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画像生成におけるCycleGANとは?メリットや仕組みを事例をまじえてわかりやすく解説!

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CycleGAN

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生成モデルの1種であるGAN(敵対的生成ネットワーク)には、さまざまな種類が存在しており、その中の1つに「CycleGAN」があります。

CycleGANは、Pythonで実装することができ、実際に活用されている事例もいくつか存在していますが、あまり理解していない方も多いです。

今回は、画像生成におけるCycleGANのメリットや仕組みを事例を交えてわかりやすく解説します。

画像生成とは?

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画像生成とは、AIが画像を自動で生成する技術のことです。

ディープラーニングという機械学習手法を用いることで、AIは大量の画像データからその画像の特徴を学習して、新たにオリジナルの画像を生成することができるようになります。

さらに、ぼやけている画像やノイズの混じった画像など学習データとして不十分なものであっても、高画質な画像を生成することが可能です。

そのため、専門家が画像を加工する負担を減らすことができ、気軽に画像の復元や高画質画像の準備を行えるようになります。

現在では、画像生成が気軽にできるツールも数多く提供されているので、気になる方は画像生成ツールを利用してみることをおすすめします。

生成モデル

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生成モデルとは、AIが与えられたデータを学習して、そのデータを元に新たなデータを生成するモデルのことです。

例えば、犬の画像データを与えて学習させることで、AIは新たに犬を参考にした空想上の動物をリアルに生成することができます。

そのため、ゲーム開発やデザイン、イラストなどのクリエイティブな分野での活用が進んでおり、今後はさらに高い精度での生成が可能になることも期待されています。

ただ、現状では不自然に生成されてしまうこともあるので、改善が必要です。

ディープラーニング

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ディープラーニングとは、機械学習の手法の1つです。

主に、多層構造のニューラルネットワークで与えられたデータの傾向やパターンを学習していく仕組みです。

大量のデータを自動で分析して学習する内容をAIが判断することで、従来の機械学習よりも正確な結果を導き出すことができます。

そのため、医療や建設、自動運転や音声認証などさまざまな分野で活用がされており、今後もより広い範囲で活用が進んでいくことでしょう。

画像生成の主な手法

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画像生成の主な手法には、以下のものがあります。

  • VEA
  • GAN
  • pix2pix
  • DELL-E
  • StyleGAN
  • StyleGAN2

以上の画像生成の手法は、提供されている画像生成ツールにも用いられており、今後の多くのサービスやツールで活用されていくことでしょう。

そのため、気になる方は画像生成の手法についても理解してみてください。

CycleGANとは?

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CycleGANとは、「Cycle-Consistent Generative Adversarial Networks」という言葉の略称であり、GANの1種です。

異なるドメイン同士で画像のスタイルを変換するために開発された技術で、生成された画像を元の画像に再度変換することができます。

また、生成された画像を元の画像に変換するプロセスで、それぞれの画像がしっかりと一致するように学習していくことで高い精度の画像生成が可能です。

ドメイン

ドメインとは、特定の特徴を持っているデータの集まりのことです。

そのため、CycleGANにおいてドメインを変換するということは、「馬の画像からシマウマの画像に変換する」などの技術ということになります。

馬とシマウマは、それぞれ違った特徴を持ったドメインであり、CycleGANではそのドメインの変換が可能です。

GANとは?

GAN(敵対的生成ネットワーク)とは、「Generative Adversarial Networks」という言葉の略称で、生成モデルの1種です。

ディープラーニングを活用した画像生成手法の1つでもあり、精度の高い画像生成ができます。

このGANは、2種類のニューラルネットワークを競わせながら学習していく仕組みを持っていることから、敵対的生成ネットワークと呼ばれています。

GANの仕組み

GANは、「Generator(生成ネットワーク)」と「Discriminator(識別ネットワーク)」の2つのニューラルネットワークから構成されています。

「Generator」が偽物のデータを生成し、「Discriminator」が生成された偽物のデータを本物かどうか判断するというプロセスを繰り返し行う仕組みで学習します。

そして、以上のプロセスを繰り返すことによって、「Discriminator」の精度は向上していき正解のデータを学習していくことが可能です。

そのため、GANは正解データがない状態でもAIが正解を導き出すことのできる生成モデルでもあります。

他の技術を組み合わせられる

GANは、他の技術と組み合わせて使うことができるので、GANから派生したさまざまな技術が誕生しています。

実際に、GANの1種である「DCGAN」はGANとCNN(畳み込みニューラルネットワーク)というニューラルネットワークの1種を組み合わせて改善されたものです。

また、「word2vec」という自然言語処理技術と組み合わせて使うことで、画像のラベリングから演算まで行えるようになります。

そのため、GANは今後のさまざまな技術と組み合わせて使用されていくことが予想されます。

CycleGANの仕組み

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Cycle GANは、GANと同様の仕組みに加えて2つのジェネレータと2つのディスクリミネータから構成されています。

ジェネレータがドメインを別のドメインに変換する役割を持っており、ディスクリミネータが変換された画像の真偽を判断する仕組みです。

以上の仕組みによって、高い精度での変換が可能になっています。

敵対的損失(Adversarial Loss)

敵対的損失(Adversarial Loss)とは、GANの2つのニューラルネットワークを競わせながら学習するプロセスで使用される損失のことです。

CycleGANは、「Generator」と「Discriminator」の2つのネットワークをベースにしており、画像生成においてはそれぞれが競い合います。

サイクル一貫性損失(Cycle Consistency Loss)

サイクル一貫性損失(Cycle Consistency Loss)とは、CycleGANの大きな特徴の1つです。

例えば、馬をシマウマに変換した画像を更にロバに変換する場合、CycleGANでは元の馬の画像と一致するように訓練をします。

この時、損失は画像の1ピクセル毎の比較をして計算して求めます。

同一性損失(Identity Mapping Loss)

同一性損失(Identity Mapping Loss)も、CycleGANの特徴の1つです。

例えば、馬の本物画像を「Generator」に入力して馬の偽物画像を生成した場合、馬から馬が生成されることになります。

ここで馬から馬を生成するために入力と出力に差がないという解釈の上で、本物画像と偽物画像のピクセルの差を損失として計算して、「Generator」に学習します。

同一性損失は、主に以上のような仕組みです。

CycleGANのメリット

高い精度での画像生成ができるCycleGANは、主に以下2つのメリットがあります。

  • 異なるドメイン間でうまく変換できる
  • 訓練効率が良い

ここでは、以上2つのCycleGANのメリットについて解説します。

異なるドメイン間でうまく変換できる

CycleGANは、異なるドメイン間でうまく変換できるというメリットがあります。

CycleGANでは、データセットの形状などがバラバラであっても、教師なし学習を用いて問題なく変換することができるので、柔軟性が高い技術です。

例えば、他の画像生成手法であるpix2pixは、教師あり学習を使い、輪郭が一致しているペアを大量に用意する必要があります。

そのため、学習のためのコストが高くなってしまいますが、CycleGANではその心配がいりません。

訓練効率が良い

CycleGANは、モデルの訓練効率が良いこともメリットの1つです。

CycleGANは、変換を行うための訓練を2つの生成ネットワークから同時に進めることができるので、膨大なデータセットを用いて何度も訓練させる必要がありません。

そのため、効率的にモデルの訓練が行えて、気軽に高い精度での画像生成が可能です。

CycleGANの実装ステップ

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CycleGANを実装する場合は、主に以下のステップで行います。

  • 画像の前処理をする
  • モデルを作成する
  • 損失・最適な手法の選択する
  • モデルの訓練をする
  • 写真から絵画への変換をする

これからCycleGANを活用した画像生成を行う場合は、以上のステップで実施していきましょう。

CycleGANの事例

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CycleGANは、「PyTorch」や「TensorFlow」などのPythonのフレームワークで実装されており、GitHubでは多くのリソースが公開されています。

そのため、CycleGANを実装して活用している事例も数多く存在しています。

そんなCycleGANの事例として主に以下2つがあります。

  • ゆるキャラの生成:地域のPR活動のためのゆるキャラをCycleGANを用いて生成
  • 宝飾品の修正画像:CycleGANを用いて宝飾品から提供された画像を補正

CycleGANには、以上のような活用方法があり、実際に事例として存在しています。

また、CycleGANの事例は今後も増加していくことでしょう。

まとめ

CycleGANは、異なるドメイン間でもうまく変換でき、効率的なモデルの訓練も可能なので、画像生成においてとても効果的な技術です。

ただ、しっかりと仕組みや特徴を理解していなければ十分に活用することができません。

これからCycleGANの実装を行う場合は、しっかりとCycleGANについての理解を深めておくことをおすすめします。

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