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レーザー除草から仮想フェンスまで|生成AI海外事例集 ―農林水産業編―

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AI技術の進化が加速する中、生成AIが産業界に革命をもたらそうとしている。その影響は農業・林業・水産業・畜産業にも及び、農地の意思決定から山林の規制対応、養殖の健康管理、牛の群れ移動にいたるまで、業界全体を刷新しようとしている。

本連載「生成AI海外事例集」では、世界各国の生成AI活用事例を紹介しながら、各業界の未来を展望する。今回は、農業・林業・水産業・畜産業における先進的な取り組みに焦点を当て、生成AIがもたらすこれらの業界の業務効率化について見ていく。

農業向け生成AI市場は年平均24%超で拡大。水産・養殖分野も年平均11%超の成長

調査会社Precedence Researchは2026年2月、世界の農業における生成AI活用市場に関するレポートを発表した。レポートによれば、2025年時点における同市場の規模は約2億6,978万USドルと試算されており、年平均成長率24.23%で成長して、2035年には約23億6,199万USドルに達すると予測されている。2025年時点ではアメリカを含む北米地域が48%超のシェアを占め、同市場をけん引している。

<引用>https://www.precedenceresearch.com/generative-ai-in-agriculture-market


水産・養殖分野でも同様の拡大が見られる。調査会社Spherical Insightsの分析では、AIを活用した持続可能な漁業・養殖市場の規模は2023年時点で約5億7,420万USドルであり、2033年には約16億6,280万USドルへと拡大し、年平均成長率は11.22%と見込まれている。同市場はアジア太平洋地域がもっとも高い成長率を記録すると見られている。

<引用>https://www.precedenceresearch.com/generative-ai-in-agriculture-market


農業・漁業・養殖業における典型的なAI活用のユースケースは、以下に挙げるような3項目がある。

  • 現場のセンシングと状態把握:土壌水分センサー、気象観測装置、航空・ドローン画像、水中の環境センサーといった機器から、生産現場の状態をリアルタイムで収集・分析する。コンピュータビジョン(画像や映像から対象を認識・判別する技術)と組み合わせることで、作物の健全性や生育段階の評価、病害虫の早期検出、養殖魚の健康状態や水質の継続的な監視が可能になる。病害や被害を早い段階で捉えられるかどうかは、収穫損失を最小化するうえで決定的な差になる。
  • 投入資源の最適化:収集したデータをもとに、灌漑、施肥、給餌といった投入判断を支える。作物の生育結果をシミュレーションして水や肥料の量を最適化する、魚の行動と環境条件から給餌効率を最適化する、といった使い方がこれにあたる。とくに養殖では飼料が生産コストの最大70%を占めるとされ、コスト削減への寄与が大きい。播種、散布、収穫を担う自動化機械やロボティクスと連携し、現場でのリアルタイムな判断を生み出す用途にも広がっている。
  • 計画・規制対応:収量や漁獲の予測、営農計画の自動化、気候リスクのシナリオ分析に活用される。加えて、持続可能な生産に関する規制への適合や、サプライチェーンのトレーサビリティ確保を支える役割も担う。違法・無報告・無規制(IUU)漁業に対抗する監視システムは、その代表例である。

なお、収量予測や水質管理などにもAIが活用されてきたが、こうした数値情報にもとづいた予測や最適化は、第三次AIブーム時に発展した予測系AIが多用されてきた領域である。生成AIの登場により、画像、テキスト、音声といった複数のモダリティのデータを統合して扱えるようになったことで、予測や最適化の精度向上が期待できる。また、実際の生産データへのアクセスが限られる地域向けに、機械学習モデルの訓練用の合成データを生成する、形質と遺伝子の組み合わせを予測して新品種の育種を加速するといった、生成AI固有の用途も現れている。

世界の農林水産業における生成AI活用事例

以下では、一次産業のバリューチェーンに沿って「①農業→②林業→③水産業→④畜産業」の順に、各局面で何が起きているかを具体的な事例で解説する。

CropIn|作付けの意思決定を”会話”で行う生成AI農業基盤

インドに拠点を置くCropinは、Googleの生成AIモデルGeminiを基盤に構築した農業インテリジェンス・プラットフォーム「CropIn Sage」を提供している。「この地域のジャガイモの平均収量は?」といった自然言語の問いをSQLクエリに自動変換し、衛星データ・気象データ・作物モデルを統合して即座に回答する。CropInはこれまでに3,000万エーカー以上を”デジタル化”し、103カ国・約700万人の農家を支援してきた実績を持つ。

データ分析の専門知識がなくても、複雑な農業ビッグデータを会話するだけで意思決定に変換できる点がSageの強みだ。想定される使い手は農家だけではない。農家に融資する銀行や作物保険を引き受ける保険会社が、保険料率の算定や与信判断の材料として使うことを、同社は明示的に用途に挙げている。農業の生産現場と金融をつなぐ情報基盤としての性格を持つ。


出所:CropIn「Meet Cropin Sage」
https://www.cropin.com/blogs/meet-cropin-sage

項目内容
活用カテゴリ農業における意思決定支援
企業名/サービス名CropIn/CropIn Sage
特徴Google Geminiを基盤にした生成AI農業インテリジェンス基盤
使用例収量予測、灌漑・作付け計画に関する自然言語での問い合わせ
利点専門知識なしに複雑な農業ビッグデータを意思決定に変換できる
導入効果103カ国・約700万人の農家を支援、3,000万エーカー以上をデジタル化

Carbon Robotics|レーザーで雑草を”焼却”する大規模植物モデル

除草ロボットには、農薬使用量を最大95%削減するスイス発Ecorobotixの精密散布ロボット「ARA」のような製品も登場しているが、なかでも異彩を放つのが、レーザーで雑草だけを焼却するアメリカ発Carbon Roboticsの「LaserWeeder」だ。

同社は2026年2月、1億5,000万枚の植物画像で学習した独自AIモデル「Large Plant Model(LPM)」を発表した。従来は新種の雑草が出るたびに約24時間かけて再学習していたが、LPMにより新しい雑草も即座に認識できるようになった。さらに「Plant Profiles」機能では、現場のオペレーターが画像2〜3枚を選ぶだけで数分でモデルを自社の畑に最適化できる。同社は15カ国で展開しており、2026年1月期の年間売上高は1億ドルを突破したと報じられている。

項目内容
活用カテゴリ農業における現場作業の自動化
企業名/サービス名Carbon Robotics/LaserWeeder、Large Plant Model(LPM)
特徴1億5,000万枚の植物画像で学習したAIモデルによるレーザー除草
使用例雑草の識別とレーザーによる自動除草
利点農薬を使わずに除草でき、新種の雑草も即座に認識できる
導入効果除草コストを最大80%削減、15カ国で展開し年間売上高1億ドル突破

UPM/Aarnibot|山奥の現場作業員のための対話型生成AI

フィンランドの素材・林業大手UPMは、自社の森林専門家や重機オペレーター向けに、モバイル特化型の対話型生成AI「Aarnibot」を開発した。社内規定や各国の森林法、FSC森林認証など複雑な規制文書をRAG技術でリアルタイムに参照し、「このエリアで皆伐する際、何本残すべきか」といった現場の質問にその場で回答する。顧客対応時の販促文作成も支援している。UPMは2026年のNordic AI Indexにおいて、フィンランド国内のAI成熟度上位5社に選出された。

電波の届きにくい山林で、分厚いマニュアルを調べる手間や経験則への依存を解消し、規制違反による罰則や認証剥奪リスクを実質的にゼロへ近づける点が特徴だ。「現場×生成AI」という組み合わせは、オフィスワーク中心に語られがちな生成AI活用の常識を覆す事例といえる。


出所:UPM「The digital transformation of forestry」
https://www.upm.com/articles/innovations/25/the-new-ai-frontier-the-digital-transformation-of-forestry/

項目内容
活用カテゴリ林業における現場知識アクセス支援
企業名/サービス名UPM/Aarnibot
特徴RAG技術で社内規定・森林法・認証基準を参照する対話型生成AI
使用例皆伐時の規制順守、現場作業員への行動指示、販促文作成
利点山奥でもマニュアルを調べず即座に正しい判断ができる
導入効果規制違反・認証剥奪リスクの低減、Nordic AI Index上位5社に選出

DISS-CO/Smart Integrity Platform|EU森林減少防止規則への対応を自動化

ドイツ発のDISS-COが提供する「Smart Integrity Platform」は、サプライヤーが登録した土地の地理座標データを衛星画像と自動照合し、森林減少の有無をAIが判定するシステムだ。LLMとRAGを用いて60以上の国際データベースを横断したリスクスコアリングを行い、通関に必要な「デューデリジェンス声明書(DDS)」を自律生成してEUの公式システム「TRACES」へ直接申請する。機密データ保護のため、大規模言語モデルは顧客のオンプレミス環境で稼働する。大企業向けの規制適用は2025年12月30日から、中小企業向けは2026年6月30日から本格化する。

違反時に売上高の最大4%の罰金が科されるEU森林減少防止規則(EUDR)に対し、手作業での照合・書類作成にかかる時間を最大70%削減できる点が導入の決め手となっている。木材・カカオ・コーヒー・大豆・牛肉・ゴムなど幅広い品目を扱う企業にとって、コンプライアンス自動化はコスト問題であると同時に、EU市場への参入資格そのものに直結する。


出所:Smart Integrity Platform「EUDR Software with AI」
https://smartintegrityplatform.com/eudr-software-with-ai/

項目内容
活用カテゴリ林業・サプライチェーンにおける規制対応の自動化
企業名/サービス名DISS-CO/Smart Integrity Platform(EUDRモジュール)
特徴衛星画像とLLM/RAGによる森林減少リスクの自動判定・書類生成
使用例EUDR対応のデューデリジェンス声明書(DDS)の自律生成・自動申請
利点手作業での照合・書類作成時間を大幅に削減
導入効果照合・書類作成時間を最大70%削減、罰則(売上高最大4%)リスクを回避

ThisFish/Tally|加工現場のデータを”会話”で読み解くAI

カナダ・バンクーバー発のThisFishは、水産トレーサビリティのパイオニア企業だ。主力ソフト「Tally」は、水産加工現場(仕入れサイズ・エサ・販売価格・コストなど)のデータ収集を自動化・デジタル化し、AIアシスタント「TallyBot」やコンピュータビジョンカメラ「TallyVision」による自動品質検査も提供する。国際的なデータ標準GDSTをデフォルト設定としており、マグロ缶詰工場やロブスター加工業者など世界各地で導入されている。

品質や利益率の計算にIT専門家を必要としていた現場が、「AIと会話するだけ」でその日のうちに意思決定できるようになる点が強みだ。トレーサビリティの強化は規制対応だけでなく、消費者の信頼獲得という付加価値にもつながっている。


ThisFish公式サイトのResourcesページ:https://this.fish/resources/

出所:ThisFish 公式サイト https://this.fish/

項目内容
活用カテゴリ水産加工業におけるデータ活用支援
企業名/サービス名ThisFish/Tally、TallyBot、TallyVision
特徴加工現場データの自動収集とAIによる会話形式での分析
使用例仕入れ・生産・品質データの収集とトレーサビリティ管理
利点IT専門知識なしにその日のうちに意思決定できる
導入効果マグロ缶詰工場やロブスター加工業者など世界各地で導入

Aquabyte|養殖の”見回り”を生成AIが24時間代行

ノルウェー発・アメリカ拠点のAquabyteは、水中カメラが1日100万枚超の画像を撮影し、AIがシラミ数・魚体重・バイオマス・行動や福祉の指標を解析するシステムを展開している。2026年にはアイスランド当局(MAST)が、Aquabyteの開発した鮭の性成熟度自動判定手法を規制上正式に承認するなど、行政からの信頼も獲得した。ノルウェー・チリ・アイスランド・フェロー諸島・カナダ・スコットランドで展開しており、投資会社Vitruvian Partnersとの提携で次の成長フェーズに入っている。

これまで熟練者の”勘”に頼っていた生け簀管理をデータ化し、疾病の兆候を早期発見。無駄な餌の廃棄を減らし養殖の利益率を最大化するとともに、行政の規制プロセスにもAIによる判定が組み込まれ始めている点は、他業界の規制対応にも示唆的だ。

項目内容
活用カテゴリ養殖業における健康・品質モニタリング
企業名/サービス名Aquabyte
特徴水中カメラとAIによる魚の健康・品質の常時モニタリング
使用例シラミ数・魚体重・バイオマス・行動福祉指標の解析、性成熟度判定
利点疾病の早期発見と餌の無駄削減による利益率最大化
導入効果アイスランド当局から自動判定手法の規制承認を取得


出所:Aquabyte「Sinkaberg & Aquabyte: Close cooperation in submerged pens」 https://www.aquabyte.ai/posts/sinkaberg-aquabyte-submerged-pens

出所:SeafoodSource「Icelandic regulator approves Aquabyte’s automated salmon maturation scoring method」
https://www.seafoodsource.com/news/aquaculture/aquabyte-s-automated-salmon-maturation-scoring-method-approved-by-icelandic-regulator

Ever.Ag/Everett|調達・飼育・加工のサイロを統合するAIエージェント

アメリカのEver.Agは2026年4月、酪農分野向けにエージェント型AI「Everett(Ag Decision Engine)」を発表した。同年6月にはWorld Pork Expoで畜産・食肉分野へ展開を拡大し、「Feed Allocation System」「S&OP for Animal Protein」「Feedlot IQ」に対応した。肥育場の群れ・区画の状態を常時監視し、出荷判断や価格設定の根拠を含む「経営分析ブリーフィング」を毎朝自動生成する。今後は畜産関連の調達分野やアグリビジネス分野にも順次拡大する予定だ。

「調達」「飼育」「加工・販売」に分断されがちな畜産サプライチェーンを一つの意思決定エンジンでつなぐ発想が特徴的だ。汎用の生成AIとの違いとして同社が強調するのは、業界特化の知識をあらかじめ組み込み、実際の業務システムに接続して”実行”まで支援する点である。

Everett紹介ページ:https://ever.ag/everett

出所:PR Newswire「Ever.Ag Expands Everett to Livestock and Animal Protein Operations」(2026年6月)
https://www.prnewswire.com/news-releases/everag-expands-everett-its-ag-decision-engine-to-livestock-and-animal-protein-operations-302789391.html

出所:National Hog Farmer(2026年6月)
https://www.nationalhogfarmer.com/farming-business-management/ever-ag-expands-everett-to-livestock-animal-protein-operations

項目内容
活用カテゴリ畜産業における経営判断の統合支援
企業名/サービス名Ever.Ag/Everett(Ag Decision Engine)
特徴調達・飼育・加工・市場データを横断するエージェント型AI
使用例肥育場の群れ管理、出荷判断、価格設定の根拠提示
利点サイロ化した畜産サプライチェーンを一つのAIでつなぐ
導入効果毎朝の経営分析ブリーフィングを自動生成、畜産・食肉分野へ展開拡大

Halter|AIエンジン「Cowgorithm」が牛の群れを声と振動で動かす

ニュージーランド発のHalterは、GPS搭載のソーラー首輪と独自AIエンジン「Cowgorithm」により、音と振動だけで牛の群れを物理フェンスなしに誘導するサービスを提供している。Cowgorithmは70億時間を超える牛の行動データで学習しており、首輪1個あたり毎分6,000のデータポイントを収集する。2026年3月、Peter Thiel氏率いるFounders Fundが主導するシリーズEで2.2億ドルを調達し、評価額はわずか9カ月で2倍の20億ドルに到達した。首輪の販売数は100万個を超え、利用農場は2,000超(ニュージーランド・オーストラリア・アメリカ)に及ぶ。米国のランチャー(牧場主)は2024年の展開開始以降、約6万マイル分の仮想フェンスを構築済みだ。

畜産業でもっとも過酷とされる「牛の追い込み」「フェンスの物理設置・維持」という重労働を実質的にゼロ化した点が評価されている。投資家がSpaceXやPalantirと並ぶ企業として評価している事実は、一次産業向けAIが単なる効率化ツールではなく、巨大な投資対象になり得ることを示している。


出所:The Next Web「Halter raises $220M at $2B valuation to scale virtual fencing」 https://thenextweb.com/news/halter-series-e-virtual-fencing-cattle

出所:AgTechNavigator(2026年3月)
https://www.agtechnavigator.com/Article/2026/03/24/halter-raises-nzd-377m-to-drive-global-expansion-as-virtual-fencing-demand-surges/

項目内容
活用カテゴリ畜産業における群れ管理の遠隔化
企業名/サービス名Halter/Cowgorithm
特徴GPS首輪と音・振動による仮想フェンス、AIによる行動・健康分析
使用例物理フェンスなしでの牛の群れ移動、健康・繁殖サイクルの監視
利点牛の追い込みやフェンス設置・維持という重労働を代替
導入効果首輪販売100万個超、評価額20億ドル(9カ月で倍増)

まとめ|農林水産業における生成AI活用の動向と展望

農業・林業・水産業・畜産業における生成AI活用の主な特徴をまとめると、以下のようになる。

  1. 現場作業の自動化・省人化
    • レーザー除草(Carbon Robotics)や仮想フェンス(Halter)が、もっとも過酷な物理労働を生成AI・ロボティクスで代替している。人手不足が深刻な一次産業にとって、単なる効率化ではなく事業継続の生命線になりつつある。
  2. 経験則の”データ化”
    • CropInやAquabyteのように、熟練者の勘に頼っていた意思決定を、生成AIが誰でも扱える自然言語での対話に変換している。技術者不足の現場でも、専門知識なしに複雑なデータを扱えるようになった。
  3. 規制・コンプライアンスの自動化
    • DISS-COのEUDR対応のように、複雑化する国際規制への対応そのものが、書類作成まで含めてAI導入の主要な動機になっている。規制対応の自動化は、コスト削減であると同時に市場への参入資格そのものに直結する。
  4. サプライチェーンの統合
    • Ever.Agのように、調達・生産・加工・販売に分断されがちな一次産業のサプライチェーンを、エージェント型AIが横断的につなぐ動きが広がっている。
  5. 行政・投資家からの信頼獲得
    • Aquabyteの規制当局承認やHalterの巨額資金調達のように、AIの実装が経営判断だけでなく、行政の認可や投資家評価にも直結し始めている。


2027年以降の展望としては、以下の点が重要になると考えられる。

  1. データフライホイールによる競争優位の固定化
    • 現場で稼働するAIが集めるデータが継続的にモデルへ還元される構造は、農業版の”規模の経済”を生み、先行企業の優位性を強固にしていく。
  2. 分析型AIからエージェント型AIへの進化
    • Ever.Agのように、分析結果を提示するだけでなく、実際の業務システムに接続して”実行”まで支援するAIが標準になっていく。
  3. 環境規制対応のデフォルト化
    • EUDRのような国際規制への自動対応は、コンプライアンス部門だけでなく、サプライチェーン全体の標準機能として組み込まれていく。
  4. 一次産業への投資対象としての再評価
    • Halterの事例が示すように、一次産業向けAIは投資家からSpaceXやPalantirと並ぶ評価を受けるなど、巨大な投資対象になりつつある。


日本の農業・林業・水産業・畜産業が直面する人手不足・高齢化・後継者不足という構造問題に対して、これらの海外事例は有力な処方箋となり得る。レーザー除草や仮想フェンスのように、現場の重労働そのものをAIが代替する技術は、担い手が減り続ける日本の一次産業にとって、選択肢ではなく必需品になりつつある。

ただし、テクノロジーを取り入れる際に不可欠なのが、AIツールを正しく理解・活用できる人材の育成だ。どれだけ優れたツールを導入しても、使う側のリテラシーが伴わなければ、その効果は限定的にとどまる。CropInやEver.Agのように、AIが”会話するだけ”で使える設計になっていても、何を尋ね、出てきた答えをどう経営判断に落とし込むかは、結局のところ人間のリテラシー次第だ。

GUGAが提供する「生成AIパスポート」は、業種を問わずAI活用の共通言語を組織に浸透させるための出発点として機能する。農業・林業・水産業・畜産業においても、ツール導入と並行して人材のリテラシー底上げを進めることが、AI時代の競争力を左右する鍵となるだろう。

農林水産業の変革はすでに始まっている。「まだ様子を見る」という選択肢のコストは、日々高まっている。