教師あり学習とは?概要や手法、メリット・デメリットと教師なし学習との違いをわかりやすく解説
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近年、高い注目を集めている機械学習には、さまざまな種類がありその中の1つに教師あり学習があります。
教師あり学習は、AIを学ぶ上で欠かせない要因の1つなので、これからAIを学んでいく場合は理解しておくことが大切です。
今回は、教師あり学習の概要や手法、メリット・デメリットと教師なし学習との違いをわかりやすく解説します。
教師あり学習とは?
教師あり学習とは、機械学習の1つであり、ラベル付きのデータをAIに与えて学習させる手法のことです。
ラベルとは、正解データのことであり、この正解データを教師として扱うことから教師あり学習といいます。
ラベル付きデータを与えて学習させることで、正しいデータと間違っているデータを正確に分類することが可能です。
教師あり学習の手法・アルゴリズム
教師あり学習には、さまざまな手法・アルゴリズムが存在しており、その中でも代表的なものは以下の通りです。
- 一次相関
- ロジスティック相関
- サポートベクターマシン(SVM)
- K近傍法
- 単純ベイズ法
- 決定木分析
- ランダムフォレスト
- 勾配ブースティング法
- 次元削減法
これから、機械学習について学ぶ方は、以上の手法について理解しておくことをおすすめします。
教師あり学習の種類
教師あり学習には、「回帰」「分類」という2種類が存在しており、それぞれ特徴や仕組みが異なります。
ここでは、以上2つの種類について解説します。
回帰
回帰とは、入力データから連続している出力値を予測することです。
例えば、特定の地域の観光客数を予測する場合に季節や天候などの関係性を学習させることで、「観光に何回訪れるか」という値を予測します。
この回帰には、主に線形回帰・多項式回帰・リッジ回帰・ラッソ回帰などのさまざまな手法があります。
分類
分類とは、入力データを事前に定義されているカテゴリやクラスに分けることです。
例えば、動物の画像をみた時にその画像に写っている動物がどの種類の動物に分類されるか予測したり、大量のメールの中からスパムメールを分類するなどの作業があります。
分類には、主にロジスティック回帰・サポートベクターマシン・決定木・ランダムフォレスト・ニューラルネットワークなどがあります。
教師あり学習と教師なし学習との違い
教師なし学習とは、ラベルなしデータをAIに与えて学習させる手法のことです。
教師あり学習とは反対に正解がない状態から最適な答えを導き出す必要があるので、予測や分類ではなくデータの構造や関係性を学習します。
そのため、教師あり学習と教師なし学習の違いは、AIに与えるデータにラベルの有無になります。
また、教師あり学習と教師なし学習を合わせた半教師あり学習という手法もあります。
教師あり学習のメリット
教師あり学習を採用することで、さまざまなメリットが得られます。
ここでは、教師あり学習のメリットについて解説します。
予測精度が高く応用させやすい
教師あり学習の1つ目のメリットは、予測性が高く応用させやすいことです。
教師あり学習は、AIにラベル付きのデータを与えて学習させるので、正しいデータとそうでないデータを高い精度で判別できます。
例えば、教師あり学習でスパム検知を行う場合、AIにスパムデータを与えて学習させることで、スパムの分類を高い精度で行うことが可能です。
さらに、正常の画像と異常のある画像を学習させることで、異常検知や医療での画像診断などにも応用させることができます。
そのため、正解があるデータを分類する場合には、教師あり学習がおすすめになります。
アルゴリズムが豊富にある
教師あり学習は、アルゴリズムが豊富にあるというメリットもあります。
アルゴリズムが豊富にあることによって、教師あり学習の活用目的や扱うデータの特性などに応じて、最適なアルゴリズムを選んで採用することが可能です。
さらに、豊富なアルゴリズムがあることから多くの分野で教師あり学習が活用されているので、今後も多くの分野で活用されていくことでしょう。
これから教師あり学習を学習する際は、教師あり学習に用いられるアルゴリズムについても理解しておくことをおすすめします。
教師あり学習のデメリット
教師あり学習には、メリットだけでなくデメリットもあるので、教師あり学習を採用する場合は、しっかりと理解しておくことが大切です。
ここでは、教師あり学習のデメリットについて解説します。
正解のない分野には活用できない
教師あり学習は正解のない分野には活用できないというデメリットがあります。
例えば、新製品や新サービスを提供した時の売上や影響などを予測したい場合、正解データが存在していないので、教師あり学習が活用できません。
以上のような場合は、ラベル付きデータを必要としない教師なし学習を活用することが最適です。
そのため、正解のデータのある分野以外では、教師あり学習は活用できないことを理解しておきましょう。
正解データの質が学習精度に大きく影響する
教師あり学習は、正解データの質が学習精度に大きく影響します。
AIに与えるデータにラベルが不足している場合は、教師あり学習によって予測・分類されたデータの精度が低くなる可能性があります。
さらに、学習させたデータのラベルが間違っている場合は、AIが間違えたデータを正しいデータとして判断してしまうリスクが高いです。
そのため、教師あり学習をさせる場合は、与えるデータをしっかりと選定しておきましょう。
教師あり学習の活用事例
教師あり学習には、高い予測精度があることやアルゴリズムの豊富さなどのメリットがあります。
そのため、教師あり学習させたAIを活用している事例は数多く存在しています。
ここでは、教師あり学習の活用事例について紹介します。
スパム検知
スパム検知には、教師あり学習が活用されています。
AIに、これまでに送られてきたスパムメールや迷惑メールなどのデータを与えて学習させることで、AIが大量に送られてくるメールの中からスパムを分類することが可能です。
スパムを高い精度で検出してくることで、多くの企業や施設などのセキュリティシステムとして導入することができます。
さらに、スパムフォルダに分けるためのアルゴリズムもAIが自動生成してくれるので、とても効果的です。
画像認識
画像認識は、AIが画像に写っているものを認識する技術のことであり、この技術にも教師あり学習は活用されています。
AIにラベル付きのデータとして画像と写っているものの名称をセットを与えることで、AIはその画像を見た時に写っているものを判別することが可能です。
実際に、AI搭載のカメラなどには教師あり学習をさせたAIが搭載されていることが多く、物体検知や異常検知などで活用されています。
ただ、事前に大量の画像と写っているものの名称をセットにしたデータを与えなければ、高い精度での画像認識ができないことを理解しておくことが大切です。
画像生成
画像生成とは、AIが画像を想像して新たな画像を生成する技術のことで、この画像生成にも教師あり学習が活用されています。
AIに既存の画像データをラベル付きデータとして大量に与えて学習させることで、その学習させた画像データを元に、新たな画像を生成させます。
元となった画像は既存のものですが、AIが学習した大量の画像を元にオリジナリティの高い画像を生成することが可能です。
そのため、教師あり学習を活用した画像生成は、デザインや医療、芸術やゲーム開発などの分野で広く活用されています。
分類作業
分類作業は、教師あり学習を効果的に活用できる分野の1つです。
例えば、医療現場で画像診断をする場合、正常な画像と異常のある画像を学習させることで、効果的な画像診断を実現させられます。
さらに、ニュースサイトやSNS、ブログなどのカテゴライズやマーケティングでのデータ分析などにも活用できます。
上記で解説したスパム検出も分類作業の1つとして含むことが可能です。
株価予測
教師あり学習を活用すれば、AIを用いた効果的な株価予測も可能です。
将来的な株価を予測する場合、これまでの株価変動のデータをAIに学習させて株価変動の傾向や特徴を分析させます。
この時、過去の株価データを正解データとしてAIに与えることで、AIはその正解データを元に将来的な株価を予測することが可能です。
さらに、株価予測でもAIに与えるデータ量が多いほど、高い精度での株価予測が実現できます。
ただ、突然のニュースや有事、災害などによって予測が大きく外れてしまう可能性もあるので、完璧に予測することは不可能です。
そのため、AIを用いた株価予測はあくまでも参考データとして扱うようにしましょう。
まとめ
教師あり学習は、高い精度で分類作業や予測作業をAIに行わせるためにとても効果的な機械学習の手法の1つです。
実際に、幅広い分野で教師あり学習を活用したAIが導入されており、今後もさらに世の中に普及していくことが予想されています。
ただ、正解データを大量に与えなければ精度が低くなることや正解のない領域での活用が厳しいなどの課題もあります。
そのため、これから教師あり学習を採用する際は、しっかりと教師あり学習のメリット・デメリットを理解した上で活用することをおすすめします。
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