果は得られるものの、現実的に対応するのは難しいと判断されました。AdaBoostの場合は事前に設定する必要はないため、その点が画期的と評価されたのです。
AdaBoostの仕組み
ここからはAdaBoostの仕組みについてご紹介します。まずAdaBoostを行うために、学習データと正解付きのラベル、データに対応する重みを用意していきます。
その状態でAdaBoostで学習を何度も繰り返します。この時の学習は直列的、いわば順番に行っていくような形で、その都度、それぞれのデータに合わせて重みの更新を行います。その際に間違って分類されたものがあれば多めに重みをつけ、正しく分類できれば小さく重みを付けるのが特徴です。それを含めて再び学習を重ねていきます。
複数の学習モデルが予測していく過程は、重み付き多数決で決まります。わかりやすく表現すると、1つ1つのモデルが持つ票数が異なるため、仮に5つのモデルがあり、4つのモデルが特定の判断をしても、大量の票数を持つ1つのモデルが異なる判断をすれば、そちらの判断が評価されるという仕組みです。
AdaBoostを利用するメリット
ここからはAdaBoostを利用するメリットについてご紹介していきます。
弱い学習モデルを活用できる
そもそもブースティングの魅力は弱い学習モデルをいくつか活用すれば、1つの強い学習モデルに仕立てていくことができるだけでなく、元々あった強い学習モデルを上回れる点にあります。
それぞれの学習モデルには弱みもある一方で強みもあります。それぞれの学習モデルが持つ強みを上手く活用し、弱みをカバーしていくような方にすることで学習モデルの多様性を保ちながら、強い学習モデルの構築につなげられます。
過学習への対応もできる
機械学習において過学習は時折起こるために、過学習対策は欠かせません。AdaBoostの場合、弱いモデルの中に過学習を起こしているものがあった場合にはうまくサポートしながら活用していけるのが特徴的です。
その活用方法が再三ご紹介している、間違って分類しているモデルに重みを付けることです。これを行うことで過学習を行っていてもある程度のカバーができます。結果的に汎用性の高い状態に持っていくことが可能です。
この間違った分類をしたモデルに重みをつけるという特徴は、それぞれのモデルが外れ値に対して見せる反応を抑えることにもつながります。
万能的な要素
AdaBoostはとにかく万能的な要素があり、学習モデルに改善できるものがある限りはどんな学習モデルであったとしても利用できます。データの前処理など事前に行う手間が少なくなるのもAdaBoostの魅力です。
この万能さはAdaBoost以外のアンサンブル学習との相性の良さにもつながり、他のアンサンブル学習と組み合わせていくことも可能です。より強いものを作り上げていくプロセスにあって、AdaBoostは強い味方となり得ます。
AdaBoostを使うデメリット
ここからはAdaBoostを使うデメリットについてもご紹介していきます。
ノイズや極端な異常値に弱い
外れ値があっても、重みを加えることで対応できるAdaBoostですが、何事も限度があります。あまりにも極端な異常値であったり、ノイズが多かったりした場合には、その都度重みをつけていくために、次第にバランスを欠くようになり、結果的にAdaBoostの状態を悪化させてしまいます。
多少であればAdaBoostも許容してくれますが、あまりにも多いとせっかくのメリットである重みを付ける特徴が逆効果になってしまうのです。そのため、データを用意する段階でノイズなどに注意を払う必要があります。
計算コストの問題
AdaBoostでは弱いモデルをいくつも活用していきます。その都度、学習モデルの訓練、学習を重ねていくため、その分、計算コストがかかってしまいます。AdaBoostを想定して計算コストに耐えうるだけの余裕を持っていればいいですが、持っていなかった場合には大変です。
そのため、このデメリットを克服していくには計算コストに対応していくだけの余裕を持っておくことが求められます。
AdaBoostをうまく活用するためには
AdaBoostには様々なメリット・デメリットがありましたが、このAdaBoostをうまく活用するためのポイントを最後にご紹介します。
データを増やす
AdaBoostではやはり過学習を避けることが狙いになります。過学習への対応もしてくれますが、最初の段階から過学習を避けようとする努力はしておくべきでしょう。その努力として行った方がいいのがデータを増やすことです。
精度を高めるにはたくさんのデータを用意するのがベストであり、過学習を防ぐ1つの方法と言えます。過学習自体はモデルの複雑さやデータの偏りなどの問題でも生じますが、学習データを多く用意することで防ぐことができます。
異常値を最初から取り除く
学習データを多く用意するとなると必ず異常値が含まれてしまいます。学習データが多ければ、異常値に異常な反応を見せる可能性は低いかもしれませんが、あらかじめ外しておいた方がいいでしょう。
AdaBoostは1つ1つの弱いモデルの重みづけを行うなどして時間がかかりやすく、過学習が起きるリスクを持っています。分析を行い、外れ値を外せるのであれば事前に外してしまうのが確実です。
外れ値があるかどうか、異常値の有無に関してはデータの前処理を行う段階でチェックすることは可能です。前処理は時に手間はかかりますが、動かし始めて質の低い結果がもたらされるリスクを考えると、必要なコスト・手間であると言えます。
まとめ
AdaBoostは弱いモデルを活用し、直列的に学習を行っていくアンサンブル学習です。ブースティングの手法をより現実的に、実用的なものにしたという点ではかなり画期的です。実際にAdaBoostを開発した人たちは権威的な賞を獲得し表彰を受けています。
AdaBoostには多くのメリットがある一方、デメリットもありますが、そのデメリットは前段階で対応しやすいものなのでそこまで致命的ではありません。裏を返せば、事前の対応次第でいくらでも克服できるものと言えるでしょう。
AdaBoostは分類だけでなく回帰分析も行えるので、AdaBoostは利便性が高い手法です。AdaBoostのイロハを学び、機械学習を行っていきましょう。
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