2045年問題とは?シンギュラリティ・AIの事例・デメリットを解説
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コンピューターテクノロジーの進化とともによく聞かれるようになった言葉の1つが「2045年問題」です。
これまでも2000年問題などさまざまな年問題が話題になってきましたが、2045年問題も社会に大きな影響を与えかねない問題といわれています。
とはいえ、2045年問題がどのようなものかよく分からない方もいるでしょう。
本記事では、2045年問題とはどのような問題なのか詳しくご紹介します。また、シンギュラリティが及ぼす影響・AIの事例・デメリットなども解説します。
2045年問題について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
2045年問題とは?
2045年問題とは、その年にAI(人工知能)が人類の知能を超える技術的特異点(シンギュラリティ)を迎え、それによって生じる影響や問題のことを指します。
コンピューターテクノロジーが進化すると、2045年ごろにコンピューターの今後を予測できなくなるといわれている問題です。
実際にシンギュラリティが起こるかどうかについては、専門家の間でも意見が分かれています。またシンギュラリティがいつ起こるかについても複数の説があり、2045年だけでなく、もっと早く起こると考えている専門家も少なくありません。
更にはシンギュラリティが起こるまえに、プレ・シンギュラリティと呼ばれる社会変動が起こるという意見もあります。
シンギュラリティが及ぼす影響は?
2045年に起こるといわれるシンギュラリティは、人類にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。具体的には、次のような影響を及ぼすことが考えられるでしょう。
- 雇用に影響
- 社会にも影響を及ぼす
- 医療技術の発達
- 働かない世界の実現
影響を一つずつ見ていきましょう。
雇用に影響
シンギュラリティが及ぼす影響の一つは、雇用の変化です。シンギュラリティによって、これまで人間が行っていた仕事の一部をAIが行う可能性があります。
具体的には、次のような仕事はAIに置き換わる可能性が高いでしょう。
- データ入力
- 薬剤師
- 工場の作業員
- 銀行員
- 受付
- コールセンター
- レジ打ち
- 配達員
- 運転手
単純作業は自動化しやすく、AIに置き換わる可能性が高いといえます。
一方で、AIに置き換わる可能性が低い仕事もあります。具体的には次のような仕事が挙げられるでしょう。
- 医師・看護師
- スポーツ選手
- アーティスト
- ITエンジニア
- 営業職
- 介護職
- カウンセラー
- 教師
上記のような、特別なスキル・知識が必要な仕事はなくならないと考えられます。
社会にも影響を及ぼす
シンギュラリティは、社会にも大きな影響を及ぼすと予想されています。AIに仕事が置き換わって仕事が減る結果、収入を保障するためにベーシックインカムの導入が進む可能性があるでしょう。
ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に一定の金額を無条件で支給する制度のことです。ベーシックインカムが導入されれば、すべての国民に最低限の所得が保障されるでしょう。
ベーシックインカムの導入は、貧困問題や格差問題の解決になる一方で、財源の問題や労働意欲低下など別の問題を引き起こすリスクもあります。
医療技術の発達
シンギュラリティが及ぼす別の影響は、医療技術の発達です。AIの発達により人間の体の仕組みが解明され、脳や臓器をコンピューターなど人工物で代替する可能性があります。
実際に現在でも、脳波を活用してコンピューターをコントロールすることや、人工関節・人工心臓などはすでに開発されている技術です。
脳や臓器がすべて人工物でも代用可能になると、寿命が延びたり、不老不死が可能となったりする将来もあり得るでしょう。
働かない世界の実現
シンギュラリティにより、一部の職業がAIに置き替わる未来が進めば、人類が働かない世界が実現する可能性もあるでしょう。もちろん、働かない世界を実現するためには、社会への影響でも述べた、ベーシックインカムのような給付制度が必要になります。
いずれにしても、働かない世界は収入を得るための仕組み・お金や労働に対する概念・社会の仕組みなどに対する価値観や世界観に大きな影響を及ぼすことになるでしょう。
2045年問題までにAIが活用されている事例は?
シンギュラリティが起きるといわれる2045年問題までの間も、AIが活用される場面はますます増えていくと予想されます。実際にAIが活用される事例としては、次のような場面が挙げられるでしょう。
- ディープラーニング
- 自然言語処理
- 予測技術
- 画像認識
それぞれの具体的な事例を考えてみましょう。
ディープラーニング
AIが活用される1つ目の事例は、「ディープラーニング」と呼ばれるもので、深層学習やDLといわれることもあります。ディープラーニングとは、コンピューターやシステムに大量のデータを学習させる機械学習の一種です。
一般的に機械学習は人間がデータを判断しますが、ディープラーニングは機械がデータを判断する点が決定的に違うといえるでしょう。そのため、人間が手を加えなくても機械が自動的に学習する点が、ディープラーニングの大きな強みです。
ディープラーニングはさまざまな分野で活用されており、具体的には、次のような分野が挙げられるでしょう。
- 医療研究
- 流通
- 製造
- 自動運転
- セキュリティ
ディープラーニングが今後発展していけば、人間がこれまで行っていた業務の一部を機械に置き換えたり、業務を効率化したりすることが期待できます。
自然言語処理
AIが活用される事例としては、「自然言語処理」も挙げられるでしょう。自然言語処理とは、人間が使用する言語をコンピューターに理解させる技術です。
自然言語処理によって、文章・音声などの自然言語データをコンピューターが処理し、意味を理解できるようになります。それによって、文書の自動生成・機械翻訳・要約などが可能です。
また、質問に対してコンピューターが適切な回答をする技術にも活用され、医療診断支援・自動音声応答システム・チャットボットなどに利用されています。すでにビジネス・医療・教育・研究などの分野で活用されていますが、今後もさらに多くの分野で活用されていくでしょう。
予測技術
AIが活用される別の事例には「予測技術」もあります。これは、AIがさまざまなデータを分析し、未来の物事の発生や未来の数値などを予測する技術です。
これまで、未来の予測は人間の経験や勘に頼った面が多くありました。しかしながら、経験がない人には予測が難しく、感覚的なものは継承しにくいなどの問題があります。
AIによる予測技術により、人間の感覚に頼らない、正確で精度の高い予測が可能です。具体的には、AI予測により、商品の需要を高精度に予測できます。
そのため、過剰生産・過剰発注による不良在庫を減らすのに役立つでしょう。ビジネス以外にも、感染症の感染予測や防犯などさまざまな分野で活用されています。
画像認識
AIが活用されるほかの事例として、「画像認識」と呼ばれる技術があります。画像認識は、画像に何が映っているか、人や物を認識する技術です。
人間であれば、過去の経験をもとに画像に映っている人や物を判断します。AIを活用すれば、数多くの画像データから人や物の特徴を学習できるため、学習データを元に画像に映っている人や物を判別できるようになります。
実際にすでに活用されている事例としては、防犯の分野です。防犯カメラに映った映像から人物を割り出すことができるため、これまでより早く犯人を特定したり、未然に犯罪を防いだりするのに役立っています。
また、自動運転での標識・歩行者・前方車両の識別などにも活用されています。
2045年問題で起こるデメリットは?
ここまで主に2045年問題が及ぼす影響のうち、良い面を見てきましたが、デメリットもあるといわれています。具体的には、次のようなデメリットが挙げられるでしょう。
- 人がAIを操れなくなる
- 人の仕事がなくなる
- 貧富の差が激しくなる
2045年問題のデメリットについても1つずつ詳しく解説します。
人がAIを操れなくなる
2045年問題で起こるデメリットの1つ目は、人がAIを操れなくなることです。つまり、AIが人間の知能を超えるために、暴走するのではないかと恐れられています。
ディープラーニングのように、AIのルールはAI自身が決めることが原則です。もし人がAIをコントロールできなくなると、鉄道・電気・ガスなど社会のインフラにAIが活用された場合、危険が生じることになるでしょう。
2045年以降は人工知能を搭載したスーパーコンピューターが地球を支配することになると考えている科学者もいます。一方で、AIをコントロールすることは可能で、暴走する危険性は低いとする専門家も多いです。
人の仕事がなくなる
2045年問題が引き起こす別のデメリットは、人の仕事がなくなることです。ここまで見てきたようにAIが人間の仕事をするようになると、仕事が減少します。
とはいえ、AIが進化してもなくならないと予測されている仕事も多くあり、とくに俳優やミュージシャンなどクリエイティブな仕事はなくならない可能性が高いでしょう。
また、AIの進化により、新たに誕生する仕事もあることが予測されています。シンギュラリティの影響で、これからはAIを扱う企業が増えると考えられるため、AI関連の仕事は需要が高まるでしょう。
貧富の差が激しくなる
2045年問題で起こるデメリットには、貧富の差が激しくなることも挙げられるでしょう。AI化によって仕事を失う人が増える一方で、AI化できない職業についている人との間に貧富の差が生じることが予測されています。
解決策として、すべての人に均等に所得を与えるベーシックインカムなどが検討されていますが、導入にはさまざまな問題があるでしょう。
まとめ
本記事では、2045年問題とは何かについて解説してきました。2045年問題とは、AI(人工知能)が人類の知能を超える技術的特異点(シンギュラリティ)を迎え、それによって生じる影響や問題のことです。
シンギュラリティは、雇用・社会・医療技術など人類に大きな影響を及ぼすと考えられています。
実際に2045年問題が起こるかどうか、いつ起こるかについてはさまざまな意見がありますが、AIがこれからの社会に大きな影響を与えることには疑問の余地はありません。
これまで以上に、AIについての正しい知識を身に付けることが重視されるようになるでしょう。
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