GLOSSARY

「拡張知能」と「人工知能」の違いとは?それぞれの定義や具体的な事例、将来の展望について解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
拡張知能

INDEX

拡張知能

皆さんは拡張知能をご存じですか?拡張知能は私たちが考えているAIのことを指しています。AI=人工知能と考えている方が多い中、なぜAI=拡張知能となるのか、気になった方も多いはずです。

今回は拡張知能にスポットを当て、拡張知能とは何か、拡張知能と人工知能の違い、拡張知能の展望などを解説します。

そもそも拡張知能とは何か

拡張知能

拡張知能と人工知能の違いを解説する前に、まずは拡張知能とはどういうものなのか、その説明をします。

拡張知能の概要

拡張知能は、「Extended Intelligence」や「Augmented Intelligence」と呼ばれ、人間の脳では扱いきれないようなたくさんの情報を素早く処理するために知能を拡張したものを指します。

Augmentedには強化された、Extendedには拡張されたというそれぞれの意味合いがあり、強化された知能、拡張された知能とそれぞれ直訳をすることができ、拡張知能を示す言葉として使われています。

実は「人工知能」は存在しない

拡張知能

AI=人工知能ではなく、AI=拡張知能を示す要因は、そもそも人工知能は本当の意味で存在していないことが言えるためです。元々世界的にAIという言葉が浸透したのは、IBMがWatsonを発表してからで、この時IBMはWatsonをAIと称しています。

しかし、この時のAIは「Augmented Intelligence」を示しており、決して「Artificial Intelligence」の方ではありませんでした。つまり、Watsonは拡張知能として示されていたのに、日本人が「Artificial Intelligence」だと受け止めてしまったという背景がありました。

ドラえもんなどのロボットがいわゆる「Artificial Intelligence」なのに対し、今あるAIはすべて「Augmented Intelligence」です。この点を間違える人が非常に多い状況なのです。

拡張知能と人工知能の違いとは?

拡張知能

ここからは拡張知能と人工知能の違いについてご紹介します。

人間が判断に関与するかしないか

拡張知能と人工知能の最大の違いは、人間が判断に関与しているかしていないかの違いです。例えば、拡張知能の場合は様々な判断になるものを拡張知能が示すものの、実際に判断を行うのは人間です。いわば人間と拡張知能が協力しながら作業を行っていく形になります。

しかし、人工知能の場合は、全て人工知能の中で完結するため、人間があれやこれやと指示を出さなくても、人工知能が独立して考えてくれます。その点が拡張知能と人工知能の最大の違いと言えるでしょう。

人間の能力を高めるかどうか

拡張知能

拡張知能は人間が行う判断を助けるためのアイテムですが、同時に、人間が持つ能力を高める存在にもなります。いわば人間が道具を使って生活を便利にしてきたように、拡張知能を使ってより利便性の高い暮らしにしていくために開発されたのが拡張知能です。

人工知能は人間の能力を高めるというものではなく、あくまでも独立した存在と言えます。その点では現在のAIはすべて拡張知能であり、人工知能ではないと考えた方がいいでしょう。

拡張知能ではなく真の人工知能が実現するのはいつか

拡張知能

拡張知能ではなく真の人工知能が実現するのはいつなのか、解説していきます。

真の人工知能とはAGI

ドラえもんなどのロボットはいつになったらできるのかを考える中で、ポイントになるのがAGIの存在です。AGIはArtificial General Intelligence、汎用人工知能と呼ばれ、人間と同等の思考や感情を持ち合わせるAIです。ロボットとタイムラグなく普通に会話できるようになるには、AGIの存在が絶対に欠かせません。

現状の拡張知能では、人間の感情を理解しているとは言えません。データ的にみて喜怒哀楽を判断することはできても、データ抜きに判断することはできないでしょう。しかし、AGIは人間の思考がわかり、自らも思考を持つようになります。

AGIはいつ実現するのか

拡張知能

多くの人が気になるのは、AGIはいつ実現するのかですが、現状では2047年に50%で実現するのではないかという意見があり、2047年になる可能性が出てきています。これは世界中のAI研究者のアンケートによるもので、2047年が1つの目安になります。

もちろん、あくまでもAI研究者の意見なので実際に2047年に絶対にできるとは限りません。もっと言えば、それよりはるか手前に実現することも十分に考えられるでしょう。しかも同じ質問を1年前にしたときは2060年に実現可能性が50%に達するという意見が出ていました。つまり、たった1年で13年も認識が改まり、早まったことになるのです。

同じ質問を翌年にすればさらに実現可能性は前倒しされるでしょう。その場合、AGIは私たちが思っているよりも早く実現しても何らおかしくありません。

拡張知能の具体的な事例

拡張知能

ここからは拡張知能の具体的な事例についてご紹介していきます。

Watson

Watsonは拡張知能の代表的な存在であり、様々な場所でWatsonが用いられています。例えば、コールセンター業務においてWatsonが機能しているケースがあります。Watsonは自然言語処理などをこなし、AIオペレーターとしての機能を持つことができます。

AIオペレーターとして、電話をかけてきたユーザーの言葉をAIが分析し、回答をAIが行うほか、より詳しい回答ができるよう、人間のオペレーターにつなげることが可能です。つまり、簡単な質問に関してはAIオペレーターで事足りるようになります。

クレジットカード会社の大手であるJCBではAIオペレーターを採用しており、問い合わせでありがちな電話番号を入力していく形式ではなく、AIオペレーターと会話をする中で適した応対ができるのです。問い合わせでありがちな、長い時間待たされるケースを極力減らすことができます。

採用にも拡張知能が使われる

拡張知能

誰もが1度は使ったことがあるであろうAmazonでは採用において拡張知能が用いられています。採用プロセス全般で拡張知能が用いられており、履歴書のチェックやマッチングなど様々なことに拡張知能が用いられています。

こうした採用活動や雇用に関連した局面で拡張知能を用いることはAmazonだけに限ったことではありません。大企業はたくさんの人が応募をしてくるため、その応募を円滑に処理する必要があります。今後は拡張知能を使ってふるいにかけていくことがより一般的に行われることが考えられるでしょう。

拡張知能の将来の展望

拡張知能

ここから拡張知能の将来の展望についてご紹介していきます。

人間の能力が加速度的に高まる可能性

拡張知能はあくまでも人間のために存在しており、拡張知能が成長することは人間の能力を高めることにつながっていきます。そのため、拡張知能が加速度的な進化を遂げれば人間の成長も加速度的な高まりを見せても何らおかしくありません。

人工知能の可能性は日々検討されているものの、実際に実現するのは遠い先であり、一方でAGIが実現したら大変なことになるのではないかという懸念がつきまといます。その点、拡張知能であれば人間が最大限コントロールできる範疇にあるため、人間の能力を高めつつも人間の脅威にならないレベルで管理することが可能です。

人間の能力が飛躍的に高まる形で拡張知能を応用できる状態になるのが、拡張知能の将来として目指すべき道と言えます。

拡張知能選びが今後を左右する時代へ

拡張知能

拡張知能の存在は間違いなく人間の能力を高めさせてくれます。しかし、誰しもが同じような拡張知能を持てるとは限りません。既存の拡張知能を活用する人もいれば、自ら拡張知能を作り上げて活用する人もいるでしょう。その場合に、拡張知能をどのように選ぶか、どのように開発するかで、今後を左右する時代が訪れる可能性があります。

最近ではデバイスを持つ持たないでの格差を始め、情報格差などの問題が出てきています。今後、拡張知能による格差が出始める可能性があります。一般的な企業で拡張知能を導入する・しないによる格差が出てきているように一般レベルにまで浸透する可能性があると言えるでしょう。

拡張知能はより進化していく

拡張知能

AIを弱いAI、強いAIと称する動きがあり、拡張知能は特化型AI、弱いAIとして扱われます。しかし、強いAIはAGIなので、今あるものはすべて弱いAIとなります。しかし、この表現は今の状況では正しいとは言えず、強いや弱いで表現するのは無理があると言えます。

弱いAIの中にもハイスペックなものもあればそうでないものもあります。しかし、そうでないものの中にも以前と比べればかなりハイスペックなものも存在します。全体的に拡張知能は加速度的な進化を遂げており、AGIがなかったとしてももはや拡張知能で事足りる時代が来たとしても何ら不思議ではありません。

まとめ

拡張知能は間違いなく人類にとっての救世主であり、私たちの生活を支えていることは明らかです。一方で、私たちが脅威としているAIはAGIのことを指しており、このAGIこそが真の人工知能です。そのため、拡張知能の範疇であれば、少なくとも人類の脅威になる可能性は少ないでしょう。

もちろん拡張知能を有効活用するケースでは人間が職を奪われるというケースは十分に考えられます。拡張知能が幅を利かせる時代にあって、いかに共存していくかが問われようとしています。

さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。

⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。

そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。

ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!

詳細はこちら