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リスキリングとは?意味やメリットデメリット、AI活用に有効な取り組みの具体例まで徹底解説!

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リスキリング

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皆さんはリスキリングをご存じですか?リスキリングはDX人材になるべく新しい技術を獲得するために行う教育を指します。なぜ今リスキリングが必要なのか、そこには大きな理由が隠されているのです。

本記事ではリスキリングとは何かを中心に、リスキリングの意味やメリット・デメリット、リスキリングがもたらす影響などをご紹介します。

リスキリングとは何か

ここ数年で登場した言葉ともいえるリスキリングですが、そもそもどういうものなのか、リスキリングについて言葉の意味など詳しく解説します。

リスキリングの意味

リスキリング(reskilling)は英語で新しいスキルの習得という意味があります。リスキリングは和製英語ではないかと思っている方もいますが、英単語として存在しています。reskillという単語も同じような意味を持つ単語です。

日本ではあまりなじみが薄い言葉であり、ビジネスで用いられる英単語であるため、学生時代からよく学ぶ単語とは言えません。

いつからリスキリングが使われ始めたか

リスキリングという言葉が有名になったのは、2020年1月に行われたダボス会議において、「リスキリング改革」が発表されたためです。現代は第4次産業革命の時期とされ、IoTやAIなどの最先端技術が加速度的な進化を遂げ、これらの産業が多くの人類の雇用を奪うとされています。

第4次産業革命によって職を奪われないようにするには2030年までに世界10億人をリスキリングしなければならないという意味合いを込め、「リスキリング革命」が宣言されるに至ったのです。

日本でもリスキリング革命を受けてリスキリングに力を入れる動きが進められ、日本政府もリスキリングへの予算投入を進めるなど、リスキリングは今後大きな注目を集めることになります。

リスキリングを行うメリット

リスキリングを行うと企業側はもちろん、労働者側にもメリットがあります。代表的なメリットは以下の3つとなります。

  • DX人材を自前で確保できる
  • スキルを高度化でき、転職がしやすくなる
  • コストを抑えながら会社のレベルアップにつなげられる

これら3つの理由についてご紹介していきます。

DX人材を自前で確保できる

1つ目はDX人材を自前で確保できることです。デジタル系に強い人材は慢性的に不足しており、海外から人材の調達をしないと厳しいケースも見られます。DX人材を失うと、確保するのに時間がかかり、その都度外注などを余儀なくされ、自由な開発ができなくなる恐れがあります。

リスキリングに力を入れることで今いる人材をDX人材として育てていけば、自前でDX人材を確保できるようになり、仮に人材流出が起きても人材育成のノウハウがあるので怖くありません。人材の自給率を高めることは思い切ったことをしやすい土壌につながりやすく、リスキリングのメリットの1つと言えるでしょう。

スキルを高度化でき、転職がしやすくなる

2つ目はスキルを高度化でき、転職がしやすくなる点です。労働者側からすれば、供給不足となっているDX人材になれば引く手あまたの中で職場を選べるので、好待遇の企業を厳選することが可能になります。

ノドから手が出るほど欲しい企業からすれば、DX人材は貴重であり、しかも日本人なのである程度の融通はきくのではないかという期待もあります。リスキリングによってスキルを高度化させることは労働者にとっても大きなメリットなのです。

コストを抑えながら会社のレベルアップにつなげられる

3つ目はコストを抑えながら会社のレベルアップにつなげられる点です。自前でDX人材を育てることで、わざわざ外注する必要がなくなるのでその都度費用が発生するような状況を避けられます。

正社員がDX人材ならば普段支払っている給与プラスアルファで事足りるので、コストを抑えることが可能です。DX人材がいることで開発力を高めることにもつながるなど、リスキリングのメリットを感じさせます。

リスキリングを行うデメリット

リスキリングには様々なメリットがある一方、デメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです。

  • 育成するのに時間とお金がかかる
  • 高度化した人材が流出する可能性が高まる
  • 労働者のやる気を維持し続けるのが難しい

ここからはリスキリングを行うデメリットについてご紹介していきます。

育成するのに時間とお金がかかる

1つ目は育成するのに時間とお金がかかる点です。リスキリングは普段の業務とは別に学び直しを行うので、すぐに育つわけではありません。時間がかかる一方でその分お金もかかります。

即戦力を望むような状況だった場合、リスキリングをする余裕がないので育つのを待ちきれない可能性があります。人材が育つのをしっかりと待てる状況かどうかを事前に確認する必要があるでしょう。

高度化した人材が流出する可能性が高まる

2つ目は高度化した人材が流出する可能性が高まる点です。DX人材になることで労働者が持つ価値は飛躍的に高まります。すると、好待遇でなければ釣り合わなくなりますが、年収アップをするのに尻込みする企業も少なくありません。

育ててくれた恩から一定期間まではいてくれる労働者が多いでしょうが、好待遇の会社が数多いとなれば段々と気持ちは傾きやすいです。せっかく人材を高度化させたのに流出してしまっては何の意味もなくなってしまいます。

労働者のやる気を維持し続けるのが難しい

3つ目は労働者のやる気を維持し続けるのが難しい点です。仕事とは別に学び直しを行うので、労働者からすれば自分のプライベートを削るような状態になりかねません。すると、なぜリスキリングを行っているのかと疑問を持ちやすく、明確な答えが出なければやる気を失いやすくなります。

労働者の負担を軽減させる方策やDX人材になった際の年収アップの確約など、あの手この手の策を講じなければならず、そのあたりも企業側の負担につながりやすい可能性があるのです。

リスキリングとリカレント、アンラーニングの違いは?

リスキリングと似たような言葉に、リカレントアンラーニングがあります。それぞれどのようなもので、リスキリングとどのように異なるのかをご紹介していきます。

リスキリングとリカレントの違い

リカレントは教育機関で学習を行うことを指します。リスキリングでも教育機関で学習を行うことがあるので、基本的にリスキリングはリカレントの範囲内と言えます。リスキリングはDX人材になるための学び直しの意味合いがある一方、リカレントは学び直し全般を指す言葉です。

またリスキリングは教育機関に戻らずとも民間企業のサービスの中で行うことが可能であるほか、長くても2年ほどで終えるリスキリングと人生をかけて学び続けるリカレントという違いも見られます。

リスキリングとアンラーニングの違い

アンラーニングは必要のない知識を切り離して新しい知識を入れていくことを指します。DX人材が不足する一方、既に有り余っている職種や業種は多く存在します。今後必要性が乏しい知識を使わずに新しい知識を取り入れようとする動きがアンラーニングです。

アンラーニングの一環として、DX人材になるべくリスキリングを行うケースが今後増えていくため、アンラーニングという方針、リスキリングという手段という違いと言えます。

リスキリングとAI活用に有効な取り組みの具体例

実際にリスキリングを行い、AI活用に活用したケースも多く存在します。ここでは実際に取り組んできた具体例についてご紹介していきます。

ソニーの場合

ソニーではグループ企業全体で4万人を対象にしたAI研修を行っています。技術職を対象にしており、オンラインを通じてAIに関する研修を行うほか、社員のレベルに応じた研修が受けられるため、AIに関する基本的なスキルが身につくほか、実際にAIを活用したサービスにもつなげられます。

カゴメの場合

カゴメでは自社でDX人材を育成していく動きを進めており、2021年から研修をスタートさせています。研修では5段階にレベルを設定した上で研修プログラムを作り、段階別での育成を行っている状況です。既にDXを活用したアプリなど実績を残しつつあり、今後に期待が持てます。

リスキリングで活用できる補助金とは

リスキリングに挑む際には補助金が出る場合があります。リスキリングでは民間企業のサービスを活用して学び直しを行うケースがあり、新たに専門学校などに通い始めた際、受講料の一部が補助金として出されます。

政府では「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を展開しており、キャリアプランの相談、リスキリング、転職など様々なサポートを行います。労働者のメリットはキャリア相談や転職支援を無料で受けられるほか、リスキリングにかかった費用が軽減される点です。

例えば、リスキリング講座の受講が終わった時点で講座にかかった費用の半分、最大40万円が支給されます。また転職を行い、1年間続けて就業できた場合には講座にかかった費用の5分の1、最大16万円が支給される形です。講座に80万円がかかった場合、最大56万円が支給されるため、24万円の負担で済む計算となります。

リスキリングで年収はどれだけ上がるか

リスキリングを行うことで年収はどれだけ上がるのか、誰しもが気になる部分があるでしょう。結論から言いますと、リスキリングによって150万円以上の年収の違いがあることがアンケートで明らかになっています。

マイナビが行った転職動向調査によると、リスキリングをしていない社員はおよそ400万円ほどだったのに対し、リスキリングをした社員は560万円ほどと年収だけで150万円以上の差がありました。しかも転職することでさらに上の年収も期待できるなど、リスキリングを行うことは生涯賃金の観点から見ても大きな違いをもたらすことは明らかです。

まとめ

リスキリングを行うメリットは大きく、年収のアップだけでなくDX人材になることで供給不足の状況の中で貴重な人材として立ち回ることができるため、引く手あまたの中で職探しができます。

またAIなどに携われる職業は少なくともAIに奪われる可能性を極力小さくしているので、将来的にも安泰になりやすいです。もちろん最新技術を常に勉強し続ける大変さはありますが、専門職として手に職をつけるような感覚で取り組めるのも魅力的と言えます。今の仕事に不安を抱える方はリスキリングを行って手に職をつけるつもりで挑むことをおすすめします。

さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。

⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。

そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。

ぜひあなたも生成AIレベルを証明し「生成AI人材」に仲間入りしましょう!

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